魔法学園の選抜選手
「閃竜祭?」
薫は解らず首を傾げる。
「閃竜祭っていうのは、一か月後にある学校行事で、簡単にいえば魔法を使った格闘大会みたいなものかな。しかも、四つの学校対抗だから大規模なイベントなんだよ」
なるほどと頷いた薫が意欲的に見えたのか、弥生が笑顔で告げる。
「確か選手枠が一つ空いていたな。せっかくだ、出てみないか?」
「それが良いよ立花さん。実は私は閃竜祭に選抜されてるの。一緒に大会に出よう」
この流れで拒否は、今後の選択肢を減らす事になるので引き受けるしかない。
「私で迷惑でなければ、参加させてください」
そうして、薫の閃竜祭への参加が決まった。
学業と魔法の訓練を重ねて三日が経った日の夕方、閃竜祭の選抜選手が招集された。
選手代表の柳生弥生が議長を務め、話が始まった。
「今日は顔合わせだ。この十五人が鋼宮魔法学園の代表選手だ。優勝を目指すなら、お互いに足りないところを補い合うしかないのはわかっているな?」
頷く一同。
「よし、それが共有できていれば問題は無い。当日まで各人で能力と技術の向上を頼むぞ」
その後は、細かなルール確認などで終了した。
ぞろぞろと席を立ちあがる最中、弥生が思い出したように声を上げる。
「すまない、一つ忘れていた。明日出場校が我が校に来るんだが、私のサポートで二人欲しい。誰か引き受けてくれないか」
それに素早く反応したのは愛美だった。
「私でよければお手伝いします」
その光景を見てから薫も手を上げる。
「助かるよ。では明日も宜しく頼むぞ」
夕食にはまだ少し早い時間、寮の部屋に戻った愛美と薫は、薫の今後の魔法について会話を繰り拡げていた。
「弾丸魔法をこのまま強化し続けるのも良いと思うけど、大体の人は応用の創造に切り替えてるからそっちも良いかも」
「あの、創造って具体的に皆さんどういうのを作ってるんですか?」
「なんでも有りだよ。球状を意識して前方に飛ばせば基礎の弾丸魔法。球状では無く棒状に刃を付ければ剣の完成。こんな感じの事が出来るから、自分に合ったものを作れれば強くなるの」
簡単な説明だが、理解出来ていた。様々な事を巡らせ薫は答えを出す。
「今から短い時間で、自分に合った形状の物を考えるより、今出来ている弾丸魔法を強化していこうと思います。」
「その方が良いかもね。最優先は弾丸魔法の強化、特にコントロールと威力を重点的に鍛えて閃竜祭に臨む感じにしようか」
方向性も見えたところで、今日は二人ともリラックスモードに移行して、のんびりとした雰囲気で夜を過ごした。
「さて、全員が揃ったので自己紹介をしていこうか。私は鋼宮魔法学園の柳生弥生だ。こちらの二人は仲谷愛美と立花薫だ」
薫と愛美は軽く頭を下げる。そして順番に三校の生徒が自己紹介をしていった。
「社中央学校の新藤猛です。こっちは吉川紗枝さん」
最後に自己紹介をした彼ら、いたって普通に見えたがミルが囁く。
『怪しい、怪しいですよあの男女。私のレーダーにビビッと来ましたよ。彼らのどちらかが主人公ですよ!』
無暗に声を出せない状況なので、横目でミルを確認する。
『何故か。と聞きたいですよね。最初は弥生かとおもったんですが、彼女は違いますね。他の人から頼りにされているだけ、ただそれだけです。でも向こうは見た感じ主人公です。私にそんな能力は無いですけど、確信しています』
(ただの勘じゃねぇか)
しかし、ミルの勘が信憑性を増したのはすぐだった。




