異世界からの救世主はウザい
「なるほど、確かに戦力として私は戦力外ですね。でも、知恵くらいならお貸しできると思います」
あくまで謙虚に話を進めるが、頭の中はカイトをどうやって貶めるか、それしか考えていなかった。
エメ姫は薫が元の世界に帰れるようにする。薫は国を平和にするために知恵を出す。これで二人の関係がはっきりとした。
そして一通りの話しが終わり、与えられた部屋のベッドに薫は寝転ぶ。
『あのカイトって少年はいけすかないですね。なんかウザいです』
「俺はお前の方が五倍はウザい」
このまま寝るか、と身体の力を抜いて意識が沈み込みそうになった時、扉が勢いよく開き、カイトがずかずかと入ってくる。
「よお! もう寝たか!?」
飛び起きる薫。
敵の心配のない陣地で、眠りかけの無防備な瞬間に襲われた。
(こいつ、今ここで殺してやろうか)
彼にとって安心して眠れる場所は少ない。その数少ない幸福を邪魔された恨みは計り知れない。
射殺さんばかりに睨み付ける眼差しをものともせず、カイトはベッドに腰掛ける。
「異世界の人間同士仲良くしたいからな。どうだ、これから話さないか?」
青筋を立てながらも、笑顔に切り替えた薫は対応する。
「悪いけど明日の昼間にしないか? さっきまで緊張してたからか、その反動で今は物凄く眠いんだ」
「そうか、それは悪い事をしたな」
ションボリを絵にかいたような表情で出て行く救世主を見て薫は眠りに落ちた。
次の日、エメ姫から国の現状を説明された。
1:国土の四分の一が壊滅。四分の二が半壊。残りが王都で無傷。
2:兵士はいるが役に立たない。
3:魔物の王の居場所は判明している。
「以上です。今はカイト様が一人で魔物を退治して下さっていますので比較的安定していますが、いつ魔王本体が攻めてきても不思議は有りません」
(これはどうするか。魔王にこの国を滅ぼしてもらうのが手っ取り早いが、主人公が粘る分長期戦になる。魔王を倒されたら、どうせ次の敵が出てきてエンドレスだ)
「俺にはこの相棒がいるからな。こいつがあれば魔王だろうが倒せるさ!」
自慢げに掲げるのはカイトの持っている一振りの剣、片刃の剣でどうにも秘密がありそうだった。
「カイトの世界にも魔物はいたのか?」
「いや、いない。この剣は俺の家に代々伝わるもので、言い伝えでは、悪しきを斬る事に特化していると聞いたが本当だったらしいな」
(その剣を奪って捨てるか? いや、片時も手放さなければ時間の無駄だ)
巡る考えをまとめられず、悩んでいると、慌てた兵士が飛び込んでくる。




