番外編 おまけ 律、現状を思う
これにて番外編は一応終了です。
まったく…昔の私は呑気だったよね。
異世界落ちってこんなに大変なんだね。
家訓も異世界訓練想定訓練もまったく役に立たないよ。
「律、どうしたんだ?」
ウェティウス様が私を抱きかかえたまま言った。
金の三つ編みと水色の瞳の麗しい…性別不明の人だ。
声も美声だしな…。
廊下の向こうの中庭は日差しにあふれ、異国情緒あふれた王宮の建物の柱がみえる。
そして、警護官がさりげなく目をひからせている。
どうみても日本じゃない…。
「異世界だな…と思って。」
やっぱり、家訓守れなかったから…ウェティウス様に抱えられてるんだよね。
あの時逃げられてれば…どうなってたかな?
「律、私はそなたを手放すことは出来ない。」
そういって口づけされたよ…胸元に…キスマークついてるし…。
その状況でサルティーアス兄ちゃんなんとも思わないの?
まあ、ウェティウス様が一番の変態だしな…。
「まったく、秋穂さんどころじゃないよ。」
うん、秋穂さんは少なくとも抱え込まれてなかったもん。
でも…ウェティウス様のほうがましか…。
少なくとも…他の人に目を向けないもん。
それに王宮の人もジャスミナ様の周りの人はともかく。
とくにいじめられないし…。
暗殺とか毒殺なんてジャスミナ様の周りの人だってやらないしね。
やっぱり、グーレラーシャ傭兵国ってくらいだから卑怯な事はしないのかな?
秋穂さんは…夫ワンコをついに屈服させたって聞いたけど…。
家訓的に大丈夫なのかな…。
「律、私はそなたがいないとだめだ、ずっと一緒にいてくれ。」
そう囁きながらウェティウス様が耳たぶを甘噛みした。
あいかわらずエロエロしいな。
一緒にか…別に元の世界にそれほど未練はないんだけど…。
私…どうしたいのかな?
分からない…。
分からないんだけど…。
こんだけ、好きっていってくれてるんだから…。
きちんと考えてみた方がいいよね。
「陛下、あんまりやりすぎると、ドーリュム家の領地に律をこもらせますよ。」
スザナお母様がやってきた。
「スザナお母様。」
私はウェティウス様の腕の中で言った。
「スザナ、無理だ、律は手放せない。」
ウェティウス様が言った。
「律は家の大事な義娘です、淫乱なんてまた、いわれたらどうするんですか?」
スザナお母様が言った。
「私が責任をとろう。」
そういってウェティウス様が私に口づけた。
「陛下!言ってるそばから!」
スザナお母様が叫んだ。
「母上、陛下の邪魔はゆるしません。」
サルティーアス兄ちゃんが言った。
あの邪魔大歓迎です。
ウェティウス様、そろそろ口づけから解放してくれないと
私、苦しいんですが?
ああ、頼むよ、ウェティウス様、免疫ないんだから、エロエロしいのは少なくしてください。
やっぱり、あの時逃げ切れれば良かったかな…。
でも…ウェティウス様と会えなくなるのも…やっぱり私おかしいよ。
読んでいただきありがとうございました。