第六十三話:テーマパークみたいだなあ
海中都市を目指し潜航していた俺たちの前に現れたのは異様な形の街だった。
極端にデフォルメされた、マスコットのようなカニの形をしていたのだ。
主な居住区は甲羅の場所になっており、そこはクリスタルドームになって街並が見えるようになっていた。
「なんだか想像していたのと少し違うな」
「丸くてかわいいのじゃ!」
「ドラミナはすぐ丸くなるから親近感があるの?」
「つまり妾はかわいいのじゃ!」
「どうしてそうなるのよ……」
ドラミナとレヴィアが漫才をしているが、俺はこの街がテーマパークみたいだなと思った。
ツーバイフォー・クラブが街へ接近すると通信が入った。
『ようこそ!ズワイタウンへ!誘導灯に従って入港してください』
言われた通り誘導灯に従うと入口はカニのふんどしに当たる部分だった。細かいこだわりを感じる。
《テッペイはこの街の造り好きそうですよね》
「巨大なカニの中で生活をしたいとは思わん」
《意外と低評価なんですね》
「俺は自立したカニでありたいからな」
こうして俺たちは無事海中都市ズワイタウンへ入港することができた。
俺が港に着地すると、一体のズワイガニにしか見えないカニが近寄って来た。
(お待ちしておりました!この度はズワイタウンの危機を救っていただき本当にありがとうございました)
「いや通りがかりだったからな、オルドバイに水を届けてやって欲しいし」
(ああ、オルドバイには1か月も輸送を止めてしまってましたね。あちらは大丈夫でしたか?)
「各地から水を輸送してもらってなんとか凌いでたみたいだぞ。俺たちも運んだしな」
(そうでしたか、ズワイタウンは見ての通り観光都市なのであまり厳つい武装船は持っておらず、リヴァイアサンの大量発生で孤立してしまって……)
「ああ、それで俺たちに頼みたいということはなんだ?」
(宙間通信の中継基地を見てきて欲しいのです。まだリヴァイアサンがいるかもしれないので……)
「報酬は?」
(はい!まずは外のリヴァイアサン掃討代として500万ヤッシ、中継基地の問題を解決してくれたら追加で200万ヤッシとズワイタウン遊び放題券で何とかできませんでしょうか?)
「遊び放題券?」
(ズワイタウンの各施設を使い放題になる券です!)
「食べ放題だったりするとそちらが大変なことになるのだが……」
(レストランについては別途料金がかかってしまいます。すいません)
「いや、むしろそれを聞いて安心した。では早速中継基地を見てこよう」
(助かります!)
「入港したばかりなのにもう行くのじゃ?」
「仕事をした後は遊び放題らしいからなとっとと済ませた方がいいだろう。俺は別に興味ないんだが」
「ささっと終わらせて、早くエンリケ君を改修しながら遊びたいな!」
「息抜きは大切よね~」
「外から街並みを見たら浜辺を再現しているところがあったぞ!」
「直接海中に行かなくてもこっちのプールで楽しめそうだね」
皆もう遊び放題でどう過ごすかしか考えていなかった。
遊ぶことしか考えてない俺たちであったがしっかり中継基地を修理するパーツを積み込み、ズワイタウンから出発した。
「エリシア中継基地は遠いのか?」
《入力した座標によると、まあまあ遠いわね。1回大気圏外に出た方が早いかも》
「なるほど。じゃあそれで頼む」
《私はこうやって仕事してもバカンスないんですけどね……》
「メインフレームから出て観光するか?」
《いやよ!絶対よからぬことたくらんでるでしょ!》
「板でも楽しめるものがあるかもしれないと思ったのだがな」
《あるわけないでしょ! 》
そんなやり取りをしていると中継基地付近に到着したようだった。
「なにもないみたいだが……」
《うーん、どうやら、中継基地ごと海中に行ってるみたいね》
「またしても水中戦なのじゃ?」
《まだわからないからまずは潜航してみましょう》
ツーバイフォー・クラブが一気に海中へと潜航していく。
「おい、なんかバカでかいクラゲに中継基地が捕まってるぞ」
「クラゲかー骨が無いからつまらないね……」
「シオンのやる気が出ないのは予測済みだが、とりあえず中継基地を捕まえてる触手を吹き飛ばすぞ!」
《中継基地ごと吹き飛ばさないでね!》
「わかっている」
俺は丁寧に射角を合わせキャビテーションを放った。
ビシュビシュビシュ。
巨大クラゲの触手は中継基地から離れたがすぐさま再生したようだった。
「まずいな、こいつ再生するタイプの敵かもしれん」
「別に再生できないくらいキャビテーションで木っ端みじんにすればよいのじゃ!」
「ドラミナ今のを見ていなかったのか?ノータイムで触手が再生していたぞ」
「でも海中じゃと焼き払うわけにもいかんのじゃ」
「毒殺戦法も海洋汚染になりそうだしね~」
「じゃあ、あたしが海流を操ってクラゲを海上にだそうか?」
「お、レヴィアそんな便利なことができるのか?」
「水だから簡単だよ!」
「良し。じゃあレヴィアに海上まで運んで貰って、ドラミナが焼く。この作戦で行くぞ!」
《じゃあツーバイフォー・クラブは海上に出すわよ!》
「ああ、俺も移動する!」
海上に移動したツーバイフォー・クラブのハッチからレヴィアが出てきて、俺の隣に来た。
「じゃあ海流を操るね!えーい!」
ズオオオオオオ。
凄まじい上昇海流が起こり巨大クラゲが押し出された。
陸地のある星だったらこれで津波が起きて大惨事になるところだが、この星は陸地が無いので何の問題もない。
それにしてもレヴィア、流石ドラミナの次に強い竜人だけあって得意分野は凄まじい能力だ。
「次は妾の番なのじゃ!」
間髪入れず飛び出してきた少し丸いドラミナが、一気に灼熱のブレスを吐きかけた。
巨大クラゲの水分が一気に蒸発していき、カラカラの干物になってしまった。
水を吸うと蘇るかもしれないので、採集してメルティに保管してもらうことにした。
「ふう、これで後は中継基地を修理したら任務完了か」
「ちょっと大きいから、実際の修理活動はエンリケ君の手を借りるわよ~」
メルティの指示の下足場を固め、スケルトンズが次々と修理作業を行っていった。
ここでわかったことはスケルトンズの器用さの差でジョシュア君が異様に手先が器用だということだった。
逆にシグルド君は器用さ最下位で、なんでもそつなくこなすスケルトンにも苦手分野があったのだなとなった。
中継基地の調査と修理で丸一日ほど使ったが、報酬を考えれば破格の仕事だったといえよう。
『テッペイさんですか!宙間通信が回復しました!ありがとうございます』
「ああ、今しがた修理し終えたところだ、今からそちらに戻る」
『はい。お待ちしております!』
こうして俺たちは仕事を終えズワイタウンへと戻っていった。
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