第六十二話:今度は海中都市かー
(レヴィアちゃん本当にここで働いてはくれないのか?)
「しつこいよ!あたしはわけのわからない所で働いたりはしないから」
俺たちが次元電池を手に入れオルドバイを発とうとしているとヤシガニ職員が諦めきれずにレヴィアを勧誘していた。
「まあ、なんだ水不足も俺たちが海洋惑星の異変をついでに調べておくから、レヴィアのことは諦めるんだな」
(はあ、しかし1か月も音信不通の所に行くなんてあんたも物好きだね)
「最短ルートでネオメトロカニポリスに向かいたいからな」
(何をそんなに急いでるか知らないが、応援してるぜ。あんたらはこの星で働く人たちからしたら救世主だからな)
「そういうのは止めてくれ、俺はただ次元電池を手に入れたかっただけだ」
《誰かに感謝されるのがトラウマになってますね?》
「うるさいぞホログラム」
《ホログラムだから何を言っても平気なのはいいですね》
「メインフレームから取り出してやろうか」
《そんなことしたらワープ座標とかその他もろもろわからなくなりますよー》
「無敵ホログラムめ」
俺はエリシアの煽りを無視して、ツーバイフォーの屋根に張り付くことにした。
「次は海洋惑星だな?」
ゼノヴィアから突然通信が入る。
「そうだがどうした?」
「水着回だな?」
「なんだそれは」
「知らんのか、海辺に行ったら我のような魅力的なお姉さんは水着になるのがしきたりなのだ」
「言っておくが海洋惑星セレネイドに浜辺は無いからな?海で覆われてるからな?」
「ツーバイフォーを浮かべて海水浴すればよいではないか」
「遊びに行くわけじゃないぞ?」
「別に遊んでもいいだろう。オルドバイでもバーベキューをしたではないか」
「そもそも水着とか持ってないだろう」
「え?もう作ってあるわよ~」
「魚の手づかみするのじゃ!」
「水泳だったらあたしが最速よ!」
《こんな時体がないのが悔やまれるわね!》
全員海の星で遊ぶ気満々だった。
こうして俺たちはオルドバイを離れワープドライブを行い海洋惑星セレネイド周辺宙域に辿り着いた。
さっきまで茶色い星に居たせいかセレネイドのとてもきれいなマリンブルーが目に眩しい。
「青いのじゃー!」
「乾いて無さそう!」
「結局日差し強そうじゃない?でも宇宙海洋生物の骨が獲れるなら悪くないかも」
「未知の毒性生物もいるかもね~」
「ふふふ、遂に魅力的お姉さんである我の真の戦場が来たな」
皆すっかりバカンス気分だった。
「あー、エリシアとりあえずセレネイドに通信を行ってくれ」
《うーん、全然だめね!宙間通信がオフラインよ!》
「居住地の場所はわかるか?」
《一応銀河居住地図に載ってるからわかるわよ》
「仕方がない強硬侵入するか」
本来なら着陸座標などをやり取りするのだが通信できないのでは仕方がない。
一気にツーバイフォーで居住地付近の大気圏に突入した。
そこで俺たちを待っていたのはめちゃくちゃデカいウミヘビみたいなやつがうようよしている姿だった。
「これは海水浴どころじゃなさそうだぞ?」
「食べ応えありそうじゃぞ?」
「ドラミナ、そもそも食用かどうかわからんぞ」
「テッペイそいつ凄い骨だよ!乱獲しよう!」
シオンがテンション高めで通信に割り込んでくる。
「いや敵対生物かどうかわからないしな……」
《あ、テッペイ通信が来たわよ!》
「通信は壊れてたんじゃないのか?」
《宙間通信がダメになってたけど惑星内通信は生きてたみたいね!》
『そこの宇宙船!こちらセレネイド海中都市だ!現在リヴァイアサンの大群に襲われて孤立している!救助を呼んでくれないか?』
「リヴァイアサンというのはこのウミヘビ共の事か?」
『そうだ!宙間通信アンテナを破壊されて惑星外に救助を呼べないのだ!無理にこちらに来ようとせずに援軍を呼んでくれ!』
「だ、そうだ。良かったなシオン獲り放題みたいだぞ」
「やったー!」
『いや早く救助を呼んでくれ!並の宇宙船ではリヴァイアサンにすぐやられてしまうぞ!』
「なるほど、そうか。だが海でカニにヘビが勝てる道理はない」
俺はそう言うとツーバイフォーの屋根から飛び降り着水した。
宇宙でも平気なスペーステッペイは水中でも問題なく活動できた。
「テッペイだけ先に海水浴はズルいのじゃ!」
「ドラミナ周りをよく見ろ、ウミヘビだらけで海水浴とは言えんだろう」
「獲り放題まで付いてるとはお得な海なのじゃ!」
そう言ってドラミナもツーバイフォーから飛び降りてきた。ボーダー柄のワンピース水着である。
少し腹が出っ張っている気がするがバーベキューを食べ過ぎた後だからだろうか。
「く!ドラミナに先を越されるとは我としたことが!」
次に飛び込んできたのはゼノヴィアだったとんでもなく際どいスリングショットだが、それでウミヘビと戦えるのだろうか。
「あたしはウミヘビがいなくなってから行くね!」
「掃除は頼んだわよ~」
「骨は砕かないでね!」
待機組からの適当な注文が付いたがまあいい。とりあえず頭にキャビテーションをぶち込めばいいだろう。
「ドラミナ、ゼノヴィア。水中のキャビテーションは威力が違うから巻き込まれるなよ!」
俺たちの気配を察して寄って来たリヴァイアサンに向かってキャビテーションを放つ。
パチン。
ズオオオオオオオン。
水中キャビテーションは陸上よりも強烈な一撃だった。
キャビテーションを喰らったリヴァイアサンは頭から体まで一直線に消滅してしまった。
「ちょっとテッペイ!丸ごと吹き飛ばしたら骨が取れないでしょ!」
俺の動きをモニターしていたシオンから叱責が飛ぶ。
「今の余波で死んだ奴から回収してくれ!」
「ふ、テッペイは強すぎるからなこういう時は我のほうが向いておる」
魔力のフィールドを貼って全く海水浴していない布面積だけは少ないゼノヴィアが次々と雷撃でリヴァイアサンを仕留めていく。
あっちは何の問題もなさそうだなと思ってドラミナの方を見ると、リヴァイアサンにグルグル巻きにされていた。
「あー、ドラミナ助けた方がいいか?」
「むーん!必要ないのじゃ!」
ドラミナはリヴァイアサンを容易く引きちぎっていた。
小一時間ほどリヴァイアサンを狩り続けてようやく近づいてくる奴らがいなくなった。
「これで、海上封鎖は解けたんじゃないか?」
《通信が入ってるわよ~》
『あんなに沢山いたリヴァイアサンを倒してしまうとはあんたら何者なんだ?』
「次元電池とバカンスを求めてきた通りすがりだ」
『フリーエージェントってわけか、じゃあリヴァイアサンの討伐の謝礼金を受け取るついでにもう一仕事頼まれてくれないか?』
「内容によるな」
『詳しいことは海中都市で話したい。来てくれるか?』
「それくらいならいいだろう。俺としてもどんな作りか興味あるしな」
「え?海水浴は?」
レヴィアが尋ねてくる。
「そんなもの帰り際でいいだろう」
「うーん、ちゃんと時間取ってね!」
「リヴァイアサンの素材加工とかもあるから時間は十分にとる」
「やったー!」
こうして俺たちは海中都市へと入港することになった。
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