第五十五話:これがスペーステッペイだ!
GM社のオフィスを後にした俺たちは、エリシアのナビゲートに従って造船局を目指していた。
《あれが造船局よ!》
エリシアがザリザリと主張する。
「あれは、なんというがデカいな」
エリシアに示された造船局はツーバイフォーEDENがタダの荷車に見えるくらい巨大だった。
S・F.co.ltdとこれまたGM社のような巨大な看板が掲げられていた。
「GMの次はSFか何の略なんだろうな?」
「ここの街の人たちのセンスは似通ってたのじゃなあ」
「スーパーフィットとかかな?」
「シオンとセンスが似ているからもしかしたら当たってるかもな」
俺は適当に流し造船局に踏み込んでいった。
造船局のエントランスはGM社のオフィスとは比べ物にならないくらい広くツーバイフォーごと入れてしまった。
俺たちが広さに圧倒されていると。
ピピッ!
「3万年ぶりのお客様か!」
突如声が響いた。
グィーン。
中央にある丸い床がせりあがり一体の機械仕掛けのカニが出てきた。
「スキャンしたところGMメモリをもってるがあんたらGM社の顧客か?」
機械ガニが質問してきた。
「その前にお前はなんなんだ」
「ああ、そうだったな久しぶりなもんなんで名乗るのも忘れてたぜ!俺はセンシファウンデーション造船補助AIテツヤだ!」
「このフロッピーの上位機種みたいなものか」
俺はエリシアを摘まみ上げて言った。
《扱いがぞんざいすぎる!》
「ハハッ!そう言ってくれると嬉しいが俺はGMメモリより旧型なんだ。でも造船や材質製造の補助なら負けないぜ!」
テツヤはハサミで頭を掻きながら答えた。
「そうか、コスモメタルの加工はできるのか?」
「コスモメタルかい?当り前じゃねえか船の基礎装甲材だぜ!よく見たらあんた未精製のコスモメタルを無理やりはっ付けてるのか!素材の良さを殺してるな!」
「どうにも俺たちの持ってる技術では加工できなくてな」
「超天才のわたしでもとっかかりすらつかめなかったから凄いわよね~」
メルティが前のめりになってテツヤを見つめた。
「どうやら3万年の間に技術後退したみたいだな!いいぜあんた天才だって言うなら、コスモメタルの加工覚えてみるかい?って言っても機械の使い方覚えるだけだけどな!」
「その機械の仕組みもよかったら知りたいわね~」
「これだけの構造物を作れる技術我も気になるぞ!農業に転用できるかもしれん」
「こんなに熱意のある客は本当に久しぶりだぜ!あんたら妙に次元力が強いしすぐマスターできると思うぜ!」
テツヤは機械だが本当にうれしそうにメルティとゼノヴィアを迎え入れていた。
「金属骨格は専門外だけどあのテツヤってのいい出来だね」
骨にしか興味がないシオンも生物をモチーフにした機械には思うところがあるらしい。
「しばらくはメルティさん達の勉強会になりそうですね」
レヴィアはしばらく仕事が無くていいなあという表情で言った。
「何を暇そうにしている。待ってる間ツーバイフォーの洗浄でもするぞ」
「えーあたしは生活用水担当でお掃除担当じゃないのに~」
「レヴィアの水は成分変えられるからお掃除にも向いてるのじゃ」
「ドラミナは何も仕事してないのにおかしいよ~」
「妾はダイナソーを蹴散らしてたのじゃ」
「あんな化け物あたしは退治できないもん」
「すっかりヘタレて竜人族序列2位の名が泣くのじゃ」
「そうですよレヴィアさん生活担当も大切な仕事ですが、戦闘力も磨いておかなければ」
コスモメタルナイフ(削りだしただけ)を磨きながらシグルド君が意見する。
「俺なんか御者してるから絶対戦闘に巻き込まれるからな」
ジョシュア君が骨の肩を竦めて言う。
「そうだぞ。人間の余が戦えるのだ、竜人族ならもっといけるはずだ」
シャルロッテが追従する。
「姫様は人間の例外だと思います……」
レオナルドは主君の今までの暴れっぷりについ不敬なことを呟いていた。
そんなこんなでツーバイフォーの汚れを落としたり、レヴィアの戦闘訓練を無理やり行って時間を潰した。
「しんじゃうーしんじゃうよー」
レヴィアの情けない声が木霊していた。
「情けないのじゃ。ちょっと壁に叩きつけたり床に叩きつけられたりしただけじゃのに」
「まあまあ、ドラミナさん。レヴィアさんは私たちみたいに魔力でくっついたりできませんから仕方ありませんよ」
「粉砕されても治れねえもんな」
「骨達とテッペイがおかしいんだよ~」
レヴィアは涙目だった。
《そういえばこのメンバー回復役がいませんでしたね!》
エリシアの指摘通りであった。
そもそもダメージをほとんど受けないドラミナやゼノヴィア、やられても再生する骨、絶対危険に突っ込まないメルティとシオン。そして無限再生の俺。
回復役など必要としたことがなかったのだ。今後険しい事態もあるかもしれないのでヒーラーはいた方がいいかも、などと考えていると。
「テッペイ!みるのよ~このつやが消えたコスモメタルを~」
メルティがウキウキして鏡面反射してないコスモメタルを持ってきた。
「もう習得したのか?」
「あたりまえよ~。ゼノヴィアちゃんは今宇宙農業モジュールの勉強をしてるわね~」
「宇宙でも農業するつもりなのか……」
「よくわからないところに行くんだから自給自足は大切だと思うわよ~」
「それもそうか。それで俺のコスモメタル製外骨格はできそうか?」
「それがね~面白い設計図を見つけたの~カニ用宇宙服があったのよ~」
「なに!?」
《カニも宇宙服必要なんですね……》
「それをベースに今までの色んな機能を盛り込んだスペーステッペイを設計したわよ!」
「もう作ってるのか!?」
「私は仕事が早いのよ~これからツーバイフォーも改造しなきゃいけないしね~。奥にあるから見てみるといいわよ~」
俺は急いで奥の製造部へと向かった。
そこにはつやを消されたが鈍い輝きを放つ水色を帯びた巨大な8本脚、2本のハサミの外骨格があった。
俺が近づき触れると前面が開きそのまま身に纏えるようだった。
プシュー。
俺が外骨格を身につけると様々なHUDが表示される。
酸素、毒液、潤いなどがゲージで表示されている。
HUDで流れる説明によると脚部には推進剤をふかして稼働するスラスターが付いており宇宙空間でも自由自在に動ける。
またキャビテーションにも十分耐えられるハサミの強度をしているがその衝撃を逃がすために背面大型スラスターが付いているらしい。
スラスターの推進剤は水で補う用になっておりそこは俺が自分で出さないといけないようだ。
ガシャンガシャン。
俺はみんなの前に戻って言った。
「これがスペーステッペイだ!」
「なんかもうカニっぽい何かになってきてるのじゃ」
「宇宙のカニはこれと似た見た目なのかも」
ドラミナとシオンの感想は普通だったが端っこでレオナルドが気絶していた。
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