第五十四話:無駄に自己主張の強い会社だな
俺たちがメトロカニポリスに入るとそれは目に飛び込んできた。
GENERAL MATRIX co.ltd
巨大なビルにそう書かれた文字が光っていた。
「これがGM社なのか?バーベル以上に自己主張が強い会社だな」
「目がチカチカするのじゃ」
「今のテッペイみたいだね!ちょっと入口がせまいからツーバイフォーは入れないね。骨もなさそうだし私は外で待ってるね」
「確かにこれはきちんと外骨格を纏っていたら入れなさそうな入り口だな」
俺はポロリと外装が落ちたコスモメタルを貼り直さずにはいることにした。
ドラミナは丸くて入れなかったのでブレスを吐かせて痩せさせた。なおGM社の入り口は一ミリも傷つかなかった。
屋内に入るとエントランスのようになっており、中央に光る台座があった。
ヴォオーン。
光る台座からホログラムが映し出された。
「光る人間じゃ!」
「投影の一種かしらねえ?」
「人の人による人のための便利な生活!人の革新を目指すゼネラルマトリクス社へようこそ!」
「しゃべったのじゃ!?」
「なんか人って言い過ぎでは?」
レヴィアの言う通り人という単語を連呼している気がする。
「お手持ちのGMメモリーをスロットに装填してください!」
ホログラムが朗らかに四角いフロッピーを手に取っている。
「どうやら早速エリシアが役に立つ時が来たようだな」
俺はハサミに摘まんでいたエリシアを装填しようとする。
《ちょっとそんなわけのわからないところに嵌めようとしないで!》
「いやGMメモリってお前の事だろう。入れないと何も始まらないからな」
俺はエリシアの講義を受け流しスロットに装填した。
「第一級機密ファイルを検知しました。地下研究所で閲覧してください」
そう言うと朗らかだったホログラムは無表情になり消えた。
ウィーン。
フロッピーエリシアが出てきた。
「どうやら重要物品だったらしいぞ」
《うーん、今ので少し思い出したような、とりあえず地下研究所は私がいれば入れるわよ!》
エリシアの案内で俺たちは地下に向かう扉の前に居た。
「まさかこの世界でエレベーターに出会うとは……」
「なんじゃそれ?」
「上下に移動するツーバイフォーみたいなもんだ」
「ほーん便利なものなんじゃなあ」
《えーと地下研究所と、良いわよ乗れるわよー》
エリシアの合図で全員乗ったが割と狭かった。
「社員が乗るならもう少し大型にするべきだろう……」
「機密っていってたし乗る人少なかったんじゃないの~」
「ふ、我の魅力と密着することになってテッペイも恥じらっているな」
「ゼノヴィアさんテッペイに触れてないですよ」
「早く降りたい」
レオナルドは死にそうになっていた。
グィイーン。
扉が開くとあちこちに光を灯したパネルがあった。
「うーむ、実に未来的だな」
「テッペイの考える未来はこんな感じなのじゃ?なんか辛気臭いのじゃ」
「いやそういうわけではないが……さてそれでどこにエリシアを挿せばいいんだ?」
《中央のでっかい端末よ!》
「なるほど」
俺はエリシアに言われた通り中央端末へエリシアを装填した。
ガチャ、ピーピーピー。
プロジェクトALSIAメモリログ。
銀河連邦歴
3500年、計画開始。
3510年、ガーディアンの孤立化、女神の他星系への移住に成功。
3520年、次元エネルギーの転用を開始。
3525年、人類が最も人類として輝いていた剣と魔法の時代をテーマにすることを決定。
3530年、次元天体兵器ALSIA管理とした惑星クルストフィアへの人類至上主義者の移住を開始。
3540年、移送次元にクルストフィアを幽閉。手違いで古代ヤドカリを取り入れてしまうが隔離に成功。
32000年、補機、ログバックアップとしてエリシアを作成。
33000年、エリシア、バグをクルストフィアに投入。
33002年、ALISIA損壊。
ログ再生終了。
ウィーン。
またエリシアが取り出された。
「つまり今の世界は、この会社が敷いたレイヤーの世界だったわけか。全部作り上げたわけではなく元からあった星を上書きしたと」
「どういうことなのじゃ?」
「大したことは書いてなかったってことだ」
《ちょっと世界の真実よこれ!軽く流さないで!》
「しかし俺たちには関係ないからな……それよりコスモメタルの加工法とか読みだせないのかフロッピー」
《あんたねえ!まあ確かにこの世界の人たちにとってはそれこそ今更関係ないことよね、コスモメタルは造船局に行けばわかるわよ!》
「それが聞きたかった、こんな思想の凝り固まった会社とはとっととおさらばしてコスモメタルの加工法を見つけるとしよう」
「またあのぎゅうぎゅうエレベーターに乗るのかと思うと、とんだショボい情報だったわね~」
「今度こそ我がテッペイの隣だな!」
「そうはさせんのじゃ!」
「お願いだから狭い所で動かないでくださいよ~」
こうして俺たちは無駄に自己主張の強い会社から出ていくのであった。
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