第五十三話:やけに頑丈なフロッピーだな
ヤドカリ神への怒りが冷めやらない俺であったが、奴が飛び去ったことで目の前へ見えるようになったメトロカニポリスの異様に息をのんでいた。
「ほとんどコスモメタル製の建物だな」
「でも眩しく反射してないのじゃ」
「艶消し技術はきちんとあるってことね~」
「なんか骨がなさそうだよねここ」
「敵の気配も感じれんな」
「戦いがないのはいいことだよ」
仲間たちは口々に感想を述べていた。
次の瞬間空が割れた。
ガシャーーン!
何かこの世界を覆ってたベールのようなものが壊されたようだった。
そして流星が降り注いだ。
「願い事をするのじゃ!」
「雑用を止められますように雑用をやめられますように、あ、もう流れちゃった」
竜人族には流れ星に願いをする習慣があるらしい。
呑気に流れ星を見ていたが1つこちらに向かって飛んできていた。
「む?」
俺は降って来た四角いものをハサミで弾く。
「隕石か?いやそれにしては随分小さいし四角かったような」
「薄いのじゃ」
ドラミナが拾って渡してくれた。
「これはフロッピーか?」
「フロッピーって何なのじゃ?」
「凄くたくさん書けるメモ用紙みたいなもんだ」
《ザリザリ……ちょっと人をメモ用紙にしないでよ!》
「喋ったのじゃ!?」
「でもこれ骨じゃないよ全部堅いし生き物なのかな?」
シオンとドラミナがそれぞれ驚いていた。
「ん?周りにも聞こえてるのか?」
「え?テッペイはこの声聞いたことあるの~」
メルティが珍しく毒と建材以外に興味を持つ。
「自称女神の声だ」
《自称じゃありません!女神なんです!あなたを転生させました!再生できるのも毒が平気なのも私のおかげなんです!!》
「なんか厚かましいのじゃ」
「神様の骨ってどんなのかなって考えてた過去の私の時間を返して!」
《ひどすぎるクレームなんですけど!私だってよくわかってないんですよ!でっかいヤドカリにいきなり天界がパンチで砕かれたんですから!》
「あのヤドカリ天界を壊しに行ってたのか……」
《テッペイ。ヤドカリってわかると急に冷たいですね》
「いや別にヤドカリは悪くない。俺が許せないのはヤドカリなのにカニの神の称号を名乗っていたことだ」
「うーん、とりあえずこの四角い板が女神ってことでいいのじゃ?それじゃあ沢山食べ物を出してほしいのじゃ!」
《そんなにほいほい力を使えるわけないでしょう!というかこの四角い身体になって何もできないんですけどね》
「ただの騒音発生器だね」
レヴィアの言葉のナイフは鋭かった。
「そうだなやかましいだけだし置いていくか……」
《ちょっと、待ちなさいよ!あなたを転生させてあげたんだから私も連れてきなさいよ!》
「しかしメリットが無いからな」
「我もメリットを提示できて一向に入れたのだから女神もなにか役立つことを証明するべきだろう」
ゼノヴィアは自身の経験からフロッピーエリシアに助言をする。
《えーっと……多分私計算とか得意だと思う。あとメトロカニポリスにGM社って奴の製品があったらきっと役立つと思う!》
「GM社か急にシオンのネーミングセンスみたいな会社が出てきたな」
「テッペイ。このフロッピー?の素材多分コスモメタルより凄いから素材として持ってるだけでもいいと思うわよ~」
メルティが興味津々だったのはやはり素材のほうだった。
《ちょっと私を解体する気じゃないでしょうね!女神殺しよ!》
「やりたいとこだけど今の所方法が無いから安心していいわよ~」
「コスモメタルすら加工法を確立してないのにさらに頑丈なフロッピーとはな……あのヤドカリの殻も凄そうだったし宇宙に行くしかないか……」
「宇宙って何なのじゃ?」
「星の海の事だ」
「星の海、新しい骨、私は賛成!」
「まあ待て、余達はまずロストランドの開拓に来たのであっていきなり星の海に行ってもらっては困るぞ」
シャルロッテのストップがかかる。
「そういえばそういう依頼だったな。メトロカニポリスを探索した後、カニ達と話をつけて居住地を建てたら宇宙に挑む。これでいいな?」
「ああ、それなら問題ない。余達は星の海へは付いて行かんがな。少し興味はあるが開拓地を放っていくわけにもいかん。それにレオナルドは流石に耐えられなさそうだしな」
シャルロッテがそうきっぱり言うとレオナルドは胸をなでおろしていた。
「さて、そうと決まれば探索をするか」
俺たちはフロッピーエリシアを仲間に加えメトロカニポリス跡へと入っていった。
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