第五十一話:眩しいテッペイ
俺とデイノケイルスは正対し睨みあっていた。
ギュルルル。
奴の目からは何の感情も読み取れないが、自身の縄張りに入ってきた俺のことをよく思っていないように感じた。
「さて、どうするか」
シオンの注文にこたえるためにはキャビテーションで吹き飛ばすのは論外だし、奴の腕の攻撃をハサミで受けて骨折させてしまうのもまずい気がする。
そもそも今の軽装の俺ではダイナソーの筋力を受け止めたら足元が耐えられず潰れてひどいことになるだろう。
そんなことを考えるとデイノケイルスはその巨腕を振り下ろしてきた。
スススーッ。
俺はいつも通りのカニ歩きで攻撃を避ける。
ズダーン!
デイノケイルスの一撃は大地を砕いていた。
「まずいなあんな振り下ろしを何発も地面にぶつけてたら、もしかしたら骨折するかもしれん」
《さっきから心配するところおかしくないですか!?》
今のやり取りでデイノケイルスは俺のカニ歩きについてこれないのを確信した俺は取り合えず横っ腹を殴る方針で行くことにした。
ドゴォ!
素早く横を取り腕を避けて脇腹付近を狙った。堅いゴムタイヤを全力で殴ったような衝撃しかなかったが吹き飛ばすことには成功した。
「これは効いてないか?」
俺がそう思っているデイノケイルスは鋭いコスモメタルの塊にぶつかった。
グシャア!
確かにデイノケイルスの革は強靭だったのだろう。だがコスモメタルの頑丈さはその比ではなかった。
デイノケイルスは百舌鳥の早贄みたいになってしまっていた。
自力で抜け出すこともできず流血しそして絶命した。
《なんだかかわいそうな最後ですね……》
「ふむ、腕は無事だな」
《結局気になるのそこだけなの!?》
問題はこいつがデカすぎるから持ち運んで帰るのが至難だということだ。
俺はドラミナのように飛べないので地面に引きずりながらになってしまう。そうなると腕の損傷が心配なのだ。
「仕方がない。小型ダイナソーが寄り付かないことを願って、ツーバイフォーを呼びに行くか」
そう呟くと俺はツーバイフォーに爆速で帰還した。
「シオン、デカい腕のダイナソーを狩ったぞ。持って帰れなかったから急いでツーバイフォーごと移動だ」
「ええ!?本当に見つけたの!?それは急がないと!エンリケ君出番だよ!」
「ちょっと~まだ壁の張り替え終わってないわよ~」
「それは後だメルティ木材など比較にならん素材を見つけた俺の手に刺さってるこれを見ろ」
《なんで引き抜いてないのよぉ~》
「これは~……ちょっとよくわからないけど凄いわね~……1000年生きてるわたしでも真顔になるわ~」
「そういうことだ。他のみんなも準備はいいな?」
「準備といってもツーバイフォーに乗るだけなのじゃ」
「あたしはいつでも設置されてるし」
《レヴィアちゃんは自分を物扱いするの止めましょうね!?》
「我はいつでも良いぞ」
「余たちも平気だ」
こうして俺たちは爆速でデイノケイルスを仕留めた空き地に向かった。
道中小型ダイナソーに会うこともなく、デイノケイルスは綺麗に早贄のままだった。
「わあ!でっかい腕だぁ!」
シオンは目を煌めかせていた。
「これで完璧なエンリケ君GDになるね!」
「何の略なのじゃ……」
「ギガダイナソーだよ!!」
「メルティさんと言いシオンさんと言い接尾語を付けないといけない病気なのかな」
「レヴィアちゃんも接尾語ほしいの~?」
「あ、いえ今のままで十分です!機能的です!」
「さて解体解体!」
シオンはうきうきとデイノケイルスを解体しに行った。
普段はセットで動くメルティはコスモメタルへ釘付けになっていた。
「テッペイ!この素材凄いわ~!わたしの腐食毒がまったくきかないの~!」
「それは加工が困るのでは?」
「とってもこまるわ~そもそも材質が複合的すぎてどう作ってるかわからないのよ~。これじゃあここに落ちてるものを加工するしかできないわ~」
「む?となるとツーバイフォーEDENの強化には使えないのか」
「体積が足りないわね~テッペイの外骨格もギリギリ足りるかどうかじゃないかしら~」
「なるほど、カニ達は星の海をこの素材で旅してたらしいから、ロストランドを探せば追加で見つかるかもな」
「星の海~?」
「カニ達はそう言ってたぞ」
《私はそんなの認めてないですけどね!》
「まあその話はまたカニたちに聞くとして、俺の外骨格は新調できそうか?」
「小さいかけらで大きいかけらを加工すれば何とかなると思うわよ~。サンドワームの内張りの余りを使って上に接着しましょ~」
「加工方法も原始的だから外骨格としての制度はイマイチか」
「それは仕方がないわね~魔導コアも搭載難しそうだからまた二足歩行よ~」
「耐えがたい後退だが仕方があるまい。今後の伸びしろに期待しよう」
そうしてメルティの試行錯誤から初代ミスリル外骨格に近いシルエットの外骨格が完成した。
「ふむ、着心地は悪くないな。慣れ親しんだサンドワーム革だ」
「テッペイ眩しいのじゃ」
「めちゃくちゃ光を反射してるよ~」
ドラミナとレヴィアの反応はイマイチだった。
「我は派手でいいと思うがな」
「流石に目立ちすぎではないか?」
ゼノヴィアは好印象でシャルロッテは渋い顔をしていた。
「あー!テッペイ!エンリケ君GDより目立ってる!せっかくエンリケ君がかっこよくなったのに!」
シオンはなぜか憤慨していた。
「確かにこれは光りすぎだな。艶消しとかないのか?」
「色んな薬剤を弾くから無理なのよ~」
「しばらくは全身反射体で過ごすしかないか……」
《こんなのカニ型ミラーボールよ~!!》
最強の素材は課題も最強のようだった。
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