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第五十話:これは究極素材じゃないか?

 ツーバイフォーやエンリケ君の改良のため俺たちは一休みしていた。


「いやあ、気絶から覚めたらいきなりダイナソーに囲まれていて死ぬかと思いましたよ!姫様を守ろうにも私だと生餌くらいにしかならないでしょうし……」


 レオナルドは物凄く疲れた表情をしていた。


「余はテッペイ達の余裕を見て安心しておったがな」


 シャルロッテは豪胆だった。


「レオナルドもシャルロッテちゃんもこのダイナソー武器使えば戦えるかもしれないわよ~」


「いやいくら刃が通るようになっても敵の一撃が致命傷だから無理ですよ!姫様もよーし戦ってみるか!とか思わないでくださいね!」


「だが、余は一応開拓団の総督であるしただ乗ってるだけというのもいかんだろう」


「死んだら総督も何もないんですから絶対に自重してくださいね!」


「あ、これあれだよ押すなよ、押すなよだ」


《なんでレヴィアちゃんは古典的リアクション芸の導入を語ってるのぉ!》


「そういえばレヴィアは戦闘に参加してなかったな」


「あたしは備品だから!」


 レヴィアは物凄くきっぱりと言った。


「レヴィアちゃんは戦闘よりこれからの作業の方が沢山仕事あるものね~」


「一生懸命やらせてもらいます!」


 レヴィアの目はグルグルしていた。


 そんなやり取りを横目に見ていた俺にシオンがずんずんと近づいてきた。


「テッペイ!やっぱりバランスが悪いよ!早く腕のデカいダイナソーを探してきて!」


「いきなり何を言い出すんだ」


「だって見てよ。この新しいエンリケ君の姿を!」


 そういってエンリケ君に目を向けると、頭はTレックスの頭蓋骨を被り胴体にトリケラトプスの頭骨を被せた頭が二段重ねになってるように見える奇怪な姿があった。


「うーん…‥これはなんだ?」


「脚と胴体は完璧なんだけど腕が貧弱過ぎてダサいんだよ!もっとマッシブな腕が欲しいの!」


「いやそれはいい腕もないのに胴体を取り付けたシオンが悪いのでは……」


「私は最強の骨で安心にロストランドを案内するために全力を尽くしてるんだよ!悪くない!」


「そうはいってもそんな露骨にデカい腕のダイナソーは出てこないだろさっきも出てこなかったし」


「だから密林を爆走して連れてきてよ!」


「それはツーバイフォーの守りが疎かになるだろう」


「我がいれば雑魚ダイナソーは事足りるだろう」


「私達もダイナソー武器で戦えるようになりましたしね!」


 シグルド君の目の炎は煌めいていた。


「いざとなれば余も戦えるぞ」


「だからダメですって!」


 シャルロッテもやる気だったがレオナルドが思いっきり止めていた。


 どんな形でも気苦労の絶えない男である。


「まあそれなら挨拶がてら先住カニたちに情報を聞きに行くか……」


 俺は久しぶりに単独行動で密林を走破することにした。


 綺麗なせせらぎが流れそこは静かな場所だった。


「おお、この世界に来たばかりの時を思い出すな」


《今もほぼ半裸ですしね!》


「ふ、来たばかりの時は碌な世界じゃないと思っていたが、こんな素晴らしい場所があったとはな」


《私は困惑してますけどね!なんなのここ!》


(おお!おお……人間ではないですか!)


 ものすごく黄色いカニがこちらに向かってきていた。


 さらに赤いカニ、青いカニ、紫のカニなども次々とやってくる。


「ああ、先住カニたちか。ゲオセサルマクランだな?」


(私たちの違いが分かる人間なんて本当に存在したのですね、それにしても美しいフォルムをしていますね)


「今は外骨格が無くて不格好なんだがな……」


(なるほど確かに伝説にある最強の人間も全身装甲に包まれてましたし人間とは装甲を纏いたがるものなのですかね?)


「いや俺はカニになりたいんだが……」


(なるほど我々の仲間になりたいと、しかしそれは生半可な道のりではないでしょう。カニ神様にお伺いをたてるのはどうですか?)


「元からそのつもりだが、いい外骨格がないと失礼な気がしてな」


(あの方はそのような事気にしないと思いますがその心意気は良いですね。先人の残したコスモメタルなどが美しくお勧めですよ)


「それはどういうものだ?」


(遥か昔我々の先祖が星の海を旅するために生み出した物質だとか。ここよりさらに奥に入ったところでちらほら転がってますよ。青みかかった鏡面状の物質なので直ぐにわかると思います)


「ほお、助かる、ああそうだ、ところで腕が異常に発達したダイナソーを知らないか?」


(ふうむ。デイノケイルスですかね。コスモメタルの落ちてる周辺に住んでるかもしれませんよ)


「情報感謝する」


(いえ、私達も人間を間近で観れて嬉しかったですよ)


「それにしてもコスモメタルか……宇宙があるのか?」


《そんな設定した覚えないわよ!》


「全く役に立たんな……」


 俺はエリシアの天の声の役立たなさを再確認し、ゲオセサルマ達から聞いた場所へ向かった。


 そこは不自然に木々が生えておらずぽかんとした空き地で、そこにガラス片のようにコスモメタルと思わしき青みかかった物質が散乱していた。


「こんなもので強度が高いのか?」


 俺はあまりにも頼りない見た目の物質をとりあえず全力で挟んでみた。


 グシャ。


 ハサミを貫通して手にコスモメタルが刺さった。


「なんてことだ、傷つかないどころかダイナソーの牙を貫通するとは。これは今までで一番の素材なんじゃないか?」


《でも硬すぎて加工できなさそうですよ》


 確かにエリシアの指摘通りだ。ここは一度戻ってメルティたち専門家に見てもらうとしよう。


 俺が踵を返してツーバイフォーに向かおうとしたその時広場に異常にデカい腕をもったダイナソーが現れた。


「本当に出るとはな……骨さえあればいいからここで仕留めていくか……」


 俺とデイノケイルスの一対一の戦いが始まった。

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