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第四十九話:すっごい種類いる!

 とりあえず俺たちは仕留めたティラノサウルス型ダイナソーの骨を使って応急強化することにした。


 アビスオーレを砕いた牙は俺の新しいハサミに、巨大な肋骨はツーバイフォーのメインフレームに外付けして少しでもダイナソーの攻撃に耐えられるよう取り付けた。


 残りの骨は適時エンリケ君に組み込んでいたが、シオンは微妙な表情だった。


「やっぱり腕だよね腕、腕が無いからしっくり強化できないんだよ。腕の大きなダイナソー居ないかなあ」


「いやそんなピンポイントに都合のいいダイナソーがいるわけないだろう」


「じゃあカニ達からハサミを譲ってもらうとか……」


「脱皮殻ならともかくいきなりもいでよこせは無理だろ」


「テッペイはすぐ腕くれるのに?」


「俺はカニの中でも再生が早い方だからできるんだ」


《カニじゃないですけどね!人間ですけどね!しかも私のおかげですけどね!》


「まあ、応急強化もできたし少し密林に入ってみるか?」


「ここでのんびりしてるのもいいと思うんじゃけどな~」


 ドラミナはふわふわ浮かびながら働く気がないようなことを言っていた。


「そうか、ここは自給自足の地だ、頑張って自分で食料を見つけるんだぞ」


 俺は冷たく言い放った。


「なんでじゃ!?農業畜産モジュールがあるから自分で狩りする必要なんてないのじゃ!」


「ツーバイフォーも一緒に密林へ突撃するに決まってるだろう。放っておいてダイナソーに襲われたら困るからな」


「わかったのじゃ……一人は寂しいし……」


 ドラミナは渋々納得していた。


 そんなこんなで密林に入ると赤い甲殻が近寄ってきた。


(ああ!ガザミクランさんが言ってた人間だ~。こんにちは~)


 友好的な念話が届いてくるどうやら先ほど会った巨大カニはガザミであっていたらしい。


「あ、こんにちは。そちらはサワガニですか?」


 俺は少し緊張して聞いた。


(そうだよ~よくわかったねえ。この先は美味しい水場があるからサワガニクラン以外も色々集まってるよ~)


「そうなんですか、その色々というと例えばどんな」


(ベンケイガニクランとか後はゲオセサルマクランとかかな。みんなピカピカで派手だよ)


「ほお、そうなんですね、機会があれば挨拶に行きたいと思います」


(みんな久しぶりの人間の定住に喜んでるから歓迎されると思うよ~)


 そういってサワガニは去っていった。


「カニって色々いるんだね」


「そうだな、今サワガニが紹介してたのは淡水域のカニ達だな。」


「甲殻の強度はガザミほどじゃなかったね」


「元の大きさが違うからな」


「毒を扱うカニがいたらいいのに~」


「そのうち会うと思うぞ」


《なんで確信して言えるのよ!ていうか何ここは水族館なの!?》


 ギャリギャリギャリ。


 密度の高い密林は巨大なツーバイフォーEDENを牽きながらの前進はなかなか思うように進まなかった。


「むう、やはりこの土地に住むカニ達のあのフレキシブルな脚の動きに比べれば車輪のツーバイフォーではこうもなるか」


 俺はゼノヴィアやドラミナ、シグルド君、ガイラス君と共に道を作っていた、がそこで気づいたことがある。ここの木々めちゃくちゃ頑丈である。


 刃が通るのは俺のダイナソーハサミかゼノヴィアの大剣ぐらいだった。つまりこの木アビスオーレより頑丈である。


「元魔剣士として木も切れないとなると少しへこみますね……」


「俺様も木すら切れない魔将軍とかかっこが付かねえよ」


 二人は少ししょんぼりしながらドラミナと一緒に切り倒した木をどけたり切り株を掘り返したりしていた。


「なんじゃろなーパワーは足りてると思うから武器の問題な気もするのじゃ」


 地面から木をぶっこ抜きながらドラミナが感想を述べる。


「その見解は我も同意するぞドラミナ、シグルド君試しに我の剣を使ってみろ」


「え?魔王様のですか?」


 シグルド君は元魔王軍なのでそこはちょっと気にかかるらしい。


「私は魅力的な魔族のお姉さんだ気にするな」


 いつものごり押し理論をゼノヴィアは展開しシグルド君に剣を持たせた。


「では僭越ながら」


 ズバッ!


 見事に大木が切断された。


「なるほど技術や力の問題ではなく道具そのものの性能が足りてればよいと……」


「ダイナソー乱獲が必要ね~」


「腕のデカいダイナソーが特に歓迎だ!」


 シオンとメルティは怪しい目の輝きを放っていた。


「あ、この木材もたくさん集めておいてね~初心に帰って木製ツーバイフォーもいいかもしれないから~」


 確かにこれだけ頑丈な木材ならアビスオーレ外装から張り替えてもいいかもしれなかった。


 いったん進むのを止めてツーバイフォーを木材外装へすることにした俺たちの前に、やはりという感じで少し小型のダイナソーたちが周囲を囲んでいた。


「手がカギ爪みたいになっているな、武器に加工しやすそうだ」


「強度も申し分ないよ!」


 シオンのテンションが上がっていた。


「我らの装備品になるが良い」


 ゼノヴィアは麦わら帽子のつばを触りながらかっこを付けていた。ポーズをとるのが癖になっているのだろうか。


「今のツーバイフォーじゃ耐えられないから早く片付けてね~」


「私たちも骨壁くらいにはなりましょう!」


「俺様の炎でも素材として残るくらい頑丈なのは逆にありがてえぜ!」


 シグルド君とガイラス君もそれぞれのやる気に満ちていた。


 ドゴォ!


「こいつら弱いのじゃ」


 ドラミナの全力パンチを受けて小型ダイナソーは無残な姿に一発でなっていた。


「最初の奴がどうやらガッジィーラみたいに特別強かったみたいだな」


 そうこうしてるうちに小型を狩りつくした俺たちであったがそこに大型のダイナソーが追加で現れた。


「これはどう見てもトリケラトプスだな」


「なんじゃそれは」


「見ての通り頭がデカくて頑丈で角が生えたダイナソーだ。もしかしたらここはこいつの縄張りだったのかもな」


「とりあえず殴るのじゃ」


 ゴイーーーン。


 ドラミナのパンチはトリケラトプスの堅い革に完全に跳ね返された。


「サンドワームの時を思い出すのじゃ!衝撃を吸収するのじゃ!」


「サンドワームは馬鹿でかかったからまあわかるがこのサイズ感であれ並というのは流石ダイナソーだな」


「テッペイ!こいつの頭の骨は素材にしたいから絶対壊さないで!」


 シオンからの厳しいオファーが出てしまった。


「それならキャビテーションは使えんな」


 いまのTレックスハサミで撃ったら地形ごと消滅しかねないので仕方なく殴打で戦うとしよう。


「頭以外狙いか、なかなかテクニカルでよいな!」


 ゼノヴィアは一瞬でトリケラトプスに回り込み斬撃を叩き込んだ。


 ドシャア!


「ぬ?刃が止まっただと、凄まじいなこれは」


 今まで斬撃を防がれたことになかったゼノヴィアにとっては新鮮な体験だったようだ。


 クワアア!

 

 浅く傷つけられたトリケラトプスは怒り狂い最も大きな的であるツーバイフォーに突撃しようとした。


「むーん!」


 ズササササ。


 そこにドラミナが割って入り角を掴んで押し留めた。


「いいぞドラミナ!」


 俺はハサミを閉じトリケラトプスに刺さったゼノヴィアの剣を殴って押し込んだ。


 クワアアアアアアア!


 トリケラトプスは大量出血し、その場に倒れ伏した。


「いい所に刺さっていたな」


「偶然急所付近で刃が止まっていたのか」


 ゼノヴィアは剣を引き抜きながら言った。


「やったー!この頭のフリルと角をエンリケ君にくっつけるぞー!」


 シオンがとんでもないエンリケ君魔改造計画を立てていた。


《カニだけじゃなくてダイナソーもなんで色んな種類がいるのよぉ!》


 エリシアの嘆きが頭の中でいつも以上に木霊していた。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます!

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