第四十八話:先住民との遭遇
俺は驚愕した、そこには巨大なガザミにしか見えないカニが複数いた。
(こないだ、送り出したのにまた来たんだねえ。人間なんてじいさんのじいさんのそのまたじいさん位からしか聞いてなかったけどちょっと見た目が違うような)
ガザミたちは角や尻尾の生えたドラミナやゼノヴィアをみて不思議そうに、ぱっと見は無表情だが、していた。
《なんで巨大なカニが念話を送ってきてるのよぉ!ほんとは中に人間が入ってるんでしょ~!そうだと言って~!》
「テッペイこいつら完全にカニだよ!」
「魔王軍にもカニの幹部がいたが、それよりこうなんというかリアルなカニというか」
シオンは外骨格を認め、ゼノヴィアも不思議そうだった。
「巨大カニとはお前たちの事なのか?」
俺は残ったハサミを取り付け腰布を巻いて尋ねた。
(巨大って言うほど俺たちはデカく無いべ、ほんとにデカいのはカニ神様くらいじゃないと)
「カニの神……だと!?」
《なんで甲殻類の神がいるのぉ!姉さんちょっと!姉さん!なんでこんな時にオフラインなのよぉ!》
「ああ、そのカニの諸君、君たちはなぜ人間の言葉を理解できるのだ?」
シャルロッテがもっともなことを聞く。
(俺たちにもわかんねえんだ、生まれた時から使える念話が人間の言葉と一緒らしいんだよなあ。カニ神様なら何でも知ってるから理由がわかるかもしれねえ)
「ふむ、まあ君たちはここに先住してるとして、我々が開拓してもいいだろうか?」
(人間にはちょっと過酷な気がするけど浜辺は人間の土地って昔から決まってるから大丈夫だべ。森も開拓していいけどほどほどにしてくれよな)
「ずいぶん寛容なのだな」
(カニに優しく人にはもっと優しくってのはカニクランでの常識なんだ。それじゃあ俺たちは他のカニクランに人間が移住してくるって伝えてくるから。じゃあな!)
そういうとガザミの一団は去っていった。
俺はしばらく呆然としていた。
「テッペイ?しっかりするのじゃ!」
「あ、ああ俺の理想とする姿があまりにも完璧に提示されたのでな、少し呆けてしまった」
「テッペイでもカニにかかわることは情緒が揺さぶられるのね~」
「話が分かるカニで助かったがな」
シャルロッテは満足そうだった。
「うーん多分あのカニ達に襲われてたら、わたしたち全滅してたと思うよ。外骨格の密度がわかんなかったもん」
シオンは胸をなでおろしていた。
「そもそもアビスオーレを噛み砕ける生物の地でコミュニティを平然と作ってるからその戦闘力は推して知るべきだろう」
ゼノヴィアは至極真面目に分析していた。
「妾でも話にならなさそうな大陸なのじゃ~」
「毒で死ぬしそこまで隔絶していないんじゃないかしら~。テッペイが噛み砕かれたのもこの牙が異常な強度だからっぽいわよ~」
メルティの素材見分によるとそういうことらしい。
「どちらにせよカニの神とやらに会うには今の姿では不格好だな」
俺は腰布状態の自分を眺めて言った。
「ダイナソーの骨で外骨格作る?それともさっきのカニを狩っちゃう?」
「さっき自分で襲われたら全滅って言ってたじゃない!なんで敵対しようとしてるのよ!」
レヴィアは全力で止めようとする。
「友好的なカニと敵対することはありえん。この大陸にアビスオーレより強靭なダイナソーの骨以外の素材が見つかればいいんだがな」
「ツーバイフォーもエンリケ君もこのままだとダイナソーに襲われたら耐えられそうにないしね~」
「まずは近場を探索して、この大陸踏破の足掛かりを作ろう」
「もしかしたら他のカニに聞けば何か教えてくれるかもしれないしね!」
シオンはダイナソーの骨をいたく気に入ったのかすごく上機嫌だった。
こうして俺たちのロストランドでの生活が始まったのであった。
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