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第四十七話:こんなの聞いてないわよ!

 ロストランドへ向かうことにした俺たちは、大急ぎで準備をしていた。


 まずツーバイフォーSPAの改築をした。


 外壁をすべてアビスオーレで強化し、レオナルドとシャルロッテの部屋を増築し、畜産、農業ユニットを居住区の後ろに取り付けツーバイフォーEDENとした。


 そのついでに俺の外骨格もアビスオーレ製になった。ゼノヴィアの大剣に簡単に切断されてしまう強度だが今はこれ以上の素材がないので仕方がない。ロストランドでの発見に期待するとしよう。


 材料も自前、労働力も自前なのでサクサクと準備は終わった。


「そのこう聞くのもなんだが、テッペイは海でもツーバイフォーに乗らないのか?」


 シャルロッテは依然俺がツーバイフォーへ乗らずに並走していたのを知っているので疑問に思ったようだ。


「アビスランドに行くまででも並走してたから今回も乗らないと思うわよ~それにツーバイフォーにはテッペイの部屋はないでしょ~?」


 俺に代わりメルティが答えてくれた。


「アビスオーレはアダマンタイトより軽いからな、アビスランドより遠くても魔導コアは持つだろう」


「王家の秘宝がタダの脚の稼働に使われてるのはいまだに腑に落ちぬが」


「余剰出力をドリルに浸かってるから歩脚だけで消費してないぞ」


 ギュイーンとハサミを回転させる。


「そういう問題じゃないと思います」


 レオナルドはもう俺の一挙一動に慌てることはなくなったらしい。


「しかしあれだな、流石のエンリケ君Gもこれだけツーバイフォーが巨大化すると重そうだな」


「ガッジィーラの腕をテッペイが消し飛ばすから腕まで強化できてないのが痛いよね。ロストランドはアースドラゴンだらけらしいから早めに強化できるといいなあ」


 シオンはまだ見ぬアースドラゴンの骨を楽しみにしているようだった。


「しばらくはジョシュア君の魔物強化スキルで頑張るしかないか」


「エンリケも俺に強化されて働くなんて生前は考えてなかっただろうになあ」


 今更なことをジョシュア君は呟いていた。


「さて、じゃあレオナルド、ロストランドまでの道のり案内を頼むぞ!」


「任せてください!」


 レオナルドは力強く頷いた。


 そして出発から数時間後。


「テッペイさんもう中に入っていいですか!?こんなに早いなんて聞いてないですぅぅぅ」


 レオナルドの顔面は空気抵抗でビラビラしていた。


「ん?海に出たばかりだぞ?方角がちゃんとあってるか大陸が見えるまで分からないからちゃんと案内しろ」


 俺は海をダカダカと走りながらレオナルドを嗜める。


「こんな状態じゃ方角の確認なんてできませんよぉぉぉ」


「生身だとそんな感じになるのか仕方がない中からジョシュア君に指示を出してくれ」


 何とかツーバイフォーの中にレオナルドは入っていった。


 そんなやり取りから更に数刻経つと遂にロストランドの影が見えてきた。


「おお、ずいぶん海岸線が広そうだな。巨大なカニはいるかな?」


 目を凝らしてみるがまだカニの姿は見えなかった。


《今更なんだけど私こんな大陸知らないわよ!》


「なんで世界を管理してるのに知らないんだ?」


《うーんそれが不思議なのよね、姉さんなら何か知ってるかもだけど聞くの怖いし》


「相変わらずガバい天界だな……」


《ガバくない!あんたがきてからがおかしいの!》


「責任転嫁とは、まあお前はそういうやつだったな」


《ぐぬぬ!なぜいつも見下されるのよ!》


 そんなくだらないやり取りを脳内でしているうちに俺たちはロストランドの海岸へと上陸した。


「新天地なのじゃ~」


 勢いよくドラミナボールがツーバイフォーから飛び出してきた。


「何だか蒸し蒸しするよ!」


 シオンは気に入らないようだ。


「木々が生い茂るといってたがこれはジャングルだな」


「テッペイさんはこう言った植生を知っているのですか?」


「まあな」


 俺はレオナルドからの質問に適当に答える。


 ギャオオオオン。


 そんなジャングルから巨大な咆哮が聞こえてきた。


「お、アースドラゴンか?」


「なんじゃ早速か?忙しいのじゃ」


「我の農業畜産モジュールが破壊されないように防備せんとな」


「私と姫様は中で待機してますね!」


 レオナルドは素早く実を翻そうとした。


「何を言う余も未知のアースドラゴンを見るぞ」


「いや姫様人間が相手する奴じゃないですよ多分」


 そんなやり取りをする中ジャングルから出てきたのはどう見てもティラノサウルスだった。


「これはアースドラゴンというよりダイナソーだろう」


《こんな生き物作った覚えないんだけど!!!》


 ドシドシドシ!


 ティラノサウルスは思いのほか早く肉薄してきた。


 ガキィイーン!


 巨大な顎が俺を嚙み砕こうとする、しかしアビスオーレ製の外骨格を貫けるはずもなく……。


 そんなことはなかった恐ろしい怪力と歯の頑丈さ俺は噛み砕かれてしまった。


「あ、テッペイが齧られたのじゃ」


「お肉は使えないね」


 ドラミナとレヴィアは達観していた。


「我はどういうことかわからんのだが?」


 新入りのゼノヴィアは首を傾げる。


「テッペイの体は猛毒なのよ~」


 メルティは久しぶりのテッペイ咀嚼発生にウキウキしていた。


 レオナルドはあまりの惨状に気絶した。


「うーん、ガッジィーラと被るからどこの骨を使うか迷うなあ」


「テッペイは救助しなくてよいのか?」


 シャルロッテがもっともなことを聞いた。


「どうせすぐだいなそー?は死ぬのじゃ」


 そんな余裕しゃくしゃくなドラミナたちの前でティラノサウルスはテッペイを吐き出し悶え苦しみ始めた。


「ガッジィーラと見た目が似てるからやっぱりガッジィーラ毒は効くのね~」


 メルティはティラノサウルスの苦しみ様を丁寧にメモしていた。


「しかしアビスオーレテッペイを噛み砕くなどこの地の生物はなかなかに強いな」


 ゼノヴィアは麦わら帽子を弄りながら感心する。


「骨の強度もレベルが違うね!」


 絶命を確認したシオンは早速メルティと解体していた。


(あんれま~、ダイナソーをやっつけるなんて今度の人間は凄いねえ)


 突然俺たちの頭に呑気な声が響き渡った。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます!

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