幕間:ドラミナの無駄遣い
これはハイランドで大金を稼いでグラスランドに帰還したころの物語。
「今日は何を食べるか迷うのじゃ~。50万ゴルドもあったら食べ放題なのじゃ」
ドラミナはご機嫌でグラスランドの商店街をぶらついていた。
「おう、ドラミナ随分景気のいい話をしてるな!」
普段よく食べに行く格安串屋の店主が話しかけてきた。
「そうなのじゃ!ハイランドで沢山稼いできたのじゃ!だから今日は格安串屋にはいかないのじゃ!」
「そうかそうか、それはよかったな。じゃあ今までの付けも払ってくれるな?」
「……いくらになるのじゃ?」
「3万ゴルドだな」
「楽勝なのじゃ!今出すのじゃ!」
ドラミナはパンパンに膨らんだお小遣い袋から金貨を3枚取り出し店主に渡した。
「カーッ!あのドラミナが借金を返し終わるなんてよ!すげえことだぜ!」
店主はしきりに感心していた。
「失礼なのじゃ!これからは裕福食べ放題ドラミナになったのじゃ!」
「へっ!またうちに泣きつくようにならないことを願ってるぜ!」
「そんなことにはならないのじゃ!」
ドラミナは串屋の店主と別れると、普段は入らないレストランに入った。
カランコロン。
「いらっしゃいませ!一名様ですか?」
快活な店員が出迎えてくれる。
「ひとりなのじゃ!」
「ではこちらへどうぞ」
席へ案内されたドラミナはメニュー表を目を皿のようにして眺めた。
「文字だけじゃ何の料理かよくわからないのじゃ……うーん、そうじゃ!」
チリン。
呼び鈴を鳴らして店員を呼ぶ。
「ご注文はお決まりになりましたか?」
「メニュー表に乗ってる物、全種類をもってくるのじゃ!」
「え!?全部ですか?」
プロとして長らく務めてきた快活な店員もこれには驚愕せざるを得なかった。
「全部じゃ!お金ならあるのじゃ!」
ドスン!とドラミナはお小遣い袋を置いた。
「わかりました!しばしお時間をいただきますが注文を承りました」
そこからは、次から次へとやってくる料理との戦いだった。
豪華な骨付き肉のステーキ、ふんわりとした卵で包まれたオムライス、薄切り肉のソテー、巨大なパン、窯焼きのピザ。
ドラミナが今まで満足に食べたことのない料理を次々と完食する。
そして最後の一品を食べドラミナは一息をついた。
「ふい~満腹なのじゃ~」
そこには気高い竜姫のシルエットはもうなかった。あったのは球体のなにかであった。
そこに快活な店員がやってくる。
「お支払いは20万ゴルドになります!」
「お小遣い袋から持ってってくれればいいのじゃ!」
ドラミナは丸い身体で言った。
ジャラジャラ。
「お客様!袋の中に銀貨と銅貨ばかりです!これではとてもじゃないですが足りません!」
「なんじゃと~。どういうことなのじゃ!50万ゴルドはあったはずじゃ……」
だがその時ドラミナは思い出した、メルティにお小遣い袋を渡された時のことを。
「ドラミナちゃん。5万ゴルドで今後はやりくりするのよ~追加はダメよ~」
「……ツケはだめなのじゃ?」
「ダメです」
快活な店員の目のハイライトが消えた。
この後ドラミナはメルティに事情を説明しきちんと支払いを終わらせたが、その後壮絶な毒のお仕置きを受けたのであった。
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