幕間:エンリケ君の気持ち
俺はエンリケ、元魔王軍グラスランド侵攻隊長だ。
元と言うと今は何をやってるかって?どでかい移動要塞を牽くのが今の仕事だ。
なぜそんなことになったかというと俺にもよくわからん。
俺はただバイトの死霊術師に仕事の催促にいっただけっだったんだが、そこで出会った緑銀色の全身装甲を着た化け物テッペイさんに一撃で絶命させられたんだ。
死んだのになんで回顧してるのかって?バイトの死霊術師にスケルトンとして復活使役されたからだ。
不満はないのかって?唯一の不満があるとすればしゃべることが出来なくなったことぐらいだ。
待遇に文句はない。俺たちオーガは巨体と凄まじい膂力を誇る。そのせいか強さ=正しさの価値観なんだ。
俺が魔王軍に入ったのも、オーガの中で特に秀でてた俺が調子に乗ってケンカを吹っかけて負けたからだ。
俺はオーガの中では一番だったが、魔族の中では中堅程度の力しかなかった。
だから俺は俺を一撃で仕留めたテッペイさんへ従うことに何の違和感もなかったし、役に立てることを光栄に思っている。
だが俺をスケルトンにしたバイト、シオンへの気持ちは複雑だ。俺のことを大切に思ってくれているのだが、頼んでもないのにやたらと骨を磨いてくる。
それだけならよかったのだが俺がしゃべらないのをいいことにどんどん骨を入れ替えていくのだ。
強くなること自体は嬉しい。アイスドラゴンの骨の一部を取り込むところまではそこまでおかしくなかった。
だがガッジィーラの頭骨を被せられた時、俺はこれは違うだろと思った。そこは普通に兜とか被せてくれればよかった。
今の俺は頭骨に頭骨を被っているという奇妙な姿になってしまった。身体能力は劇的に上がったが俺のオーガとしてのアイデンティティは大きく揺らいでしまった。
だが今後もシオンやテッペイさんは俺を好き勝手改造していくんだろう。そうしなければ過酷な牽引に耐えられないのだろうから。
今は少し休みに入っているが俺はすぐに次の牽引が始まると確信している。
テッペイさんは一所に納まれる人ではないのだから……。
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