第四十二話:俺たちは何を見せられてるんだ?
「テッペイ!見て!見て!すっごい骨が落ちてるよ!」
魔王城を進む俺たちだったがちょっとした広間に出たらシオンが急に呼び止めた。
「あーこれは多分魔将軍ガイラスじゃないですかね……」
「そうなの?シグルド君」
「ガイラスは全身が燃え盛る炎みたいな体をしてたんですけどやられて骨だけ残った感じですかねこれ」
「ガイラス将軍骨あったんすね」
ジョシュア君はしみじみと言った。
「よーし死骸術で蘇らせよう!」
「なにをしている!これが魔将軍ならカイトは今魔王と戦っているんだぞ!」
コメットがもっともなことを言って急かす。
「いやまあここまで来たらまだカイト生きてるだろ。死んだらエリシアの姉から連絡来るんだろ?」
《姉さんはいちいち一つの世界を注視してないから当てにならないと思うわ!》
「もう蘇らせたもんね!」
「ウググ、俺様は……勇者に負けて……ん?ジョシュアにシグルド!お前たち何してたんだ!?今更帰ってきおって!」
「あれ?ガイラス将軍自我が強いですよシオン様」
「うーん、割と死ぬ直前の無念が強かったのかな?」
「死骸術を解くか?」
「えーこの骨廃棄するの勿体ないよ!ガイラス君魔王軍のことは忘れよ!」
「むぐぐ、確かにここまで攻められた魔王軍に義理立てしてもしょうがないな、ところでザルコウはどうした?」
「弱そうな骨だから拾ってこなかったよ」
「そうか、生前あいつの良く力押し頼りの無能だのと言われたりもしたが最後にものを言うのはフィジカルだったな」
「それにしてもガイラス将軍だけ元々燃えてる見た目だったからスケルトンになっても見た目変わらなくてズルいですね」
「体表の炎は魔力だからな蘇ったらまた燃えるのは当たり前だろう」
「ほら骨回収終わったら早くカイトのところへ行くぞ!」
「ここまで来たらコメットだけでもカイトに会えるのでは……」
「勇者が負傷してたら回復させる間に魔王の相手をする奴が必要だろ!」
「なるほど」
俺は納得し魔王の場所まで向かうことにする。
「魔王様の所に行くのか……負けた俺様が言うのもなんだが勇者は絶対魔王様には勝てんぞ」
「俺もそんな気はしているがコメットが届けばなんとかなるらしいぞ」
「そんな小娘一人増えたところでどうなるとも思えんがな」
ガイラス君の辛辣な批評には俺も同意だがまあそこは魔王が不真面目で舐めプをしてカイトが生きていると信じよう。
魔王の居る広間へ近づいていくと剣戟音が聞こえてきた。
「おお、カイトまだ生きてるな」
俺はカイトと魔王らしき人物がぶつかり合っているのを確認した。
しかしあんなグラマーな奴が魔王なのだろうか?もっと筋骨隆々なのを想像していたのだが……
なんか角とか生えてるし額に真っ赤な宝石が輝いてるから聞いてた特徴とは合致するが。
「!?テッペイさん?」
「我を前に余所見とは随分余裕だな勇者よ」
魔王がそう言うとカイトは一瞬で吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
「ガハッ!」
カイトが吐血するかなり深刻そうだ。
「おい、コメット早くカイトの所に向かえ。魔王は俺たちで何とか食い止めよう」
「わかった!」
コメットはカイトの元に駆けていった。
「ん?ガイラスではないか、我と敵対するのか?その骨とアダマンタイト塊共は新しい部下か?」
「いえ魔王様、俺様は今この死霊術師に使役されているスケルトンです。この二体のスケルトンも元魔王軍です」
「そうか、勇者を相手にするより面白そうだ、いいだろう遊んでやろう」
そう言うと俺たち全員に雷撃が降り注いだ。
俺は全く効かなかったが仲間たちは大丈夫だろうか。
「あ、私たちは戦力外っぽいから広間から出てるね!」
何やら炭になったシグルド君たちを回収してシオンとメルティついでにレヴィアも一目散に広場から出ていった。
「凄い威力の雷撃だ、あのシグルド君が一撃とは……炭なったけど元に戻るんだろうか」
「なんだガイラスたちはもう引くのか、竜人とアダマンタイト塊しか残らんのか」
魔王は退屈そうに言った。
「魔王よ俺はアダマンタイト塊ではないカニだ」
「お前のようなカニなど見たことがないが?」
「テッペイは唯一無二のカニじゃからな!」
「なるほど雷撃を受けても無傷なことといい、中々面白くなってきたな!我をもっと楽しませろ!」
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テッペイ達が魔王と激突し始めたころ。
壁際ではコメットがカイトを治療していた。
「勇者。大丈夫か?」
「き、君は?」
「私はコメットまたの名を天聖剣・彗星」
「え?聖剣は折れて大切に王都に保管してあったはずじゃ……」
「アリシア様に新しい身体を貰ったの、あなたを助けるために!」
「それがなぜ人型に?」
「アリシア様は聖剣を折られて考えたの、刀身が折れた程度で使えなくなるのは不便だって。そこで力の貯蔵者として聖剣を人型にしたの!さあ勇者私を使って!」
コメットがそう言うと胸元が光剣と柄が姿を現した。
「え?これをどうしろと……」
「柄を引き抜いて!」
「え、あ、うん。なんかちょっと変な感じがするけど」
カイトがコメットから引き抜くと眩い刀身が姿を現した。
「凄いエネルギーだこれならやれる!」
勇者カイトは聖剣、天聖剣・彗星を構えるのだった。
「ねえメルティ。私たち何を見せられてるのかな……」
「さあ~女神さまの趣味は私にはわからないわ~」
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魔王と俺たちはお互いに本気を出さずに戯れている感じだった。
「カニ達よお前達全力ではないな?我を侮っているのか?」
「それを言うならそっちも片手だけで戦ってるのじゃどう見ても手抜きなのじゃ!」
「こんな余興はもう何十年もなかったからなすぐに終わらせるのは惜しいのだ」
「俺としてはお前を倒すのはカイトじゃないと困るからな。万が一にでもダメージを受けてもらっては困るのでな。
たとえカイトが止めだとしてもあの時テッペイさんが削ってくれなかったら、とか言ったら台無しだからな」
「ハハハ面白い奴だ本当に面白いそうか、どうやら勇者も準備が終わったようだな、勇者をとっとと片付けてお前と遊ぶとしよう」
魔王が見た先を見ると凄まじい金色のオーラがドバドバ出たカイトが光る剣を携えて立っていた。
「おおこれが聖剣を持った勇者か!頑張って魔王を倒すんだぞ!俺では歯が立たなかったからな!
ぜんぜんダメージ与えれなかったから!足止めもちょっとできなかったからほんと役に立たなかったからな!お前だけが最後の希望だ!」
「任せてくださいテッペイさん!勇者の力見せます!」
そして魔王と勇者の最終決戦の火蓋が切って落とされた。
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