第四十一話:すっごく不毛な土地だな
アビスランドは遠かった、アッシュランドの東ということでそもそもアッシュランドが遠いのだが、そこからの海上が割と洒落にならないくらい長かった。
「流石のテッペイも疲れたみたいじゃな!」
「激しく波打つ海をこれだけ長距離高速で走るのはな、魔導コアもなかなかに限界が近かったみたいだぞ」
「それでも無理やり渡ってこれるんだからやっぱテッペイは異常に体力あるよね」
「それにしてもアビスランドどこまで行ってもなんか黒いわね~」
「魔力は沢山ありますよ。水とか出しやすいし」
レヴィアがちょろろーっと水を出した。
「確かにな、魔導コアの稼働率がなんか高い気がするな。今なら更に早く横歩きできそうだ。しかしこんななにもない土地でどうやって魔族は暮らしてるんだ?」
「レヴィアさんの指摘通りアビスランドは溢れるくらいに魔力がある土地なので、全て室内魔力栽培、魔力畜産でやりくりしていますよ」
シグルド君が魔族の生活を解説してくれた。
「ビニールハウス農業の凄い版みたいな感じか。ちょっと気になるな」
「気になるなら俺の地元が近いんで旦那たちを案内しましょうか?」
ジョシュア君が気を聞かせて提案してくれる。
「そんなことをしてる暇はない。この瞬間にも勇者が窮地に陥ってるかもしれないんだぞ」
コメットは顔をしかめながら言う。
「むうそうだな、カイトは耐久度が弱っちいし死んでもらったら困るからな。アビスランドの視察は魔王を片付けてからにするか」
「じゃあ魔王城ですかね、こっちですぜ」
エンリケ君Gを強化しながら御者をしているジョシュア君の案内で魔王城へ向かうことにした。
アビスランドは不毛だが起伏は乏しく偶に尖った岩がいくつかあるが非常に走行しやすかった。しかし魔王城に行くには何やら巨大な岩山の間にある砦を通らなければいけないらしく、俺たちは戦闘を覚悟していたが、砦に近づくと門は破られており、そこらかしこに魔物や魔族が倒されていた。
「おお、これ全部カイトがやったのか。こんなに倒して疲れないのか?」
《どう考えても海を走って渡る方のが疲れると思いますよ!》
「テッペイ氏!ここに魔導軍師ザルコウの死体があります!」
「シグルド君それはなんだ?」
「魔王軍の作戦立案を担っていた一人で世界征服に最も熱心だった魔族です」
「魔王軍の偉い奴か、強かったんだろうか?」
「うーん骨からするとジョシュア君より弱い気がする」
「ザルコウは作戦立案と突出した魔力操作が持ち味ですからねフィジカルはそこらの魔族と大差ありません」
「まあでも魔王軍の進軍もこれで終わりな感じか?」
「まだ、武闘派の魔将軍ガイラスが居ますからなんとも」
「その、ガイ何とかは強いのか?」
「魔王様の次に強いですね。生前の私が不意打ち獄炎剣しても倒せないと思います」
「頑丈さはドラミナ並か?ガッジィーラよりは弱そうだな」
「ガッジィーラは正直この世で一番のフィジカルだったんじゃないでしょうか……」
「まあ砦はカイトが見事に攻略したということで魔王城に急ごう」
「魔族の本場でも大した骨なかったね……」
「今は急いでるし魔族特有の毒物とか探してる時間もないのが惜しいわね~」
「戦いが無くてよかった……」
レヴィアだけが戦闘がないことに安堵していた。
「勇者……私無しでよくぞここまで」
コメットは勇者の頑張りに驚嘆しているようだった。
砦から魔王城に行く途中あちこちに魔王軍設備の残骸らしきものがあった。ここからは本拠地ということで防備を固めていたのだろう。
それを突破したっぽいカイトはどうにも俺の認識より頑丈な気がしてきたが急ぐに越したことはない。
そうして魔王城についた。紫紺色に輝くよくわからない素材でできているようなその外観は魔王城と呼ぶにふさわしい威容だった。
「なあメルティこの外壁アダマンタイトより頑丈そうじゃないか?」
「アビスオーレは合成方法がいまだにわかんない物質なのよね~。多分魔王城にしか存在しないんじゃないかしら~頑丈さはアダマンタイトとか紙屑みたいな感じよ~」
「ほう、加工できそうか?」
「わたしをなんだと思ってるの~合成方法がわからないのは研究したことが無いからよ~」
「魔王を倒したら魔王城もいらないだろうから新しい外骨格にしよう。ツーバイフォーを強化するのもいいな」
「楽しそうよね~」
「何をもたもたしている!魔王と勇者が戦ってしまってるかもしれないんだぞ!早く私を届けろ!」
「ここまで来たら放っておいてもカイト勝ちそうな気がするけどな……」
「テッペイ氏、魔王様だけは別格なのです。テッペイ氏が狂ってるのと一緒で魔王様は魔族の外れ値なので、カイトさん救出はコメットさんの言う通り急いだほうがいいかと」
シグルド君にも急かされて俺たちは魔王城に入る。
ガイなんとかあたりで立ち往生してたら楽なんだけどなあ。
《魔将軍ガイラスよ覚えて上げて!》
カクさん、スケさん、エンリケ君Gのスケルトンズをツーバイフォーの留守番に俺たちは魔王城を駆け上がっていった。
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