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第四十話:それは彗星のように

 グラスランドへ戻った俺たちを待っていたのは、レオナルドだった。


「お久しぶりですテッペイさん」


「レオナルドか。俺は働かんぞ!」


「あ、いえ仕事の依頼ではなくてですね、このグラスランドの川縁一帯をテッペイさんの領地にするという辞令に訪れまして」


「領地?俺は土地経営する気なんてサラサラないぞ、税金も納めたくないし」


「あ、納税はクライスト教団が肩代わりするので大丈夫だそうです。ハサミの勇士殿安息の地を作りたいとかで陛下に上申がありまして」


「ここでもあの宗教から逃げられないのか……」


 俺は愕然とした。


「あ、でもここはテッペイさんの土地なので、テッペイさんの許可のない信徒の方々は近づけないですしのんびりできると思いますよ。なにやら全国へのお達しで、追加の像の建立も禁止されたとか」


「そ、そうか。いやでもこれのんびりできるけど全然風化させれない気もしないような……」


「とにかくここはテッペイさんの土地になったのでのんびりしてくださいね!絶対王都に来てこうなんか活躍とかしないでくださいね!姫様は喜びますけど私の精神がもたないので!」


「そこは心配ない。しばらくは絶対に活動しないから」


「よろしく頼みましたよ!それではご健勝で!」


 そう言うとレオナルドは颯爽と馬に乗って帰っていった。いつも気絶してる姿を見ているので今回はすんなり終わって新鮮だった。


 それからの川縁はとにかく平和だった。シオンはエンリケ君たちを毎日磨いたり戦闘訓練をさせたりして楽しんでいた。ドラミナは食費を削られてるのに丸くなっていた。レヴィアはずっとメルティと一緒に川縁を開墾して怪しげな植物を栽培していた。


 レヴィアがいると肥料もついでに撒けて便利ね~とメルティはご満悦だったがレヴィアの目は死んでいた。


 俺はというと川に浸かったり、SPAで熱水噴射孔を感じたりとのんびり過ごしていた、たまにツーバイフォーを高圧洗浄するのが暇つぶしの楽しみだ。


 そんなある日、一人の少女がズンズンと何の迷いもなく真っ直ぐこっちに向かってきた。


「テッペイ。やはりここにいたか」


 何やら全身白いというか仄かに発光してる感じの少女が急に名前を呼んできた。


「初対面のはずだが?」


「そうだな。この姿で会うのは初めてだ、だがここで私はお前に折られてる!」


「はい?」


「何を言うとるんじゃこいつ」


「テッペイおかしいよこいつ骨がない」


「たぶん魔法生物か何かね~」


「でもなんか神聖な感じしない?」


「当然だ!私は女神アリシアの鍛造した聖剣だからな!」


《あーーーー姉さんの聖剣んんんん》


「あー、カイトが最初に持ってたあれかー」


「そうだ。お前に折られた私は屈辱にまみれる日々だった!だが今こうしてアリシア様の力で新たな姿を得たのだ!」


「いや、まて、じゃあここに来るのはおかしいだろ。カイトのとこ行けよ」


「勇者は、私を持たず魔王に挑みに行ったのだ!そして一週間が経った……アリシア様によればまだ生きてはいるそうだ、そこでお前は私を勇者から引き離す原因を作った責任を取って私を勇者の元に届けろ」


「いや簡単に折れる方が悪い……ん?カイトは魔王を倒しに行ったんだな?」


「そうだ、だが今の勇者がいかに努力して強くなったといっても聖剣である私、天聖剣・彗星なしでは決め手に欠けて勝てないだろう」


「名前が長いな」


「人型の時はコメットでいい」


《彗星だからコメットかー姉さんも安直な名前つけするなあ》


 俺は考えた、カイトがばっちり魔王を倒せば一気に世の中は勇者万歳ムードになるのではないかと。


「いいだろう。それでカイトはどこら辺にいるんだ」


「魔族の土地アビスランドだ」


「遠いわね~アッシュランドより海を渡ってさらに東よ~」


「懐かしいですね、今は骨ですが里帰りになりそうです」


「俺は魔王様に会うのはちょっと、嫌ですけどねえ」


 シグルド君とジョシュア君にとっては帰郷になるようだ。


「私は行ったことないんだよなあ。魔王様の骨は凄そうだよね」


「シオン様、魔王様本人の前でそういう物言いは控えた方がいいですよ、雷撃が落ちると思います」


「え?短気だなあ」


「魔王か~強いのじゃ?」


「めちゃくちゃに強いですが単純な腕力だけならドラミナさんと大差ないんじゃないでしょうか」


 シグルド君の見立てではドラミナ並の腕力+アルファの強さらしい。急がないとカイトが死ぬ気がする。


「よし、全速力でアビスランドに向かってカイトをアシストして魔王を倒すぞ!」


「「おー!」」


 俺たちは急いで魔族の本拠地アビスランドを目指すことにした。

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