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第三十七話:俺が茹で上がると思ったのか?

 俺たちは薄暗くひんやりとした洞窟を進む。


 しばらく進むと徐々に明るくなっていき段々と巨大なシルエットが見えてきた。


 アレがガッジィーラだろうか、サンドワームほどではないにしても今まで出会ったどのドラゴンよりもでかい。


 二本の脚でしっかり直立する姿はどうみても怪獣王だ。


《ギリギリを攻める感想はやめて!》


 ギャオオオオオン!


 俺たちの存在に気づいたのかガッジィーラは凄まじい咆哮を上げた。


「割と視力がいいんだな」


「向こうからは妾達は丸見えなだけだと思うのじゃ」


 そんなことを言っていると、ガッジィーラは尻尾をマグマに突っ込み吸収し始めた。


「なるほど。ああやって熱を吸ってたのか」


「テッペイ氏、何やら嫌な予感がするのですが」


 シグルド君が心配そうにする。


「まあ多分あの見た目だし次は背鰭が光るだろうな」


 そういうと予想通りガッジィーラの背鰭が光った。


 そしてすさまじい熱量がガッジィーラの口に集まっていき、強力な熱線が放たれた!


「レヴィア!俺を水球で包んでくれ!」


 俺はすかさず前進し、レヴィアの援護を受けて熱線を受け止めようとする。


「水魔法いきます……」


「威力が心配になるテンションなのじゃ」


 ドドーーン。

 

 熱線がまず水の膜に当たり水蒸気爆発が起こる。


 その後、水で相殺しきれなかった熱線が俺のアダマンタイト外骨格に照射される。


「テッペイの外骨格が真っ赤じゃ!」


「旦那が茹でガニに!」


「ジョシュア君心配するな。俺はこの程度では茹で上がらん」


「すげえ、どういう中身してるんだ……」


「さて、ガッジィーラ、次はこちらの攻撃と行かせてもらおう」


 俺はサンドワームの牙でできた翡翠色のハサミをカチカチさせた後、おもむろに高速回転させた。


《え?何その機能》


「脚部動作だけではまだ魔導コアの出力が余ったからな、ハサミをドリルとして使えるようにしておいた」


《あんた本当にカニを目指してるのぉ!?》


「究極の進化体であるカニの肉体と人の知恵を合わせた姿こそが至高の存在だ」


《あ、なるほどぉ。ってなるわけないでしょ!》


 女神が何かとうるさいが俺はハサミドリルでガッジィーラの脚部を抉る。


 ズガガガガガ!


 ガッジィーラの皮膚はすさまじく堅かったが、アダマンタイトをも砕くワームの牙の前には少し頑丈な石程度でしかなかった。


 ギャオオオオオン!


 ガッジィーラは怒りのと苦痛の咆哮を上げマグマに入れていた尻尾を振り回し俺を吹き飛ばした。


 その力は凄まじく、かなりの重量である俺を簡単に吹き飛ばし壁にめり込ませた。


「尻尾だけでもドラミナ並にパワーがあるかもしれんな」


 俺はめり込んだ壁から素早く脱出する。


「ドラミナ!レヴィア!正面から格闘戦を仕掛けろ!俺は後方からキャビテーションで援護する!」


「わかったのじゃ!」


「え?あれと正面から?ムリムリムリ!」


「あ、レヴィアが正気に戻ったのじゃ」


「あたしは水魔法で臨機応変にやるからドラミナよろしく!」


「まかせるのじゃ!元に戻ってよかったのじゃ!」


 ガッジィーラの圧倒的フィジカルの脅威で正気に戻ったのか……帰ったら再教育されそうだけど大丈夫か?


 俺は少しレヴィアの今後が心配になったが、正気に戻ったせいで、良いウォーターサーバーがなくなるのも惜しいなと思った。


《仲間を備品扱いはやめてあげてよぉ!》


 「いくのじゃー!」


 ドラミナはガッジィーラに向かって高速で飛翔し顎にアッパーカットをお見舞いした。


 ガッジィーラは大きくのけぞり少し後ずさる。手加減なしだと凄いパワーだ。


 しかしガッジィーラにはあまりダメージがなかったようで素早く熱線を撃ち返される。


 ドラミナは器用に熱線を避け、ブレス攻撃をしかける。しかし熱を吸収するガッジィーラには火属性のドラミナのブレスはダメージになるどころか、吸収されてしまうみたいだった。


「全然効かんのじゃ~」


「相性が悪いのよ!あたしの水魔法でしかける!ハイドロカッター乱れ撃ち!」


 ズババババ。


 大量の水で作られた刃がガッジィーラに襲い掛かる。しかし体表の温度が高すぎるのか届くころには水が蒸発して威力が減衰してしまっていた。


「レヴィアのがダメなのじゃ、出力なさすぎなのじゃ」


「あ、相性が悪いのよ!」


 俺は一連のやり取りを聞きながらやはりレヴィアは自我がある方がポンコツな気がするなと思いながら、地に歩脚をしっかり固定し最大威力のキャビテーションの準備に入った。


「このハサミで撃つのは初めてだな、どれほどの威力が出るか、とりあえずあのみみっちい腕を狙ってみるか。ドラミナ!レヴィア!離れろ!」


 俺はハサミを大きく開閉し、目にもとまらぬ速さで閉じた。


 パチン。


 乾いた音が洞窟に響き渡ると同時にプラズマ発光が起こり凄まじい衝撃波が放たれた。


 ズシャアアア!


 俺は右腕を狙ったつもりだったが右胸部ごと抉り取り、さらに後方の岩壁を粉砕し外の光が差し込んできていた。


「威力がありすぎるな……」


「え?何なのアレ掠ってたら死んでたんだけど」


「テッペイの必殺技の威力が凄いことになってるのじゃ!」


「旦那!ガッジィーラが倒れますぜ!」


 ジョシュア君の指摘通り右胸部を失ったガッジィーラはゆっくりと地面に倒れ伏した。


「どれどれ……あ、見事に死んでますね!シオン様を呼んできやす」


 骨を回収するため待機組のシオンをジョシュア君は呼びに行った。戦闘では全く役に立たなかったが働き者である。


「一撃だったか……やはり甲殻類の技の前にはデカいトカゲなどこの程度ということか」


《なんで残念そうなの!》

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