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第三十三話:やはり動力が付くと違うな

 王都への帰路は険しい道のりだった。


《アダマンタイト外骨格脱いでたら別に苦労しませんでしたよね!》


 王都の門番は俺達の見た目に慣れてると思っていたが、ヨッティーで改造したツーバイフォーに見覚えがなかったのか当然のごとく、魔法で狙撃された。


 ALCは火炎弾を完全無効化していて別段迎撃する必要もなかったことは良かったところだろう。


 門に横付けした時兵士たちは全員顔が強張っていたが、俺が素顔を見せると心底安堵していたようだった。


 ひと騒ぎ起こしてしまったが俺たちは無事に王都に入ることが出来た。


「久しぶりなのじゃ~王都のスイーツを食べるのじゃ!」


「ドラミナ、その前にマジックサンドの納品だ」


 俺はマジックサンドの箱をドラミナに手渡した。


「うう、過酷な労働なのじゃ……」


「ドラミナ様。我々も運びますので」


 シグルド君を始めとしたスケルトン衆も次々と箱を運び出していた。


「報酬とかはテッペイがもらってきてね。私はエンリケ君を磨きながらお留守番してるから」


 シオンは労働をスケルトンに任せて引きこもる気しかなかった。


「わたしはいろんな材料を買いたいから、テッペイについて行って報酬を預かるわよ~」


 そんなこんなで俺たちは、王都の物資保管所に来ていた。


「なぜ、王都に魔物が!!」


 保管所の兵士たちが一斉に武器を取り出してた。


「待て!俺たちはマジックサンドの納品に来ただけだ」


 俺は外骨格のシャッターを開けて説明する。


「おお!ハサミの勇士殿でしたか!これは失礼しました」


《闘技会で外骨格が壊れていて良かったですね、顔で判別できるようになってますから》


「新しい外骨格はなかなかいかついからな魔物と間違えても仕方がないだろう」


 王都中で行ったやり取りを思い浮かべながら俺は答えた。


「確かに。これはマジックサンドですね!実はそろそろ備蓄が心許なくなってきていたところなのです。本当に助かりました!こちらは輸送報酬の300万ゴルドです!」


「ああ、また何か運ぶものがあったら依頼してくれ」


 俺たちはマジックサンドを無事引き渡すと、次の報酬の受取先である王城へ向かった。


 流石に王城にシグルド君たちを連れてくのは良くないと俺は思い、買い食いがしたいドラミナとシグルド君たちはツーバイフォーに帰ってもらった。


 ガシャガシャと王城への通りを歩いていると、王城側から見知った顔が走ってきた。レオナルドだ。


「ハア、ハア、テッペイさんお久しぶりです!王都に戻ってきていたら連絡をくださればすぐに案内しましたのに!」


「いや、連絡手段がないからな」


「通信魔道具が無くても、門番に言伝するとか色々あるじゃないですか!今もその格好で陛下に会いに行こうとしてますよね?どう考えても近衛隊と戦闘になりますよ!」


「普通に皆顔を見せたら納得するからな、王城もそれでは入れると思ったんだが……」


「その前に絶対攻撃されますよ!!」


 レオナルドは数日ぶりに強烈な眩暈を感じていた。


「王様にも俺の新しい外骨格を見てもらおうと思ってな。魔導コアを貰えば完成するから丁度いいと」


「陛下はお忙しいので魔導コアは私がもらってきます!」


「む、そうなのか、採掘権をくれたので成果報告が必要だと思ってたんだがな」


「マジックサンドの運び込みの報告でもう充分ですよ!じゃあそこで待っててくださいね!」


 そういうとレオナルドは凄い速度で王城へ向かっていった。


 暫く待つとレオナルドの隣にシャルロッテが居た。第3王女がホイホイ街に出てきていいのだろうか?


「久しいなテッペイ。陛下の代わりにお前の新外骨格を身に来たぞ」


「なるほど、代行か。それでレオナルド魔導コアはどこだ?」


 俺が聞くとレオナルドは手に持っていた包みを開けて魔導コアを出した。


「どうぞ、魔導コアです。大変貴重なものなので大切に使ってくださいね」


 俺は魔導コアを受け取ると早速外骨格に組み込むことにした。


「メルティ。装着を頼む」


「は~い。これでいろんな機能が解禁されるわね~」


 カチャカチャ。背部のハッチを開けて素早く魔導コアが取り付けられた。


「え?その外骨格に使うんですか?」


 レオナルドが疑問に思っている間に魔導コアが動き出す。


 ブゥーン。ガションガションガション!


 今までただの重りになっていた6本の歩脚が動き出す。


 プシュー!


 改良されたミスト散布装置が動き俺に潤いをもたらす。


「おお、メルティ素晴らしいぞ!やはり動力が付くと違うな」


 俺は感動していたがレオナルドは気絶していた。


「本当にこの男は優秀なんだが、テッペイのやることには弱いままだな」


 シャルロッテがレオナルドを一瞥して言った。


「それがカニ外骨格の完成系か?」


「そうだな、今のところ考え着くオーダーはすべて盛り込んである」


「フ、アダマンタイトをそんな形にするのはお前くらいだろうな。それでこれからどうする?」


「十分稼いだことだし、しばらくグラスランドでのんびりする予定だ」


「そうか。お前たちの活躍で魔王軍の活動も大人しくなっているようだしなそれもいいだろう。余としては王都に滞在してほしいのだがな」


「王都は湿り気が足りないからな。グラスランドの川縁が一番心地いい」


「それなら仕方がないな、では達者でな。レオナルド行くぞ」


 シャルロッテはレオナルドを起こすと王城へと戻っていった。


「さて、ツーバイフォーに戻るか」


 俺たちは王城を離れ広場に駐車しているツーバイフォーに移動した。


「もどったわよ~」


 俺たちがツーバイフォーに戻ると、丸くなったドラミナとエンリケ君の骨を磨いているシオンが待っていた。シグルド君たちは影に仕舞われているようだ。


「おかえりなのじゃ~沢山食べられたのじゃ~」


「使い切っちゃったの~?これからの分をまとめて渡してたのに~」


「……なぜ使い切ったのがわかったのじゃ」


「一目瞭然じゃな~い。追加のお小遣いはないわよ~」


「そこをなんとか、頼むのじゃ!」


「ダメよ~」


「私の分もわけないからな!」


 シオンからの無慈悲な追撃によってドラミナは完全に意気消沈した。


「よし、用事も済んだし、グラスランドに帰るぞ」


「「はーい」」


 俺たちは意気揚々と王都を後にした。

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