第三十一話:お前が魔物使いならこっちは骨使いだ!
「サンドワームの反応が消えた!?」
サンドワームの巣に一人の男がいた。男は己が操っていたサンドワームの反応が消えたことに驚愕していた。
「馬鹿な!アダマンタイトさえ砕く牙を持ちドラゴンよりも強靭な外皮を持つもはや生物というより災害というのが相応しいサンドワームが死んだのか?いやそんなはずはないサンドワームは強靭な生命体。もしや制御を離れただけかもしれん。いずれ巣に戻ってくるだろうからその時にまた調教するとしよう」
男は知らなかったサンドワームが本当に倒され、その倒した一行がこの巣に迫ってきていることを。
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サンドワームの巣はデカかった。それはそうだあのサイズの生き物の巣だデカいに決まっている。
サンドワームの埋葬にそこそこ時間を使ってしまったので素早く採掘するとしよう。
「これだけでかいとツーバイフォーごと入れるから便利だな」
「そうね~。外で待ちぼうけしなくてもいいものね~」
「化石の骨とか眠ってないかな~」
シオンはまだ骨を諦めきれていなかった。
「採掘はがんばるのじゃ!一番掘るのじゃ!」
「ハハハ!ドラミナさん我々スケルトンも負けませんよ!」
シグルド君もすっかり労働に馴染んでいた。
そんな意気揚々と巣穴を進んでいた俺たちだったが、ひときわ広い場所に人影がいるのを見つけた。
「む?先に採掘してる人がいたのか?随分豪胆だな」
「ここの採掘権は妾達のじゃろ?盗人じゃ!」
ドラミナが声を荒げると人影はこちらを振り返った。
「なんだ貴様らは?」
「俺たちはアダマンタイトの採掘に来たものだ王国からの採掘権もきちんと貰っている。お前こそなんだ」
「アダマンタイトの採掘だと?馬鹿なことをサンドワームに食われたいのか?」
「ここに住んでるサンドワームなら倒したぞ」
俺たちはサンドワームの牙で作った即席つるはしを掲げて見せた。
「は?え?サンドワームが?死んでる?俺の?サンドワーム?」
「なんだ?サンドワームってペットに出来るのか?」
「そんなの聞いたことないわよ~」
「俺は魔王軍の魔物使いジョシュアだ!ここでマジックサンドの流通を止めるためサンドワームを使役してたのだ!」
目の前の男ジョシュアはなぜか唐突に犯行声明を出した。
「魔王軍か~。シオンどうだ?」
「この際、魔物使いの骨は珍しいからいいかも!」
少しシオンの機嫌は上向いた。
「ではちゃちゃっと倒しましょう」
シグルド君がつるはしに獄炎を纏わせる。
「ダメだよシグルド君!獄炎で焼いたら骨が取れないでしょ!」
「む!そうですかわかりましたシオン様」
シグルド君は獄炎を消してつるはしを構えた。
「シグルド?魔剣士シグルドが骨に?」
ジョシュアはシグルドのことを知っているようだった。
「シグルド君魔王軍では本当に有名だったんだな……」
「お恥ずかしい」
シグルド君はいつも過去の自分のことを話題に出されると照れるのだった。
「えーい生前ならともかくただのスケルトンと化したのなら話は別だ俺の魔物たちの餌食になるといい!」
巣の各所から潜伏していた魔物たちが出て来た。
四足のネコ型肉食獣やおなじみのイノシシ、熊、虫、トカゲと中々のバリエーションと数だった。
「結構いるなあ」
「ブレスで吹き飛ばすのじゃ?」
「ジョシュアに当たったらシオンがグレるから駄目だ」
「でもシグルド君だけじゃと大変な気がするのじゃ」
「別に肉弾戦は禁止してないぞ」
「いってくるのじゃ!」
ドラミナが行ったことでまあ8割は片が着くだろう。
「スケさん、カクさん、エンリケ君も頑張れ!」
シオンが骨たちをけしかけた。
魔物たちはあっと言う間にドラミナにミンチにされ、シグルド君に真っ二つにされ、スケさんカクさんに急所を抉られ、エンリケ君にすり潰された。
「そ、そんな、でたらめに強すぎる」
手持ちを失ったようだったジョシュアはすっかり意気消沈していた。
「は~い、じゃあちょっと邪魔な部分は溶かしましょうね~」
マッドな表情をしたメルティが毒満載のビーカーを両手に持ってジョシュアに近づいて行った。
「よせ、それ以上来るな!」
「まあまあ、抵抗しないほうが幸せですよ」
シグルド君が素早くジョシュアを羽交い絞めにした。
「ヤ、ヤメローーーー」
ジョシュアの生はここで終わりを告げた。数分後、シオンの死骸術で彼は生まれ変わった。
「ジョシュア君完成!」
シオンは上機嫌だった。
「ハ!ここは。そうだ俺は魔王軍としてサンドワームを操って……なんでそんなくだらないことをしてたんだろう」
例によって例にもれず、過去の価値観が粉砕されていた。シオンの死骸術恐るべし。
「ほらジョシュア君、初仕事です。一緒にアダマンタイトを掘りましょう」
シグルド君はつるはしをジョシュア君に優しく手渡すと、ガンガン、アダマンタイトの採掘を始めた。
スケルトンとドラミナそして俺自身が総力を挙げてアダマンタイトを採掘したおかげで日が完全にくれるころには作業が終わった。
俺たちはワームの巣で一晩明かした後サンドランドに戻ることにした。
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