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第二十九話:異世界に特許とかあるのか?

 俺たちはバーベルハウスの建物に入った。まさしくツーバイフォーALCを立派にしたような形状である。


「バーベルハウスへようこそ!サンドランドでの住宅なら断熱性、耐火性、耐久性抜群のバーベルハウスがおすすめです!」


 受付嬢はにこやかにそう言った。


「テッペイを見て営業トークは凄い精神力なのじゃ……」


「低級の骨たちみたいに反応パターンが削られてるとか」


「よく教育されている店員だな」


 俺は無駄に感心していた。


「家を建てに来たんじゃないわ~。バーベルを出しなさ~い」


「社長ですか?なにかお約束はありますか?」


「毒妖精メルティが来たと言えばわかるはずよ~。もちろん止められたら実力行使で通るわ~」


 メルティは俺をにこやかに指さして言った。いや特に迷惑じゃない人に実力行使はしないぞ。


「は、はい、か、確認します」


 バーベルハウスの受付嬢は何らかの通信機を使った。


「ええ、社長に会わせろと毒妖精のメルティと言えばわかると。はい。わかりました」


 ガチャンと通信機を置くと受付嬢はこちらに向き直った。


「確認しました、3階の社長室へどうぞ」


「話が早くて助かるわ~」


 メルティはさっさと階段を昇って行ってしまったので俺たちは急いで追いかけた。


 社長室に入るといたるところにALCパネルの展示棚と四角いマスコットのグッズが並んでいた。


 奥にはちょこんと四角い帽子をかぶった妖精の少女が座っていた。


「バーベル~久しぶりに会いに来たわよ~ずいぶん羽振りがよさそうね~」


「メメメメメ、メルティ!これはその違うの!ほらあなたって毒以外全然興味ないでしょ?砂は私の得意分野だし、ちょっとサンドランドでALCを紹介したらバカ受けしちゃって、それでそのとっても稼いだのは事実なんだけど別にあなたの功績を盗もうとしたわけじゃなくて、ちゃんと製法は会社で独占してるし、あ、これは別に儲けるためじゃなくてメルティの望まない形で広まり過ぎないようにしてたっていうか、だから毒を注入するのは止めて!」


 メルティの一言を聞いたバーベル社長は立派な椅子から飛び降りて奇麗なジャンピング土下座を決めていた。


「わたしはただなんでALCの建物がこんなにあるのかな~って思って話に来ただけよ~」


「そ?そう?毒打たない?盛らない?」


「でもお金儲けするなら一声欲しかったわよね~」


「メルティがどこにいるか知らなかったし、さ、探してたんだよ!丁度よかったなあ!これでやっと公認がもらえるなあ!」


「もらえると思ってるの~?」


「ひっ!これから全部の広告媒体にALCは毒妖精メルティ発案って書くから!許して!あと私のできる事なら何でも協力するから!毒は止めて!」


 いったいメルティはバーベル社長の過去に何をしたのだろうか恐ろしい怯えようだ。


「まあ、それなら別にいいわね~。自分が作ったものを他人に我が物顔で使われるのは少し不愉快だものね~」


「うん、うん。そうだよね!それでメルティたちはサンドランドなんて砂しかないところに何しに来たの?」


「サンドランドにはアダマンタイト採掘とマジックサンドの流通が止まってる原因の調査に来たんだ」


「ひっ!カニの化け物!メ、メルティついに生物改造までし始めたの!?」


「テッペイは無改造の化け物よ~」


 カシャン。メルティが俺の顔のシャッターを開けた。


 ホースを加えてる俺の顔を見たバーベル社長は固まった。


「カニの被り物をしてる美形?」


「被り物ではない外骨格だ」


「もしかして変人?」


「俺はカニだ」


「メルティよりおかしいの初めて見たかも……」


「バーベルはわたしの事そんな風に思ってたの~悲しいわ~」


「凄く風変りってことを言いたかったの!悪口じゃないから毒は止めて!」


「話が進まんのだが、何か情報は持ってるのか?持ってないのか?」


 バーベルは慌ててこちらに向き直り。


「そ、それは全部サンドワームの回遊ルートが変わったせいだよ!サンドランドもマジックサンドの輸出ができなくて困ってるんだ!アダマンタイトはサンドワームの巣だし、おかしい回遊してるサンドワーム倒すだけでメルティたちの目的は達成できると思うよ!」


「なるほど、もともと倒すつもりだったが、一石二鳥というやつだな」


「でも、サンドワームは凄く大きいし幾らメルティでも毒を盛る前に食べられちゃうと思うよ……」


「問題ない。こちらには破壊のスペシャリストがいるからな」


 そういわれるとドラミナはえへんと胸を張った。どこが胸か腹かわからんほど丸いが。


「えっと、その子竜人でしょ?色合いからして炎系だけどサンドワームの表皮はALCより頑丈だからブレスにも耐えるんじゃないかな……」


「ダメなときはテッペイが何とかするのから大丈夫なのじゃ!」


「ドラミナ。ここで役に立たなかったらただ飯ぐらいだけどいいの?」


 シオンは辛らつだった。


「どうせ死骸を運ぶ仕事があるから大丈夫じゃ!」


「骨がないから私解体しないよ?」


「な、なんとかなるのじゃ。なるよねメルティ?」


「何を採るかによるわね~まあ貴重なサンドワームの血液を採れるのは悪くないと思うわ~」


「う、うんそれじゃあメルティたちサンドワーム退治頑張ってね!あ、市長さんにも挨拶していってね!」


 バーベル社長はもう話は終わったよね?という感じで俺たちを見送ろうとした。


「ALC使用料500万ゴルド用意しておいてね~」


 メルティの最後の一言にバーベル社長は盛大にすっころげた。


《なんでファンタジー世界で特許料をがめようとしてるの!?》


 俺たちはバーベルハウスを後にし、サンドワーム退治へと向かうためまずはサンドランド市長の下へと向かった。

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