第二十六話:いきなり砂漠はまずい
第三宮殿に戻った俺たちはシャルロッテから報酬を受け取っていた。
「ご苦労だったな。次はサンドランドという事だが、砂漠への準備は出来ているのか?」
「確かに外骨格があっても砂漠の乾燥には対策を打たねばならんのに、今はソフトシェルだからな」
レオナルドの鎧を素早く外して腰布になっていた俺は腕を組み考え込んだ。
「お前たちの移動速度ならいきなり砂漠にも突入できるだろうが、まずは港町ヨッティーに寄るといいだろう。あそこなら冷魔石も安く手に入るだろう。ツーバイフォーに搭載するといい」
「サンドランドね~いい改造があるからヨッティーに寄るのわたしは賛成よ~」
「海鮮が食べれそうなのじゃ!」
「私はサンドランドは明るいから行きたくないけどなぁ。サンドワームは骨ないし」
「シオン様は室内にいて外作業は我々を使えばよいのですよ」
新しくコレクションになったシグルド君は喋れるので意思表示がスムーズである。
カクさんスケさんもカクカクカタカタと同意していた。
「何度見てもいきなり影から骨が出てくるのに慣れません……」
レオナルドの顔色がまた悪くなってきていた。
こうしてヨッティーにまず向かうことにした俺たちは王都の広場にあるツーバイフォーに戻ってきた。
俺たちを認識したエンリケ君が少しうれしそうな感じに見えたのは気のせいだろうか。
「エンリケ君留守番お疲れ様!」
シオンがエンリケ君を労いながら磨き始めた。
「さてお前たちともここでお別れだな」
「見送りに来るとは思ってなかったぞ」
「お前の優勝で色々状況が好転してるのだ、まあお前には興味のないことだとは思うがな」
シャルロッテはそうは言いながらも少し晴れやかだった。
「テッペイさん!サンドランドを滅ぼしたりしないでくださいね!ヨッティーを破壊しないでくださいね!」
「レオナルドお前は俺を何だと思ってるんだ。壊すのはドラミナの係だ俺ではない」
「ドラミナさんを止めれるのテッペイさんだけでしょ!」
「ふむ、確かにな賠償金や食事処の喪失は避けたいからそこは留意しておこう」
「では、お前たちの安全を気にするのも違う気がするが、達者でな」
俺以外はツーバイフォーに乗り込み、シャルロッテたちに見送られながら俺たちは王都を発った。
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ズドドドド。
ツーバイフォーは快適に海沿いの街道を走っていた。
「そういえばヨッティーまではどれくらいの距離なのじゃ?」
「馬車で3日くらいだから、エンリケ君なら半日もかからないわよ~」
「夕飯は海鮮がいいのじゃ!!」
「ところでカニを食べたらテッペイはなんていうんだろう。怒るのかな?」
「普通に考えるとテッペイ氏にとっては同族殺しなわけですから忌避するのではないでしょうか?」
「でもなあシグルド君テッペイだしわかんないよ?」
「確かにテッペイ氏の思考は計り知れませんからね……魔王軍などという矮小な存在しか知らない私で判断できることではありませんね」
シグルド君は甲斐甲斐しくシオンのティーカップに紅茶を注いでいた。
「シグルド君の馴染み力が凄いのじゃ」
「魔王軍のエリート魔剣士だったらしいわよ~」
「エリートだなんてお恥ずかしい……」
シグルド君の目の漆黒の炎が揺らめいた。
カクさんとスケさんは肩もみと足もみをしていた。
「シオンのグータラが加速してるのじゃ」
「カクさんスケさんはわたしも作業を手伝ってもらってるから、シオンちゃんには感謝してるわ~」
「骨を動かすのがシオンの仕事なんじゃな~となるとエンリケ君が爆走してる間は仕事してるんじゃな」
「ドラミナちゃんが一番役に立ってないわよ~」
「急に刺してくるのやめるのじゃ!」
ツーバイフォーの中は賑やかだった。
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アイスドラゴンの外骨格はそれなりの重量があったようでソフトシェル状態の俺はエンリケ君DREの速度に余裕でついていけていた。
海辺の街道は潮風が肌を撫でつけてきてなかなか悪くない。このまま海に飛び込んでしまいたい気分だ。
しかし今は新たな外骨格を手に入れるのが先決。海への誘惑を振り切り俺は全力疾走していた。
そうこうして数時間走っていると目の前に桟橋などを備えた町が見えて来た。
今までの街は大体壁に囲まれて門があったがヨッティーは開けた町らしい。ここならいつもの門番への説明は必要なさそうだ。
そう思った時だった。大量の弾丸が飛来して俺の体をハチの巣にした。
エンリケ君は強化された骨格で銃弾を弾いたようだ。
これはいつものやり取りだと思った俺は体を素早く再生させ、町の入り口へと叫んだ。
「待て!俺たちはただの冒険者だ!攻撃を止めてくれ!」
「嘘をつけ!ただの冒険者が巨大な骨を連れてくるか!それにお前!さっき撃ったはずなのになんで平気なんだ!」
「俺はカニだ!再生能力を持っている!後ろの骨は仲間の死霊術師の所有物だ!」
「死霊術師って魔王軍じゃねえか!それにカニってなんだどう見ても人間だろお前!」
「わけあって外骨格がないのだ!今はこの片手の小さいハサミしかない!」
「まて!まさか、ハサミの勇士様では?」
「ん?クライスト教徒がいるのか?」
「やはり!この方達はハサミの勇士様一行だ!われらを救いに来てくれたのだ!」
「まじかよ、町長のほら話じゃなかったのか」
よくわからないがヨッティーは何かに困っているようだった。
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