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第二十一話:王都ってでかいな~

 王都への街道は広く快適な旅路だった。


 エンリケ君がDREになったおかげで増築されたツーバイフォーだとしても付いていくのが大変だった。


「もう少し機動力の高い外骨格が必要かもしれないな……」


《まず、並走するのをあきらめなさいよ!》


 そんなことを考えて遠くに王都キングスレーの城壁が見えてきたころだった。


 ギュイイイイン。


 城壁の上部が赤く輝き巨大な火炎弾がこっちに飛んで来た。


「む?こっちを狙っているのか?さすがにあのサイズを撃ち落とすことはできんな。エンリケ君避けれるか?」


 エンリケ君はいつも通りサムズアップして応えた。大丈夫なようだ。


 ズドーン。ズドーン。


 次々と撃ち込まれる火炎弾を俺たちはジグザグに躱しながら王都へ前進する。


 王都への入場待ちの列が俺たちに気付き散り散りになっていく。


「火炎弾に巻き込まれないといいんだがな」


《なんで他人事みたいに言ってるの!どう考えてもあなたたちのせいだから!》


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツーバイフォーの内部は大変なことになっていた。


「すっごい転がるのじゃ~」


 ドラミナはツーバイフォーの中でピンボールになっていた。


「エンリケ君。凄い機動性だな!」


 シオンはエンリケ君の性能に満足していた。


「あんまり揺らすと実験室の毒が漏れちゃうかも~」


「そこはちゃんと蓋をしとくのじゃ!」


「ひ、姫様。こ、これはどうしたことでしょうか」


「ふむ、これは城壁からの砲撃か……やはりこの見た目。誤解が生じているようだな」


 シャルロッテは事態を収めるためツーバイフォーのドアに手をかけた。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ガタッ!


 突如ツーバイフォーのドアが開きシャルロッテが出てきた。


「む?バランスが崩れるからドアを開けるのは止めたほうがいいぞ」


「余がこの事態を収拾しなくてはな」


 シャルロッテはそう言うと機敏にツーバイフォーの屋根に上り大剣を構えた。


「エンリケ君のドリフト走行中に立てるとは良い体幹をしているな」


《感心するところがおかしくない!?》


 シャルロッテは構えた大剣から斬撃を放ち火炎弾を叩き切った。


 ズガーン!


「城門の者ども!砲撃をやめよ!この珍妙な移動要塞は第3王女シャルロッテの乗機である!」


 シャルロッテの裂帛の気合が込められた声が周囲に響き渡った。


 新たな火炎弾の射出が止まり、俺たちは門前に辿り着いた。


 警備兵が慌てて近寄ってくる。


「まさか、姫様が乗っているとはつゆ知らず……」


「良い、この見た目だ。誰が見ても魔王軍と思うであろう。王都中にこの木造要塞と巨大スケルトンは害がないと広めよ」


「ハ、ハッ!了解しました」


 警備兵の一人は伝令に走っていった。


「ふむ、今回は話し合いがすんなり行って楽だったな」


《ややこしい移動方法をやめればこんなことにはならないのよ!!》


 ツーバイフォーとエンリケ君は門をくぐった直ぐの所の広場に駐車することになった。


「ここ以外に止めないようにお願いしますね」


 ついてきた警備兵は心配そうだった。


「大丈夫だ。余程の事がない限りエンリケ君は勝手に動かん」


 俺がそう言うとエンリケ君も安心しろとばかりに頷いた。


「ヒッ。い、意思がある!?」


「そう怯えることもない。見慣れれば中々壮観で良いものだぞ」


「ひ、姫様は順応性が高すぎるのですよ……」


 レオナルドはなぜか胃を抑えながら、ツーバイフォーから降りて来た。


 次にシオン、メルティと続きドラミナはつっかかってしまった。


「出られぬのじゃ」


「丸くなり過ぎたわね~。でも大丈夫。ツーバイフォーのドアは両開きよ~」


 ガチャリと反対側のドアも開け丸くなったドラミナも王都に降り立つことができた。


「建物がデカいのじゃ~」


「あら~ドラゴンちゃんは王都初めて~?」


「王都は壊れるものが多いから一人で行くなと言われてたのじゃ」


「生前のエンリケ君を一撃で吹き飛ばしてた頃はともかく、今はバルーン状態だから大丈夫そうだな!」


「今でもブレスを吐けばスッキリできるんじゃぞ!」


「シオン。ドラミナを煽るのはやめろ。ドラミナも王都でブレスは絶対禁止だぞ?こんなデカい街壊したら弁償しきれんぞ」


「ひ、ひもじくなるのは嫌じゃ、丸いままが幸せなのじゃ!」


「ところで王女、王都まで来たが王城まで送るのが依頼か?」


「ああ、よろしく頼む。余と王都を歩いていれば、多少は皆もお前たちのことを覚えるだろう。門前のようないざこざにはもう会いたくないであろう?」


「いちいち説得するのも面倒だからな。了解した。では王城まで行くとしよう」


「先導は自分が致しますので」


 そう言ってレオナルドが先頭になり俺たちは王城へと向かった。


 ヒソヒソ。


「シャルロッテ様が変わった者たちを引き連れてるぞ」


「あの方が変わった行動をとられるのは今に始まったことではないだろう」


「今度は何をするのかしら。それにしても珍妙な集団ね」


 王城へ向かう途中俺たちは住人たちの奇異の的になっていた。


「中々賑やかだな」


「民草は噂話が好きなものだ」


《王女様も肝が据わりすぎでしょ!》


 王城の門番とはレオナルドとシャルロッテが見えていたのかすんなりと通してくれた。


《エンリケ君がいないのが一番大きいと思いますよ!》


「ご苦労であった。レオナルド、報酬を彼らに」


「はい。こちら20万ゴルドになります……」


 なぜかレオナルドは元気がなかった。


「確かに。次は闘技大会だったか」


「ああ、そうだ、3日後と急だが余の推薦戦士として出場してくれ」


「その間に泊まるおすすめの宿はあるか?」


「王城に滞在すればよい。余の管轄下の第3宮殿を出入り自由にしておこう」


「ひ、姫様それは!?」


「この者らとはあの移動要塞でしか共にしておらぬが、実にわかりやすい。スパイ行為や敵対などはしないであろう」


「俺たちは報酬が得られればそれでいいからな」


「ふ、それに余はこ奴らが本気で暴れた時に止められらる気がせぬ。特にそこの竜姫ドラミナはな」


「?」


 名指しされたドラミナは完全に何もわかっていない顔をしていた。


「王城暮らしが体験できるとは思わなかったけど、私は研究していたいからツーバイフォーにいるわね~」


「メルティがいなかったらどうやって買い物するのじゃ!」


「そうだぞ!財布を置いてけ!」


「だめよ~買い物したくなったらツーバイフォーまでお小遣いを取りに来なさ~い」


「遠いのじゃ~」


「ハハハ。本当に面白い奴らだ」


 終始シャルロッテ王女はご機嫌だった。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます!

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