第二十話:第3王女シャルロッテ
増築されたツーバイフォーは順調に街道を走っていた。
俺は並走しながら見覚えのある森を見た。
「ふむ、この先の森が目的地だとすれば少し懐かしいな」
《あの頃は苔まみれの蛮族でしたね》
「外骨格も無く実にみすぼらしい姿だった」
《今は今でおかしい格好ですけどね!》
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ツーバイフォー内部。
「あの、テッペイ様は本当にずっと並走してるのでしょうか?」
「そうよ~ハイランドからグラスランドまでも余裕で並走してたから。心配はいらないわよ~」
「テッペイは死んでないのにずっと疲れないから凄いよな!早くテッペイスケルトン作りたいな!」
ゴロゴロ。
丸い物体がツーバイフォーのリビングに転がってきた。
「いつの間にか出発してたのじゃ?どこにいくのじゃ?」
丸い物体はドラミナだった。
「いまから王女様に会いに行くらしいわよ~話しやすい人だといいわね~」
「おお!王女か~妾も竜人族では姫じゃから話が合いそうじゃ!」
「いやあ、それは、その……どうでしょうか」
レオナルドは少し歯切れが悪かった。
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立派な屋敷が見えてきた。あれが王家の別荘だろう。
今までのパターンだとこう門番といざこざが起るのだが……。
別荘から兵士たちが飛び出してくることはなかった。
バタン!
正面の扉が勢いよく開かれた。
「魔王軍よ、余の命を狙いに来たか?それともほかの継承者の差し金か?」
身の丈ほどある大剣を軽々と担ぐ凛々しい女性が立ち塞がっていた。
ツーバイフォーのドアからレオナルドが弾かれるように出てくる。
「ひ、姫様!私です!レオナルドです!敵ではありません!」
「ん?レオナルド、なぜこんな珍妙な乗り物から出てくるのだ?」
「ハサミの勇士をお連れしました!」
「ハサミの勇士?どう見ても魔王軍の化け物しかいないが……」
「そちらのアイスドラゴンの外皮のようなものを纏っている方です!両手がハサミです!」
「俺はハサミの勇士ではないが……王女護送の依頼を受けてやってきたものだ」
《その受け答えはややこしくするだけだから!》
「姫様!テッペイさんはいつもハサミの勇士であることを否定するのですが、ミスリルドラゴンとアイスドラゴンを倒したその人です!」
「なるほど。名声には興味がないタイプか。おもしろい」
「それで、あなたがシャルロッテ王女で違いないか?」
「ああ、そうだ余がシャルロッテ・キングスレーだ。貴様は?」
「俺はカニサキ・テッペイだ。テッペイと呼んでくれればいい」
「そうかテッペイ。では王都までの護送を頼むと言いたいところだが、追加の依頼をしてもいいかな?」
「報酬が出るなら構わんが」
「王都に着いたら、闘技会に余の推薦戦士として出てほしいのだ。そしてできるならば優勝してほしい」
「ほう。」
「ひ、姫様それはあまりにも無茶が過ぎるのでは……」
「ドラゴンを屠れるものだ人間同士の闘技会など造作もないであろう?」
「いくらだ?」
「わかりやすい男だ。まず優勝賞金で100万。依頼を完遂できれば余からもう100万出そう」
「いいだろう、この外骨格にかけて優勝をもぎとろう」
「大した自信だ。気に入った。ではその珍妙な乗り物に乗せてもらうとしよう」
そういうとシャルロッテはレオナルドに先導されながらツーバイフォーに乗り込んだ。
ゴロリ。
シャルロッテの目に飛び込んできたのは丸い団子だった。
「なんだこれは?」
「む!失礼な奴じゃな!妾は竜人じゃぞ!」
「ドラミナちゃん。丸くなりすぎて初対面の人にわかってもらうのは無理だと思うわ~」
「毒妖精!?」
「ん?王女様か?イメージと大分違うな~」
「死霊!?レオナルド、本当にこやつらは魔王軍じゃないのか?」
「はい、姫様!彼らは川縁で暢気にしてたので魔王軍であろうはずがありません!」
「シオンちゃんは元魔王軍だけどね~上司を骨に変えて脱退してるわ~」
「元上司はこのツーバイフォーを引っ張ってるのじゃ!」
「ハッハッハ!なるほど。これは面白い。絶対に他の勢力につきそうもないな。よくやったぞレオナルド」
「は、はあ、その姫様がお喜びのようで何よりです」
「ところで、私たちだけで行くのか?部下とかほかにいないのか?」
「余の信頼できる部下はレオナルドだけだ。あとは非戦闘員しかおらぬ」
「身軽でいいわね~」
「腕の立つスパイなど、入ってきてもらっても困るだけだからな」
「大変なんじゃな~」
「そろそろ出発するぞ!」
俺はツーバイフォーの中に声をかけた。
「エンリケ君、全速前進だ!」
シオンの掛け声でツーバイフォーは王都に向けて発進した。
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王都に向かう街道。ここにシャルロッテ王女移動の情報を得ていた刺客たちは待ち伏せをしていた。
「シャルロッテ王女が近日通るのは間違いないんだな」
「はい、グラスランドのギルドでレオナルドが依頼をしている姿が目撃されております」
「ふ、ならばここを通るのは間違いないな。レオナルドも尾行されていたことに気付いていないとは可哀そうな奴よ」
ズドドドドドドド。
「何の音だ?」
「なにやら巨大な骨が四角い要塞を引いて高速移動しています!」
「魔王軍か!?」
「魔王軍が王都を目指して爆走するでしょうか?」
「ハイランドで目撃されたハサミの勇士の乗り物では?」
「ああ、あの……いやまてそれならあれに王女が乗っているのでは?」
ドドドドドド。
「あ、速過ぎて通り過ぎていきました」
「あんなものに追いつけるわけがない。仕方がない、王都の皆に後のことは任せよう。それにあれは囮かもしれないしな」
テッペイたちは知る由もなく刺客たちを回避していたのであった。
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