第十九話:それは割増料金で頼む
ハイランドで大金を稼ぎ、グラスランドの川縁に帰還した俺たちは堕落していた。
「毎日が満足じゃ~」
もうハイランドジャケットを着ていないのにドラミナは丸かった。
「エンリケ君今日も磨いてやるからな~」
シオンは毎日エンリケ君を磨いていた。磨き過ぎて骨が細くならないだろうか。
カコーン、ペコーン。
スケさんとカクさんは自分の骨と落ちてる小石で羽子板みたいにして遊んでいた。
どうやら落石した方がエンリケ君の肋骨を外しに行くらしい。
素早く外せないとエンリケ君にペシャンコにされるようだ。
メルティはツーバイフォーを少し増築して実験室を移設したようだ。
毎日怪しい煙を空にむかって放出している。街の住人に悪影響がなければいいが。
俺はというとツーバイフォーの汚れを水鉄砲で優しく洗い流していた。
《なんで人間高圧洗浄機みたいなことしてるのよ!!》
グラスランドには仕事がない。俺たちは仕事を探すほど金に困っていない。とにかくだらけていた。
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グラスランドのギルド。ここに一人の身なりのいい男がやってきていた。
「すまない。この街にハイランドでアイスドラゴンを倒したハサミの勇士がいると聞いてきたのですが」
溌溂とした受付嬢がすぐに応えた。
「ああ!テッペイさんの事ですね!街の南の川縁に住んでらっしゃいますよ!ちょっと大きなスケルトンとかいますけど、すごく優秀な冒険者で話も分かる人ですから。何か御用なんですか?」
「ええ、ある依頼を直接頼める、とても信頼できる優秀な冒険者を探しているのです。」
「ああ、じゃあテッペイさんはぴったりですね!アイスドラゴンだけじゃなくてミスリルドラゴンも倒してますし、丁度今依頼も受けてないみたいで暇をしてるようですので!」
「そうですか、ではその川縁を訪ねさせていただきます」
川縁に着いた男は目の前に広がる光景に絶句した。
二体のスケルトンがなにか勝負を繰り広げており、巨大なスケルトンを磨く女がいて、紫色の煙を吐く建物が聳えており、それを磨いているハサミを付けたトゲトゲの化け物がいた。
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今日もツーバイフォーの汚れを落とした俺だったが後ろに身なりのいい男が立っていた。
「失礼する。あなたはハイランドのハサミの勇士だろうか?」
「いや俺はハサミの勇士ではない」
「えっ?アイスドラゴンとミスリルドラゴンを倒した冒険者ではない?」
「それは俺だが」
「テッペイ殿ですな?」
「そうだ」
「よ、よかった、その依頼をしたいのですが、内密な依頼のため、外ではし辛いのですが……」
「なら、中で話そう」
俺はツーバイフォーに身なりのいい男を案内した。
「外観に比べて随分中はしっかりしているのですな。あ、いや、失礼私はレオナルド。王都近衛兵団に所属している者です。ところでこの建物にはテッペイ殿だけですか?」
「ん?ツーバイフォーにはメルティとドラミナがいるし外にはシオンと骨どもがいるが全員仲間だ安心していいぞ」
「わかりました。それでは依頼の詳細を話させてもらいます。実はグラスランドの街近郊の森には王家直轄の別荘がありまして、今そこには王位継承権第3位の第3王女シャルロッテ様が滞在されているのです」
「それで?」
「はい、この度王都で闘技会が開催されることになり、そこでは新たなる王家の騎士を選抜することになっているのですが、この機にシャルロッテ様を王都に帰還していただくことになったのです。その際の護衛を是非馬よりも早く駆ける要塞を持つというハサミの勇士であるあなたに引き受けてもらいたいと」
「なるほど、幾らだ?」
「え!?」
「報酬の話だが?ああ、人間の護送は荷物より大変だからな割増料金で頼むぞ」
《なんで王都の使者にそんな尊大な態度が取れるのぉぉ!》
「と、とりあえず成功報酬として20万ゴルドの用意があります」
「20万か……メルティ!残金はいくらだ!」
「そうね~5000ゴルドよ~」
「よしその依頼受けよう!」
「え?あ、ありがとうございます」
「シオン!スケさんたちをしまってツーバイフォーに乗れ!依頼に出発だ」
「へ?仕事が入ったの?わかった!エンリケ君DRE出番だよ!」
シオンが声をかけるとエンリケ君は力強くサムズアップした。
「よし、俺は外で並走するからレオナルド、別荘まで案内してくれ!」
「並走?あなたも乗っていくのでは……」
「俺はなるべく自由でいたいんだ」
「は、はあ……」
こうして俺たちは王族直下の別荘に向かうことになった。
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