第十六話:ドラゴンはいつもいい素材をくれるよね
ズドドドドド!
俺たちは出来るだけ急いで鉱山へ向かっていた。
エンリケ君には山道で無理をさせるが、鉱山遭難者が全滅してしまっては報酬に関わるからな。
後でシオンが奇麗に磨いてくれるだろう。
「テッペイなんかジャケットを着てても冷えてきたのじゃ。ズビ」
「アイスドラゴンが冷気を出しているのかもな、外骨格の関節に軋みを感じる」
「ところで私ドラゴンなんて見たことないんだがデカいのか?」
「そうねえ~種類のよるかしら~ミスリルドラゴンはツーバイフォーより大きかったわよ~」
「ええ!?ツーバイフォーに籠ってて大丈夫かな……」
「危なくなったら脱出よ~エンリケ君にも戦ってもらいましょ~」
グギャアアアアア!
大きな咆哮が山に響いた。
「凄い声だなぁ。本当に大丈夫か?」
「問題ない」
エンリケ君がツーバイフォーをドリフトさせ、アイスドラゴンの前に横付けした。
「寒いからとっとと倒して冷気を止めるのじゃ!」
「今回はハサミが使えるからな。まともに戦わせてもらう!」
《あ、前回はまともじゃない自覚はあったんですね》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アイスドラゴンだけでもこの世の終わりだと思ったのに追加で魔王軍がやってきた。
俺達はアイスドラゴンの襲来で鉱山に閉じ込められている。
すんでのところで逃げることに成功した仲間が助けを呼んでくれると信じてここで待っていた。
それがどうだ、アイスドラゴンだけでも厄介なのに、巨大な骨が引いている要塞、マシュマロみたいな異形、そして極めつけに、緑銀色に輝く金属の塊が出てきた。
鉱山に籠った俺たちを殲滅するための歩兵だろうか……ただミスリルを掘って稼ぎたかっただけなのに何でこんなことになるんだ……。
俺はこの光景を鉱山の奥にいる仲間たちにどう伝えればいいのか……
そんなときだった、銀色の塊とマシュマロがアイスドラゴンに飛び掛かっていった。
「え?もしかしてあの魔王軍みたいなやつら救助に来てくれたのか?それにあの銀色、ハサミで殴ってるぞ。もしや爺さんが言ってたハサミの勇士が絶体絶命のピンチに駆け付けてくれたのか?が、がんばれ!」
俺は暫定ハサミの勇士を応援することにした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ガキン!ゴキン!
「硬いのじゃ~冷たいのじゃ~」
「確かになミスリルハサミで叩いているのに手応えがない」
俺は少し離れ、水鉄砲を噴射した。しかし冷気でドラゴン到達の頃には氷の礫になってしまった。
当然全くアイスドラゴンには効かない。
グギャアアアア。
アイスドラゴンは俺たちを鬱陶しいと思ったのか、咆哮を上げ、ブレスを吐いてきた。
「危ないのじゃ!」
ドラミナはマシュマロマン状態でも器用に避けた。
だが俺は全く避ける気がなかったので直撃してしまった。
見る見るうちに体が凍っていく。生き締めにされてるみたいだ身が引き締まる。
「テッペイが氷の彫刻になってしまったのじゃ!」
「ドラミナちゃん!早く溶かすのよ~ここなら炎使ってもいいから~」
「わかったのじゃ!久しぶりにするのじゃ~」
ゴォォォォォォォォ!
とてつもない勢いで俺の体を炎が覆った。ついでにアイスドラゴンも覆った。
パキパキパキ。バキーン。
氷は解けた、しかしミスリルの外骨格は温度変化に耐えきれず砕けてしまった。
「脱皮してしまったようだな」
《なんで腰布だけで雪山に仁王立ちできるのよ!寒がりなさいよ!》
「テッペイはやっぱり頑丈なのじゃ。妾のブレスを受けて生きてる奴などこの世に殆どおらんのじゃ」
「ハサミだけは無事だったからな戦闘を再開するぞ!」
俺は再び構えアイスドラゴンに向かっていった。
「テッペイ。そいつもう死んでるぞ」
いつのまにかツーバイフォーから降りてきたシオンが指摘した。
「む?ドラミナのブレスで死んだのか。炎が弱点だったのか?」
「そうみたいね~、外皮は無事だけど内臓が焼かれちゃったみたい~これじゃ毒に使えそうな成分は取れないわね~」
「骨は無事そうだから、エンリケ君の強化パーツを選ぼっと」
「メルティ、こいつの外皮から暫定的な外骨格は作れるか?」
「うーんそうねえ、頭をちょちょいといじればいい感じになるかも~」
「冷気に強そうだからな、外皮は回収して帰ろう」
アイスドラゴンの死体を好き好きに解体している俺たちの前に鉱山から鉱夫たちがおそるおそる近づいてきた。
「あ、あんたらアイスドラゴンの討伐に来てくれたんだよな?」
「ん?遭難者かそうだ俺たちはアイスドラゴンを倒し鉱山に閉じ込められた人の救助に来た」
「それで、そのあっさり倒しちゃったんだよな?」
「外骨格を失うという痛手を受けたがな」
「くぅ~やっぱり伝説のハサミの勇士だったんだな!あんたの活躍をハイランド中に広めるよ!」
「いやカニ違いだが……」
俺は訂正したが、鉱夫たちは呼び止める間もなく街へと帰っていった。
「それにしてもミスリルの外骨格が砕けるとはな……急激な温度変化には弱かったようだな」
「結構貴重な体験じゃないかしら~?アイスドラゴンとファイアドラゴンのブレスを直接ノータイムで浴びるなんて普通出来ないもの~」
「妾のブレスはファイアドラゴンよりもっと強いのじゃ!ブレスさえ使えればミスリルドラゴンだってワンパンだったのじゃ!」
「今回は雪原だったからいいがグラスランドでこんなもの使ったら延焼でどれだけ賠償されるかわからん。今後は禁止だ」
「妾のすとろんぐぽいんとをなぜ封じるのじゃ~!」
「貧乏にはなりたくないな?」
「ひもじいのは嫌じゃ」
「いつも美味しいもの食べたいな?」
「それはそうじゃ。お腹一杯になりたいのじゃ」
「じゃあブレスはだめだな」
「そうじゃな……」
「なあテッペイ、外皮は使うんだよな?もうドラゴン解体終わったぞ!」
「流石死骸術師。仕事が早いな。よしツーバイフォーに積み込んでハイランドに戻るぞ」
俺たちはアイスドラゴンの素材を積み込みハイランドへと向かった。
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