第十四話:話せばわかる
カンカンカンカン!
けたたましい音とともに門の前に沢山の兵士が並び一斉に武器を構えた。
「なんかすごく物々しいぞ!」
シオンは少し不安げだった。
「割と物騒な地域なのかもしれないな」
「何かに襲われてるのかもしれないわね~」
「配達先が壊滅したら大変ださらに急ぐぞ!加速だエンリケ君!」
俺たちがさらに門に向かって加速すると大量の火の玉と矢が飛んできた。
「なあ?この魔法全部ツーバイフォーを狙ってないか?」
「そんな気がするわね~」
「流れ弾か?撃ち落とすか」
俺は魔法で口に水をためると迎撃の水鉄砲を撃った。
ビシュシュシュシュシュシュ!
正確に魔法と矢を打ち抜き相殺しすべて撃ち落とした。
すると門の前に構えていた兵士たちがすごい勢いで突っ込んできた。
「魔王軍め覚悟しろ!」
「ハイランドは渡さんぞ!」
「命に代えてもここは通さん!」
兵士たちは各々が決死の覚悟で突っ込んできていた。
「いかんこのままでは轢いてしまう。エンリケ君停車だ」
ズズズズズ。
俺はツーバイフォーを停車させ、エンリケ君の前に立つ。
カシャン!
俺はフェイスガードを開き兵士たちに声をかけた。
「待て!話せばわかる!俺たちは魔王軍ではない!」
《巨大なスケルトンに、全身ミスリルの塊が話しかけても説得力はゼロよ!》
「うおお!魔物め俺たちを惑わす気か!」
兵士たちは構わず武器を振り下ろしてくる。
ガキン!ゴキン!
全身ミスリルの俺に通常武器が通用するわけもなく、追加の遠距離攻撃を水鉄砲で撃ち落としながら、俺は説得を続ける。
「魔物ではない俺はカニだ、ギルドから正式な依頼を受けて小麦粉500キロを運びに来たのだ確認してくれ」
「た、隊長?」
兵士たちは攻撃が全く通用してないことで少し落ち着いたようで確認を取ろうとしてくれていた。
「確かに、グラスランドに食料調達依頼が出ているが、2日前に出したばかりでこんなに早く届くわけが……」
「見ればわかる通り俺たちは馬ではなくオーガの骨エンリケ君で荷車を引いているのでな。遥かに早く運搬が出来るのだ」
「な、なるほど?」
「証拠の小麦粉も見せよう。ドラミナ1箱荷物を降ろしてくれ」
「ズビビ、寒いから嫌なのじゃ……」
「動いたほうが温かいぞ。それに街に入れないとずっと寒いぞ」
「わかったのじゃ。ズビ」
ドシン。
毛布ぐるぐる巻きの姿のままでドラミナは小麦の箱を降ろした。
「な、なあ竜人族じゃないかあれ?」
「オーガの骨、ミスリルの塊、竜人族。どう見ても魔王軍だけど小麦は本物だぞ」
「うーん、そのデカい荷車とオーガの骨は街に入れることはできないがいいか?」
「構わん、ただ俺たちの留守中にエンリケ君に近づくのは危ないから止めておいてくれ」
「そんなの頼まれたって近づかねえよ……」
こうして何とか誤解を解いた俺たちはハイランドの兵士たちと一緒に小麦の積み下ろしをした。
「小麦の受領印を頼む。それとハイランドのギルドの場所を教えてくれ」
「あ、ああ、ギルドは街の東の広場にある大きいからすぐにわかるはずだ。ところで本当にあんたたちは魔王軍じゃないんだよな?あんたはミスリル着込んだ人間だからいいとして、竜人、妖精、死霊だよな。あんたの仲間」
「?俺はカニだが、ドラミナは力を加減すれば無害だし、メルティは毒が絡まなければ無害だ、シオンは元魔王軍だが上司を始末して足を洗っているから無害だ」
《あまりにも無理がある理論では!?》
「……いやまあなんかあんたらが本気で暴れててたらとっくの昔に制圧されてる気がするからもう気にしないことにするよ」
警備隊長はなぜだかゲッソリしていた。
「テッペイ!早く報酬をもらって宿に行くのじゃ~!ズビビ」
すっかり毛布でマシュマロボディになっているドラミナは必死だった。
「ふむ、確かにこの街での活動をどうするか決めないけないからな。ギルドで依頼を見るか」
ガシャンガシャン。
「何かしらあの化け物たち……」
「警備の人たちが無視してるってことは大丈夫なんだろうけど」
「緑色の髪の人は美人だぞ」
「馬鹿ね!あれは毒妖精よ!」
「最近流行ってる邪教の幹部かしら……」
なにやら多くの人からの注目を浴びたようだが俺たちはギルドに入っていった。
ギルドは仕事のないグラスランドより閑散としていた。
俺は受付に向かい呼び鈴をならす。
チリンチリン。
「ハーイ!ってミスリルの化け物ぉ!」
プシュー!
謎のスプレーをかけられた。
「う~んこれは、市販の魔物除けのスプレーね~毒が弱すぎるわ~」
「そのミスリル装甲どこ行っても化け物扱いされるしやめたほうがいいんじゃ……」
「シオン、外骨格は大切だ。なに、どこでも話せばわかる」
「警備兵の人たちも話せばわかってたのじゃ。ズビ」
「えっと、化け物じゃないんですか?」
カシャン。
俺はいつものようにフェイスガードを開け顔を出した。
「俺はテッペイだ。ここへは小麦配達の依頼完了の報告に来た。これは受領印だ」
「あ~、モニカが言ってた凄腕の冒険者テッペイさんがあなたなんですね!」
「モニカというのがグラスランドの受付嬢ならそれであっている」
「うーん、凄い美形だけど装備と仲間がおかしい人という評価に納得です!」
《受付嬢さん一番大事なところをスルーしてますよ、頭もです》
「それにしてもモニカは名乗ってなかったんですね!私はセニア!ハイランドの受付は私しかいないので覚えてくださいね!」
「それで報酬のほうだが」
「5万ゴルドですね!それにしても受理から1日かからずに届けちゃうなんてすごいですね!」
「エンリケ君とツーバイフォーが優秀だからな」
「照れるわ~」
「素材の骨が良かったから……」
「???とにかく特別な輸送手段があるんですね!今後もそういう依頼を受けていくんですか?」
「いや、新しい土地なのでしばらくここで依頼を受けたいと思っている。大分閑散としてるが、仕事はあるだろうか?」
「ああ、大体ハイランドの人たちは鉱山の採掘か護衛に就く人が多くて、今の時間だとみんな酒場だと思いますよ!」
「なるほど業種の違いか、どういったものが取れるんだ?」
「各種金属と、ミスリルも採れますね」
「ミスリルは間に合ってるからな……まあ今日は休んでまた明日依頼を探しに来るか」
「はい!またお待ちしてますね!」
俺たちはギルドを出て宿を探すことにした。
「テッペイ流石にここは川縁で休むとかは言わないじゃろ?」
「街中に川が流れてる様子がないからな。仕方あるまい」
「5万もあればいい宿に泊まれるわよ~」
「いや、これが全財産だからぼちぼち使ってこうよ」
「しまった、セニアに宿を聞いておけばよかったな」
日も落ちた広場でうだうだしている俺たちにふと声がかかった。
「旅の方ですか?宿泊先にお困りのようですね?」
「む、話が聞かれていたか。その通りだ」
「では我々クライスト教団の礼拝堂はどうですか?広くて暖かいですし、料金もかかりませんよ」
「近いのか?」
「はい!広場を出てすぐの建物です!」
「ズビ、もう寒くて歩けないのじゃ……」
「ドラミナもこう言っていることだし、世話になるか」
俺たちはクライスト教団の礼拝堂で一泊することにした。
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