第十三話:いざハイランドへ!
馬車で4日かかるハイランドだが、ツーバイフォーは驚くほど速かった。
ガリゴリ、ガリゴリ。
ぱっと見はただの木製の車輪にしか見えないがどうやら衝撃吸収機能が付いているようであり、少しのデコボコ程度はすんなり進んでいた。
「凄いのじゃー、景色が流れていくのじゃー」
とりあえずの串焼きを食べたドラミナはご機嫌で窓から流れる景色を見ていた。
「エンリケ君の力が凄いわね~」
「フフン!私の死骸魔法は生前より強くなるんだ!」
「これならそれなりに早く着きそうだな」
俺は高速カニ歩きで並走しながらドラミナたちに話しかけた。
《なんで乗ってないで並走しているの!?》
「テッペイもツーバイフォーに乗ればよかったのじゃ」
「ツーバイフォーに乗るのはどうも飼育されているようでな。気に入らん」
「そのうち疲れて乗ると思ってたけど、全然元気よね~」
「全然疲れた様子がないし本当は死んでるんじゃないか?」
「実際転生してるわけだが……」
《転生したからってスタミナ無限にはならないですからね!なんで疲れてないの?》
そうこうしてる間に以前は霧の渓谷だったところに通りかかった。
「すっかり霧が晴れてるのじゃ」
「ミスリルドラゴンの魔力で霧が出てたみたいね~」
「え?あなたたちミスリルドラゴンを倒したのか?」
「あれは強敵だった……」
俺は毒を使わざるを得なかった戦いを思い出しながら言った。
「テッペイの毒ブレンドで毒殺したのよね~」
「ええ……ドラゴン殺す毒とか物騒だよぉ」
「テッペイの手足を集めるときは気を付けたほうがいいのじゃ」
「これからはすぐ乾燥して骨にするよ」
「あ、血液とかはわたしが回収するから安心していいわよ~」
元、霧の渓谷を抜けると、遠くに雪を被った山々が見え始めた。
「おお、ハイランドが近づいてきたのじゃ!でも寒くなってきたのじゃ~」
ドラミナは景色を見ていた窓をピシャリと閉めて毛布にうずくまり始めた。
「そんなに冷えるかな?」
「爽やかないい陽気だと思うわよ~」
「ふむ、そろそろ湿り気が欲しいな」
「この辺に川とかあったかしら~」
ズズズズ。エンリケ君がツーバイフォーを止めた。
「む?エンリケ君まさか川が分かるのか?」
エンリケ君はガシっと腕を上げ応えた。
「魔王軍の時に地理でも学んでたのかな?隊長だったし」
「生前の知識も扱えるのね~」
「とりあえずエンリケ君に任せよう」
エンリケ君はサムズアップしてまたツーバイフォーを動かし始めた。
暫く走ると小さな小川が見えてきた。まだ少し周囲に雪が残っている。
「ほお!雪解け水か!エンリケ君気が利くな!」
俺は迷わず小川に飛び込み水浴びをした。
「むう!冷たい!深海を感じるな!」
《水の冷たさで深海を感じるのはあなただけだと思いますよ!》
「見てるだけで寒そうなのじゃ。テッペイはおかしいのじゃ!」
毛布にぐるぐる巻きになっているドラミナには全く理解できない行動だったようだ。
「ハイランドまで半分くらい来たしお昼にしようよ!」
「ちょうど良い頃合いだしね~」
「火をおこすのじゃ!」
ブワ~。
ドラミナが軽くブレスを吐き薪に火をつけた。
「やっぱ炎が落ち着くのじゃ」
「一応耐火にしてあるけど~。ツーバイフォーに燃え移らないようにするのよ~」
「火加減は完璧なのじゃ!」
「燻製を温めよう!」
シオンはキラキラした目でもも肉の燻製を持ち出してきていた。
3人は思い思いに昼食を取っていった。
俺はというと川底のグラスランドでは見かけなかった青々とした苔を摘まんでいた。
《いっしょの昼食を取らないのね……》
ちょっとした小川での休憩を終え、俺たちは本格的にハイランド地域へと入った。
「ズビ、ズビ、寒すぎるのじゃ!火を焚くのじゃ~」
「だめよ~ドラミナちゃん。ツーバイフォーが燃えちゃうわ~」
「石造りにすればよかったのじゃ~」
「そっちのほうが冷えると思う。石棺のが長持ちするし」
「日も暮れてきたからな。気温が下がるのは仕方ないだろう」
《ずっと走ってるあなたは絶対寒くないですよね?》
まだ雪がそれなりに残る山道を俺たちが軽快に登っていくと、徐々に重厚な山間の門が見えてきた。
「あれが、ハイランドか。割と早く着いたな」
エンリケ君の頑張りでどうやら馬車の4倍速で来てしまったようだ。
手早く物資の受け渡しをしよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
もう日が暮れようとしていた時だった、この辺りはフロストベアなどの比較的危険な魔物がやってくる。
毎日のこととはいえ、この時間からは警戒を強めないといけない。そんな時だった。
雪煙をあげ馬車ではありえないほどの高速で何か巨大なものが迫ってきていた。
先頭は巨大なスケルトン!?
カンカンカンカン!
俺は素早く警鐘を鳴らし、警備隊たちを集合させた。
「なにがあった!?」
「隊長!見てください!巨大なスケルトンと要塞が突っ込んできます!」
「ぐ、魔王軍、このハイランドまで遂にやってきたのか!」
「ん?まて要塞の横を何かが並走してないか?」
「ミスリル色の塊が高速で並走してますね……」
「あんな魔物見たことあるか?」
「いえ、完全新種の魔王軍幹部かもしれません」
「ここが死地になるかもしれんな……」
「門は絶対死守して見せます!」
こうしてハイランド警備隊は門の前で絶対の守りを固めたのであった。
最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます!
もし、ちょっとでも「面白いじゃん!」と思っていただけたら、 ↓の【★★★★★】を、ポチっと押して応援していただけると、作者が、本気で泣いて喜びます…!
ブックマークも、ぜひぜひ、よろしくお願いします!
また次回、お会いできるのを楽しみにしています!




