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リア充は滅びればいいんだ

「アイツ、お嬢様と楽しみやがって」

ボク達は今、ある人物たちの追跡をしていた。

ボクの他には、ノエルとレイトがいた。

ついでに、最初のセリフはノエルの言葉だよ。

ボク達の視線の先には、シオンとアイリスが楽しそうに歩いていた。

ボク達が、こんな事をしている理由を、順を追って説明していくとしよう。



「買い物行きませんか?」

俺の仕事(授業)がやっと終わった。

そんな俺が久しぶりにギルドに行こうか考えていると、アイリスに声をかけられ。

「うん?別にいいけど」

どうせ、今日はもう予定がないからな。

ギルドなんざ、明日にでも行けばいいさ。

俺の返答にアイリスは笑顔を浮かべた。




そして、俺達は街中を歩いていた。

いつもは、転移を使ってばっかりなので、あまり街中を歩きまわる事のない俺かられば、新鮮だった。

それにしても、まさかあれで隠れているつもりなのかね。

《何してるんだ?》

俺は、後ろから着いて来ている3人の一人に念話で話しかけた。

恐らく、俺たちの話を盗み聞きしていたんだろう。

《だって、面白そうじゃん》

カレンからの念話が帰ってきた。

この世界では、使い魔だけにしか念話が出来ない。

使い魔は、意思疎通が出来ない場合があるからだ。

《・・・まあ、アイリスが気付くまでは知らないフリをしてやるか》

《ありがとうね〜》

そして、カレンとの念話を終えた。

「今日はどこに行くんだ?」

やっぱり、アイリスも女の子だし、服とか買いに行くのか?

俺の質問に対し、アイリスは首を横に振った。

「いえ、今日は武器を見に行きます」

え?

俺の聞き間違いかな?

アイリスは笑顔だった。

「シオンが来てからは行ってませんから、久しぶりに見に行きたいんです」

ノエルとよく行ってたんですよ。とアイリスは続けて言った。




「そうなの?」

レイトにも聞こえていたのだろう。

ノエルに質問がされていた。

「ええ、まあ見てましたよ」

ノエルはアイリスと一緒に行っていた時を思い出しているようだ。

かなり顔がだらしなくなっている。

アイリスの前では見せない表情ではあるが、初めて二人きりになったときにもこん顔をされた事がある。

そのときは、アイリスの魅力を2時間ぐらい語られて、少しトラウマになったぐらいだよ。

「アイツが来るまでは、私がその立場だったのに」

ノエルがダークサイドに落ちてしまいそうな雰囲気だが、これも今に始まった事でない。

この状態になると、多少面倒だけど時間が経てば戻る事はわかっている。

初めて見たからか、レイトが引いてしまっているけどね。

ボクは、混沌としてきた追跡班に対して、ため息をついたのであった。




いつらは何してるんだろ?

後ろの方が、少しずつ騒がしくなってきていた。

チートスペックな俺には聞こえていたが、またノエルが闇落ちしたらしい。

初見のレイトには対処が出来ないだろうし、カレンだけが頑張っているようだ。

あの状態のノエルの相手は面倒だから、頑張れよ、カレン。

「どうしたんですか?シオン」

アイリスが俺の顔を覗き込んでいた。

「いや、考え事だよ」

アイリスには言えない。

お前の従者が闇落ちしているなんて事、言えるわけがない。

アイリスは俺の言葉に?マークを浮かべている。

「ほら、そんな事よりついたぞ。」

ここが、この街最高峰の武器が集まる武器屋だ。

そして、今日の俺たちの目的地でもある。

俺も店の存在は知ってはいたが、一度も来たことがなかった。

闇衣があるから武器をわざわざ買う必要がなかったからだ。

「すごいですね、色々ありますよ」

アイリスは初めてデパートに来た子供のように、あちらこちらを見ていた。

アイリスの言うとおり、量産の質の低い短剣から、曰くつきの槍まで実に多種多様武器があった。

俺も、初めて来た武器屋に少なからずテンションを上げている。

地球にいた頃は、銃火器しか見たことないからな。

漫画とかで見るような武器が綺麗に並べられているのだ。

中二病を患っている俺からすれば、目の前の光景は絶景の一つに数えられるね。

もちろん、異論は認めないぜ。

「見てください、ここに属性付きの武器がありますよ」

もしアイリスに尻尾が生えたら、確実にちぎれんばかりに振っていることだろう。

想像したら、少し萌えてしまった。

「ふぇ?」

アイリスの小さな悲鳴で我に返ると、俺の右手はアイリスの頭に乗っていた。

俺の右手は勝手に動くことがあるのか。知っていたけどね。

「そうだな」

だから、俺はなかったことにした。

手を離した時にアイリスが残念そうな顔をしていたが、それも無視した。

俺は、リョウとは違うからな。

アイリスの前の棚には色とりどりな武器が並んでいた。

恐らく、この武器の色が属性の種類を表すのだろう。

例えば、赤色なら火属性、青色なら水属性といった感じだ。

俺は、刀身が真っ赤になった剣を軽く振るう。

魔力を少しも使ってないのに、剣からは炎が出た。

「いい剣だな」

俺は思わず口にした。

これが、質が悪い場合だと何も出ないからだ。

その為、金持ちは振っただけで魔力を自動で吸う剣を買う。

そうでなければ、いざというときに対処に遅れるからだ。

しかし、この剣は魔力を使わなかった。

それだけの素材と技術を持つ職人はほとんどいない。

オーバーランクの俺も、このレベルは初めて会うレベルだった。

まあ、俺なら作る事も出来るけどな。

「この剣をください」

が持っていた剣をアイリスがレジに持っていった。

気がつかなかったんだが、いつ俺から剣を取ったんだ?

レジにいたおじさんは、だらしなく寝ていた。

「あれ?おじさ~ん。起きてくださいって」

そして、アイリスは剣の柄でおじさんの頭を殴った。

「グォ!?おお、アイリスちゃんじゃないか、久しぶりだな」

おじさんは頭を掻いていた。

まさか、あんなに鈍い音が響き渡ったのに、その程度にしか効いてないのか?

「おじさん、この剣を売ってください」

アイリスは何事もなかったように持っていた剣を手渡す。

「ほお、この剣は俺が鍛えたもんじゃないか。アイリスちゃんは相変わらずいい目しているね」

剣の柄に血が付いているんだが、そこに突っ込みは無しですか。

しかも、その剣を見つけたのは俺だぞ。

自分が見つけたような態度で照れるなよ、アイリス。




「あの人、すごいね」

ボク達も武器屋の店内に入っていた。

アイリスに見つからないように、入ってすぐに死角になる店内の奥に向かったけど。

あのクラスの剣は魔界にもあまりないな。

下手すれば、僕の剣に並ぶぐらいなんじゃないかな?

そんな剣を作れるような人が、何故こんなところで武器を売っているのかがボクはになった。

だから、後ろにいたノエルに聞こうと後ろを振り向いた。

「・・・ノエル?」

そして、気づいた。

あのノエルが、アイリスではなく店の奥を見ている事に。

「・・・呼んでる」

そして、ノエルは店の奥へと足を進ませた。

レイトも不審そうな顔をしていた。

嫌な予感がするから、店内に隔離結界を貼っておくかな。

そして、店の奥に行ったノエルが戻ってきた。

その手に一振りの剣を持っている状態で。



カレン?

カレン達の魔力が感知出来なくなった。

ついさっきまでは、アイリスの左側の棚の奥から顔を出していたというのにだ。

ついでに、俺はアイリスの右側にいたから、アイリスに顔を向けると視界に入ってんだけどね。

俺の中の第六感的な何かが告げていた。

また巻き込まれる、と

パキ

目の前の空間に小さなヒビが入った。

おじさんは気づかなかったようだが、俺たちには十分だった。

俺は、結界を補強すると同時に、俺たちが入るための穴を開けた。

おじさんはいきなり出現した穴に驚いた。

しかし、説明する暇はない。

この結界はおそらくカレンが作った隔離結界だ。

その結界に小さいながらもヒビが入ったんだ。

カレンに何か問題が起こったとしか考えられない。

戦っているのはカレンだけでなく、一緒に着いて来ていたノエルと何より主人公補持ちのレイトがいるはずだ。

俺でも倒すのに手こずるほどのメンバー相手に善戦しているんだ。

かなりの実力者だ。オラ、わくわくすっぞ

俺は、まだ見ぬ相手を予想して、口角が上がった事を自覚しながら、穴に入った。




「強いな」

ボクは苦笑いをしていた。

ボク達は今、襲いかかってきたノエルを出来る限り傷つけないように戦っていた。

しかし、ノエルの強さが想像以上に上がっているのだ。

結果、ボクとレイトが押されていた。

「これも、あの剣が原因かな?」

レイトも苦笑いを浮かべていた。

確かに、ノエルが持っている剣は、魔剣と呼ばれる類のものだろう。

あの剣を手にしてから、ノエルが変わったからだ。

しかし、たったそれだけし変わらないのに、ノエルを押さえつける事が出来ないでた。

あの剣は、魔法を無効化する能力があるらしく、魔法が通じなかったのだ。

そして、近接戦闘では、ボク達よりノエルの方が強い。

更に、こちらは全力で戦えないのに、向こうは殺る気満々で戦っている。

その差が一番大きな違いなんだと思う。

ボク達が、ノエルを出来る限り傷を与えずに押さえつける策を考えていると

黒い穴が出現した。

まさか、まだ何か起こるの!?

ボクは思わずそう思ったが違うようだ。

なぜなら、中から我が主の声が聞こえたからだ。

「お待たせ」

そして、我が主ことシオンが穴から出て来た。

シオンは、穏やかに笑っていた。

目に少し落胆の色が浮かんでいたのは気のせいかな?

「魔剣か?」

出来る限り、無駄を省いた言葉をボクに投げかけた。

ボクは肯定の意味を込めて、頷く。

「そうか」

シオンは笑顔を崩さなかった。

まるで、予想出来ていたかのようだ。

パリンッ

鏡が割れたような音がノエルの方から聞こえた。

ノエルを見ると、銀の鎖が砕かれたところだった。

これは、シオンの魔法?

ボクも、こんな魔法知らないんだけど。

シオンが首を横にずらす。

瞬間、シオンの顔があった位置を、ノエルの持つ魔剣が通り過ぎた。

シオンは、そんな近くに踏み込んでいたノエルの腹を殴り飛ばした。

「な~るほどね。魔法の無効化に身体能力の超強化といったところか?こりゃ、楽めそうだ」

シオンの笑みが穏やかなモノから、獰猛な笑みに変わっていた。

そして、シオンは刀を生み出し、ノエルに突っ込んでいった。

ノエルは剣を正面に構え、シオンを真っ向から返り討ちにする気でいるようだ。

でも、シオンとの戦いは、そんな簡単なものではない。

シオンの口角が更に上がった。

「俺流剣術、春水」

そして、ノエルの剣が紙一重で当たる位置まで近づく。

ノエルは予想以上に近くに来た標的を斬るべく、反射的に剣を少し前に動かそうとた。

そこに、シオンが背中に隠れるように、振りかぶっていた刀を振り下ろす。

シオン曰く、思っていた事と違う事をしようとしている時は、動きが鈍るとのこと。

その隙に攻撃をするのが、春水という技らしい。

シオンの攻撃で、ノエルは更に吹き飛んだ。

ちゃんと、峰で攻撃をしていたから、死んではいないはずだけどね。

「どうした?お前はこの程度か?」

シオンは、刀を肩に置いた。

シオンはかなり余裕のようだ。わざわざ、ノエルが体勢を整える時間を上げるぐらいなんだから

ノエルはゆっくりと立ち上がる。

そして、消えた。

「グゥ!」

シオンが吹き飛ばされた。

ボクはシオンが吹き飛ぶ姿を初めて見た。

「ああ、タノシイナァ」

シオンは笑顔だ。

しかし、殺気を撒き散らしているから、恐怖しか感じなかった。

シオンの右腕が銀に染まった。

シオンの銀色の腕から雷が迸っている。

シオンの持っていた刀も雷に砕かれた。

「サア、モット、タノシマセテクレヨ」

そして、シオンも消えた。

周りからは、衝撃音が響いている。

「すごい」

レイトから感嘆の声が漏れた。

ボクには見えない速度なのに、レイトには見えているようだ。

これも、主人公補正っていう奴なのかな?

ボクは衝撃に踊らされる髪を押さえながら、戦いの終わりを待ち続けた。



「ハァ、疲れた」

俺は座り込んだ。

隣には、ノエルが転がっている。

剣にヒビが入ってから、ノエルは動かなくなってしまった。

せっかく楽しめていたのに、実に残念だ。

俺はため息をついた。

楽しめなくなったのもそうだが、この後のことも面倒だからだ。

つまり、この剣の後始末のことだ。

この剣は、魔剣で間違いないだろう。

現に、今も黒いオーラみたいなものが噴出している。

俺は、久しぶりの闇属性の魔法で、この剣に宿る黒いナニカを取り込んだ。

黒いナニカを吸収した魔法はそのまま消滅した。

さてと、これで仕事は終わりかな?

俺は、ノエルを運ぶようにレイトに頼んで、この空間から出て行った。



「すまなかった。約束をほったらかして」

俺はアイリスに謝っていた。

当然だ。お互い直接声に出していないだけで、これはデートで、俺はそのデートを途中で抜け出したのだから。

「顔を上げてください」

顔を上げると、いつもより慈愛に満ちた笑顔があった。

「それより、ちゃんと助かりましたか?」

「当たり前だろ、俺だぜ?」

そして、俺達は笑いあった。

ついでに言うなら、デートを抜け出した罰として、剣の代金は俺が払った。

明日こそは必ずギルドに行くと心に誓ったのであった。

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