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子供叱るな、来た道だ

今日も、平和だな。

俺たちは、教室で授業を受けていた。

今の授業は、眠くなる事で有名な薬草学の授業だ。

「それではね、これからね、薬草のね、調合をね、したいとね、思いますね」

この教師は、句読点の代わりに、ね、を言わないといけないのか?

そんなくだらない事は置いといて、俺も薬草を集めに行こうかな。

既に、薬草を置かれたコーナーには、生徒が群がっていた。

あそこに行くのは、気が引けるが行くしかあるまい。

「あ!?」

そして、俺に紫色の液体がかけられた。



「ノエル、お前また薬品こぼしたのか?」

ぼくは、ノエルをにらむ。

ノエルは驚愕で目を見開いているが、ぼくの知った事ではない。

「薬品は危険な場合もあるから、こぼすなっていつも言ってるだろ」

よく見ると、ノエルだけではなく、他のクラスメイトも手を止めてこちらを見てい。

おい、そこの女子。薬品が器からこぼれていってるぞ。

「か・・・・」

か?

「「「「「かわいいーーーー!!!」」」」」

うお!?クラスの女子全員が一つになったぞ。

「え?シオンってこんなに可愛かったの?」

カレンの黄色い悲鳴が耳を貫く。

ぼくの鼓膜は大ダメージを受けてしまった。

ぼくが可愛い?

こんな、男子高校生であるぼくがかわ・・・

手、ちっか!!

足、みじか!!!

もしかして、ぼく縮んでいる!!!?

「おい、レイト!もしかして、ぼく縮んでるのか!?」

確認のためにも、レイトに尋ねてみた。

「うん、そうだね」

笑いをこらえているレイトを殴りたいが、手が届かない。

仕方ないから、すねを全力で蹴り抜いた。

能力に変化はないようだ。

レイトのすねが、乾いた音を奏でた事で、俺はその事実に気付けた。

レイトが後ろでかなり悶えているのは、置いといて。

気がつくと、俺は女子に囲まれていた。

女子達の目が猛獣も裸足で逃げ出すようなものに変っていた。

正直に言おう。すごく怖いです。



「まあ、メンドクセェから頑張れよ」

とりあえず、ぼく達は担任のギルマスに報告に来た。

ぼくは、今アイリスに抱きかかえられている。

既に、シオンを抱きかかえる順番なるものが女子の間で決められているようだ。

そんな事より

「ギルマスでも、どうにか出来ないのか!?」

アイリスが不満そうな顔をしているが気にしたら負けだ。

「知らん。メンドクセェから自力で何とかしろ。あと、俺の名前はモノクだ」

ギルマスはあくびをした。

まあ、確かに小さくなった事が分かってすぐに解析をしたが、3日で治る事が分かっている。

逆にいえば、3日間はこの姿でいなければならない事になる。

つまり、3日間は女子達のオモチャになるはめになる。

それは避けたかったから、ギルマスのもとまでわざわざ聞きに来たというのに、ギルマスでも分からないとは思ってもいなかった。

・・・まあ、知ってても教えてもらえそうにないがな。

ぼくが、もうイビキをかいているギルマスを睨んでいると、

「シオンくん、先生にそんな態度を取っちゃダメですよ~」

アイリスに止められた。

そして、アイリスはぼくのほっぺたをつまんで伸ばした。

「やへろっていっへんだろ。」

ぼくは、すごい幸せそうな顔を浮かべたアイリスの手を掴む。

無理やり外さないのは、ツンデレをしているからではない。

小さくなってから、力の加減が出来なくなっているからだ。

だから、変に力を込めると、さっきのレイトみたく骨が逝くことになる。

俺は、女性は出来る限り傷付けないと決めているから、力を込める事が出来ないでた。

「アイリスお・ね・え・ち・ゃ・ん、でしょ?」

アイリスは満面の笑みを浮かべていた。

うぜぇ。かなりうぜぇ。

切実にそう思ったが、今はアイリスのほうが主導権を握っていた。

「痛いから、離してアイリスお姉ちゃん☆」

だから、笑顔でアイリスに頼んでみた。

アイリスは、鼻血を吹き出して倒れた。

ハッハァ。お前がこの笑顔に弱い事は知っているんだよ。

そして、俺はアイリスを保健室に飛ばして、寮に帰った。

余談だが、アイリスはその日、目を覚まさなかったらしい。



「シオンくんが居なくなったって!?」

ボクはシオン達のクラスにいた。

モノクが、使い魔であるボクに対して特別処置をとってくれたから、ボクはこのクラスに在籍している事になっている。

だから、クラスには生徒ではないボクの席がある。

ボクはその席に座りながら、クラスの様子を眺めていた。

クラスメイトの中でも、おもに女子が大騒ぎしていた。

今日一日シオンの独占権を持っているアイリスが保健室で発見されたからだ。

つまり、今シオンを見つければその人がシオンを独占する事が出来る。

クラスメイトの話を聞く限りでは、シオンは既に学校にはいないらしい。

だから、ボクは主の元まで転移した。

ボクは、使い魔の契約があるから、シオンの居場所は分かっている。

シオンは今、一人寮で寝ていた。

「か、可愛い~」

ボクは、シオンのベッドの横でシオンの寝顔をじっと見つめる。

もちろん、彼を起こさないように極力音は立てないようにしているよ。

一度気配だけで目を覚ました事があったから、気配も出来る限り消す。

可愛い。ちっちゃくなったシオンはすごく可愛かった。

いつものシオンは、どこか諦めたような雰囲気を纏っている。

おそらく、あの似非勇者の近くに長い間いたからだと思う。

でも、ちっちゃくなったシオンにはそんな雰囲気はかけらもなかった。

むしろ、レイトのように不思議な雰囲気を纏っていた。

シオン風に言うなら、主人公特有の雰囲気だったかな?

それを、小さいシオンも纏っていた。

そんな事を考えながら、シオンを見つめていると、

「何してるの?」

寝ているはずの彼に声をかけられた。



ぼくが、目を覚まして最初に気付いたのは、カレンの気配だった。

さては、ぼくの寝顔を見ていたな。

「何してるの?」

だから、直接カレンに聞いてみた。

案の定、カレンは動揺している。

分かっているとは思うが、ぼくは気付いているからな。

あ、

そう言えば、これは魔法で直す事は出来ないのかな?

「えっと~、シオンが可愛いのが悪いんだからね!」

俺が、新しく魔法の構築をしていると、挙動不審だったカレンが何かを言ってい。

しかし、集中したぼくにはよく聞き取れなかった。

よし、出来た!

ぼくの体を光が包み込んだ。

ちょっと、この世界に来た切っ掛けを思い出してしまった。

そして、俺は目を開けた。

目の前で呆然となってしまったカレンに対して、

「どうした?」

あえて、気付かないフリをした。

状況を理解したカレンの絶叫が寮に響き渡った。



「すみませんでした」

俺は絶賛土下座中だった。

そんな俺の頭を、仁王立ちしたカレンが踏む。

一部の人には、喜ばしい事かも知れないし、本来なら俺にとってもご褒美だった。

しかし、相手は魔王様だ。

簡単に言うなら、ご褒美で済むようなレベルではない。

現に、俺の頭蓋骨はさっきから悲鳴を上げていた。

カレンがここまで怒っている理由を簡単に説明しよう。

子供サイズの服を着ていた俺が、一気に元に戻った。

ここまで言えば分かるだろう?

強いて言うなら、服に対して悪い事をしたと謝りたい。

しかし、このままでは俺が殺されてしまう。

仕方ない。出来れば秘密にしていたかったが、背に腹は変えられないな。

再び、俺の体を光が包み、

「ゆるして、カレンおねーちゃん☆」

ぼくは、笑顔でカレンに謝った。

カレンは、自身の放った鼻血で宙を舞った。

つまり、ぼくはいつでも小さくなれるし、大きくなれる。

まさに、チートだから為せる技だ。

そして、俺は気を失ってしまったカレンの介抱に、一日を費やすのだった。

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