レイランの船を助けろ
「街まで30!!」
「山に激突したよ」
輸送船は山頂に引っ掛かり、そのまま斜面を滑り落ち、船体がバラバラになった。
もう街まで僅かな所だった。城壁跡が見え、放射状に伸びる城塞都市には被害が無さそうに見える。
「クレバーさんの船は後方に離脱成功したよ、あとはレイさんの船だね」
「レイの船は・・ありゃ袋叩きだな」
嵐の中心にいるレイはいい的のようにされて、所々から煙が噴き出している。
「領主の船が多数が被弾したみたい」
「誰か助けに?」
「いや、レイを狙った弾が味方に当たったんじゃ。
あんなに包囲すれば当たるよ」
領主達の包囲が広がり砲撃が少し落ち着く。
アンカーぶら下げて振り回すか・・それしか武器に出来るものは無い。
「レイの船から発光信号」
=強欲な領主様方へ。弾の無駄遣いはやめよう。下手くそ。ワハハはは=
「余裕があるみたいだ。相手を煽り散らかしている」
輸送船を全て落としたが領主達は引くつもりが無いのか、引き時を探っているのか。援軍を待っているのか。わからない。
「ほぉ・・余裕があって安心したぞ」
「それって、煽って自滅するんじゃない?」
=助けて=
「ん?あやつは、なんと言っておる?」
「助けてと」
「余裕の話は消えたな。どうやって、助けるんじゃ?」
進路をレイの船に向けるが、自力で脱出できないって事だよな。
助けてっと打ってくるくらいだから脱出船は無いのだろう。
「え!どこいくの?」
「レイを助けにいくんじゃ!少し黙っとれ!」
「あの中に飛び込むっていうの?」
「さっきとそんなに変わらんぞ!」
「さっきより密でしょ!!」
見晴台も危ないか・・
「見晴台は危ないから降りてきてほしい」
「分かったわ」
「サリーだけそこでいいぞ」
「なんで?」
「うるさいから」
「あんたがうるさくさせてんの」
「行きましょ」
「もう一発殴っとくか」
「起きなようにして」
ヴァクーが寝てしまう前にやることをやらないと。
鳴煙幕はあと1本か・・
「通常煙幕何本残ってる?」
「5本あるぞ!」
「2本連続で使おう」
「分かった」
見晴台から降りてナルとサーリャはセインの寝ている左側へ、ゼネルはヴァクーの側の右側を監視してもらうことになった。
「前!!」
前方の船の頭をこっちに向けて振って進路を塞ぐ気だ・・が、その前に通過する。
相手も衝突することを覚悟していることか。退路がない、相手も時間稼ぎ?
レイの船から発光信号が乱発され、
=助けて!=
=落ちる!=
=集団で動けない無能か=
発光信号を打つ余裕があるのだから、時間稼ぎをしているのだろう。
「あれは、なんて言っているの?」
「敵を挑発している」
「助けに行くのに敵を煽っているの?」
「寂しがりやなんだ」
「正面ピンクガーランド!」
「すれ違いで煙幕!」
「もう出した!」
「煙幕もう一本お願い!」
「おう!」
あいつ、すれ違い時に手を動かしていたな。速くてわかんなかったぞ。
「左後方にガーが煙幕を出しながら右回りで旋回にはいったよ」
なるほどね、ナルありがとう。
ガーはレイの船と敵の船との間に煙幕でリング状の壁を作ろうとしている。
合流は丁度風上側になりそうだ。
右回りで行く気だな、このまま左回りで集団の内側を飛ぶ。
その方が弾に当たる確率は減るだろう。
舵を握る手がすごく汗ばむ。
「すごい、竜のように船との間をすり抜けていく。竜に乗っている」
「竜?」
「わっしゃ気持ち悪い」
火薬の匂いが立ち込め空気が澱んで視界が悪くなっている。
周囲の船の動きが慌ただしくなる。
ガーランドとすれ違った!進路を風上へ、集団の中を突っ切る。
相手が古船であっても衝突は墜落につながる。何隻集まってんだ。
よく見ると、積極的に砲撃していたのは前列だけで、後方にいる船には大砲が無い船やギルド商船の旧式船もいる。どっから入手したんだ?
集団から抜け正面が開ける。
高度を上げ船を傾けて、
「そっちから後ろ見える?」
「上から見ると、お菓子みたい」
「サリー、子供みたいじゃな。何歳よ」
「教えるわけないでしょ」
レイの船は上昇している。やっぱり動けるんだ。
「帰りましょ」
・・・帰るってどこに帰る?
発光信号だ・・
=遅い=
煙幕が晴れるまで耐える船、急いで脱出しようとする船。
煙幕の下から数隻が地上へ落下して炎上している。
「残り何隻くらいになった?」
「全然減ってない」
「攻撃する手段がないからね」
「どうする?全部相手できんだろ」
アルインの船が船体を振っている。
「前方雲の上に・・」
最初見た時、通って来たところに大きい山があったかと思うくらい衝撃を受けた。
「あれは、やばい」
雲の塊の中から巨大な船が浮かび上がる。
移動要塞だ・・・・国境軍の本体?
「島?あの大きさは何なの?」




