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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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96/102

輸送船退治作戦

クレバーの船が遅れている。待っていては時間の無駄なのでとっとと済ませておくことにした。

二隻目の輸送機に接近、ブリッジに誰もいないことを確認する。周囲に船影は言えず、罠の可能性も考える。

「じっくり見ると、あれもかなりボロじゃの、全く手入れされておらん」

「なんでわかるの?」

「側面に海にいる生物が付着しているからのぅ」

「よく気がつくね」

「そりゃ、船ばかり見てきたからの」



「ブリッジには誰もいない、どうするんじゃ?」

「いないね」


もし、避難民が実際にいた場合も考慮しないといけないよな。

「面倒だけど、貨物室の屋根を剥がして確認してからにしよう」

船を上昇させる。

「面倒じゃ、魚を捌くのは・・苦手」



貨物室の屋根を狙える位置につける。

「打つぞ」

バン!


「あ〜さっきのはマグレだったのかぁ」

貨物室の天井に弾かれ、天井奥に転がった。

「まぁ・・魚と同じ、引きで当てるのが上手いんよ」

手元のレバーを少しずつ引き爪が引っ掛かるところを探している。

「手応えあり!どうじゃ」

ちょうど屋根の合わせ目の場所に刺さる。


「偶然ね」


「ところで国境軍もう来ないよね」

サーリャが周囲を眺めて呟く。

ロイックの情報の船数が違ったのは気になるところだ。さっさと済ませたい。


「警戒は怠らないことだ」



「引くぞぃ!」


「あっ屋根がめくれた!!」

アンカーを引き抜くと輸送機の屋根がめくれ全て吹き飛んでしまった。

「あるのは、大量の箱だ。竜石のようだな」

箱が散乱して、壊れた箱からは竜石が散らばっている。


「はぁ、最近、アンカー撃ちばかりやってるなぁ」


ヴァクーがブリッジに狙いをつけ発射。

操舵席のあるブリッジ前をかすめて、落ちていく。

「アンカーブレーキ!!」

「もうかけている!!」

アンカーの重さで船が下がり、船内に油の焦げる匂いが充満する。

「すまねえ!アンカーが抜けるところだったわい」


「今度は、右アンカーでやるからアレの左前に着けて」

「もうちょい前!」


「酒入ってない方が精度上がるんじゃ」

サーリャが冗談ぽくいうと、

「大物を狙うと逆に食われるわい」

と笑う。よく分からない例えはやめてほしい。


ブレーキの温度が下がってきたので巻き上げている。

アンカーが抜けてしまうと回収と装填が面倒で肉体重労働によって数日の間、体が悲鳴を上げるのでやりたくはない作業だ。


反対側の席に座り方向を合わせている。

「今度は、逃がさないよ!」

バン!!

「外れた・・」

ブリッジには突き刺さったが、操舵席は無事。まだ自動で飛んでいるようだ。

「ナルちゃん、あれでいいのじゃ」

「アンカーを引きつつ・・」


「ジジイ!時間がない!早く終わらせろ」

ゼネルの怒鳴り声だ。

「そう、怒んなさんな。シワ増えるぞぃ」


「パッチ!後は頼む」

俺に振るか・・

輸送船ブリッジの方を前に出して高度を下げる。

船体から出っ張ったブリッジは根元からちぎれ落ちていった。

「よし!計算通りじゃぞ!ゼネル?見たか?」

輸送機は徐々に頭が上がり風の抵抗を受け急上昇していく。

耐え切れなくなったお尻の部分が裂け、

中から箱が勢いよく落下して森へ消え、

すぐに船も失速し、きりもみ状態になり山へ落下していった。



「さて、三匹目はどこじゃ」

見えているだろ?気を引くために大声を出している。


ようやく、クレバーの船も追いつき、輸送船に竜石が大量にあり、傭兵二人を捕まえたこと、セイン、シオンが負傷していることを伝えた上、最後の輸送船も落とすことが決定した。

クレバー船を見ると被弾した跡が多く、弾は打ち尽くしたと言っている。


ガーランドとアルインの船は多少残っているがクレバーの船と規格が違うため使うことができない。


「あ〜問題発生だ」

ゼネルの声だ。

「前の雲下を見てみろ!!」

「船だ・・」

「え?アレ全部?」

輸送船の進路に少なくとも200以上は・・

警備船?どこの船だろう。

「通してくれそうか?」

輸送船が通過すると上昇して壁のように取り囲み周囲を固め始めた。

「通さないようだな」


「美味しそうな、小魚が集まってきたのぅ。何匹いるんだ?」

「どこの船!?」


「国境軍?」

「軍ではないようだ、船の形が色々」

「150隻までは数えた」

「武装ついているぞ」


「奴ら発砲しやがった!!届くのか?」


ガーランドとアルインはすぐにレイランの船から飛び立った。

手際がいい。

誘き出されて、首都を占領されたか?

砲塔の射程にはまだ入ってない筈だが、揺動作戦か?


=領主達の船だ=

クレバーの船から発光。

「え?」

「領主達の船だと言ってる」

逃げたんじゃなかったのかよ。


「驚くなよ。この国には、251の地方領主がいると聞いたことがある。すべての領主が船を持っているかは分からないが」

どっからそういう情報を手にいれる。

「行くしかない」

操舵を握り直す。

「あんたバカでしょ!!逃げるでしょ!!」

あいつらが、輸送船を守ろうとしているのであれば・・まだあるということだ。

ここで、逃げれば、もしも、爆発という事態になったら、生きてても後悔しか残らない。

だが、みんなを巻き込んで、その結果・・・


「この状況で逃げという選択は無い」

ゼネルの声だ。

「そんなにいるのか!!面白い!やってやる」

ヴァクーは酒を注ぐふりをしている。

「年長者は止めるだろ!!」


「で・・策はあるの?

集団でいる奴らとやり合うのはバカでしょ」

「流石、サリーよくわかってるねぇ」

いろんな船が混じり、速度も武装もバラバラで密集。


「サリーって呼ばないで!

それに、

ゼネルのパンツ見れなかったくらいでいじけるなよ」

ヴァクーの手を弾く。

射程圏内に入ったようだ。先行したレイの船が被弾している。


あいつも、引き下がらないようだな。

「的がデカすぎじゃ」


「気にするな。「安心」帝国製の船だ。100発当たっても大丈夫!」

元皇帝が強く言うなら大丈夫だろう。


「わかったわよ!付き合ってあげるわ」

「諦めたか・・」

「みんな無事に帰してね!みんなだよ」

・・・

「そこは、ハイって言いなさいよ」


「敵に挨拶するか」


「いろんな船がいるもんじゃなぁ

何を目的としておるのかのお、ゼネはどう思う?」

「それが分からんから、手の打ちようもない。今は口を動かさずに輸送船を落とすことに集中しろ」

「こんなに大勢の領主がいるんじゃ、誰かに聞けば良いか」


「生きて帰ることだよね」

混雑した空は初めてだ。各船の方向や速度はバラバラでウインザードの人混みをぬって走るようなものだ。

「レイランの船は避けるどころか体当たりしているぞ、アレでは船がもたない」


時々、射線に捕まり船体がバチバチ音を立てている。

「輸送船のブリッジを拝めそうじゃ」


周囲を固められて守られている輸送船を追い越して、正面の集団へ向かう。


「やはり、ブリッジには誰もいないわ」

「さっさとアンカー打ち込んで帰りましょ」

サーリャの言う通りだ。時間をかければ圧倒的に不利になる。

「右後方から魔光弾四つ」

早速来たか。魔光弾って追跡してくる弾だったよな。

「輸送船の周りにいた船が撃ったと思う」

「どの船か特定できる?」

「多くて厳しい!」

「私、上に行く」

「私も!」

ナルが声をあげサーリャが続いて見晴台へ登った。

「狭い・・後ろは陛下、左側は姫、右は私が見るわ」

「すごい、周り船だらけ」

「近くを見るなよ、酔うからな」

「私は〜どこを見るの?」

ん?ヴァクーの声だ。

「お前は、セインの介抱でもしてろ」


ドタドタ・・パコン!



「いてぇ・・わしの方が・・介抱必要になったかも」


世話の焼けるジジイだ。後ろの状況は彼女らに任せて見える範囲に集中するぞ。


「魔光弾の一つ、敵を巻き込んだわよ」

「これだけ、敵が密集していれば、同志撃ちになる」

「魔光弾を積んでいる船は少ないはず」

一旦、輸送船から距離をとって撃つ船を見つけるか。

左に20〜30隻の密集した集団がいる。

「左の船団の間を通る」



「え?あんなにいる所を?」

「右側見ててよ」

「ごめん、戦場初めてで・・」

「サーリャは正直でいいなぁ。

私、怖くて、震えるだけだし」

「震えるのは正しいんだ。震えなくなったら野獣と同じだ」

「次々、船が流れていく」

「魔光弾!全部、周囲の船に当たったよ」


「おっ・・ナル、少しは声が出るようになってきたな。よかったわい。

飛び込んできた時は顔が真っ青で心配したんじゃ」

ヴァクーが小言を漏らすのはめずら・・だから、ゼネルのパンツネタを言ったのか・・

船の尻が押されるような衝撃がきた。


「あ〜魔光弾の威力すごっ・・吹き飛ばされた船の破片が周りの船を破壊した」

「すごい威力!!

魔光弾の仕組みってどうなってんの?」

「よくわからない、魔獣の習性を使っているとかいないとか・・」

「船の数が、多すぎ、輸送船を守る壁のよう」


「右側奥!雲の隙間に街が見えるよ?あれってヴィデ?」

遠くてよく見えない・・

「そのようだ、あと70ってところか」

「街に入る前に早く止めないと」

予想外に輸送船の速度が早い。追い風か。風が強い時の雲が連なっている。



バン!!

船内で激しい音と共に船が揺れる。

「うぉ!!」

「なになに?」


「あ〜あ〜聞こえるかい?」

通話機から聞いたことのない男の声がする。

「誰?」

「バリー様だけど、貨物室燃えてるぜ」

なんで?積荷は全て下ろして無かったと・・。

「固定してある酒樽の一つが吹き飛んだようだぞ」

「水は出せるのか?」

「貨物室入り口ハッチ手前の天井に青色のバルブがある。四つあるからどれか回してみてくれ」

「だとよ!クンガー」

「おっし!消しておくから、心配すんな」

「頼む」

セイン、シオンの声がしない。動けないくらいの傷?



「ヴァクー?酒は置いてきたはず」

「すまん、新しい酒を作っておった。ありゃ失敗じゃったか」

爆発する酒樽!武器になるか・・・


「魔光弾二つ!!こっちにくる」

「貨物船の上にいる黒色の警備船から!!」


「あっ、雲に隠れた」

「用心深い奴だ」

「あっ、また撃った!こっちじゃないみたい。レイランの船、狙った」


「連発しているのは、一隻だけのようだ」


ガコン!


「何かに当たったぞ!」

「岩山だ、雲に隠れている」

思った以上に標高が高い場所だ。

危ない見落とした。黒色の警備船を見ていたら雲の間に岩山がせり出ていた。


同時に一階から、慌ただしい声が、

「おい!!管から蒸気噴射!!」

「え?これでいいんか?閉めるぞ!」

「硬い・・・」

「バリー!!ふざけてんのか?回せよ!!」

「おい!姉ちゃん休んでなって」

「そっち持て!」

「一緒に回すぞ!!」

「3、2、1」

「よし!」


配管が破損したようで、

セインはバリー、クンガーに直し方を伝えているようだ。

シオンの声も聞こえ無事を確認できて嬉しい。


「ヴァクー!!二番の圧力が落ちた!!そっちの方が早い」

「待っとれ!!迂回させる」


「わー光る弾が近づいてくる!!速度!!」

「一番を少しあげた」

「よし!繋げたぞ」

左右動力パイプの調整をして、

加速!

山の斜面を駆け上がる。

「魔光弾が山に・・ヒェ〜危なかったわね」


「レイの船に魔光弾二つ命中」

「あー火が出た」


「反対側のクレバー船にも魔光弾を撃ったわ」

「あの様子じゃ、輸送船に乗り込めないわね」

「さらにレイに二発、被弾!!周囲の船も攻撃しているわ」

レイの船に攻撃が集中している。

動きが鈍い。なぜ、回避しない?

方向舵が壊れたか?

魔光弾を撃ってくる船との間にレイの船が入る形だ。

「あ〜大きい爆発、」

「レイさん上昇し始めた、上昇してかわすつもり?」

レイの船の煙であいつが見えない。

「そうか・・・」

「レイさんの船に多数着弾したみたい。煙が・・」


「助けに・・・」

「レイは自分の役割を・・、多分」


「街まで50!」


「みんな、船が揺れる。掴まれるところにつかまってくれ!」

「「「わかった!」」」

「「「おう!」」」

「レイは壁を作ってくれている。

その壁を使って、黒警備船を上から仕留める」


「このまま、最大速度で奴の真上に出る」


バランサーを収納して、


「クレバーの船の近くで爆発!領主の船に直撃したわ」

「ああっ爆発に巻き込まれた」

「煙を吐いてる・・」

ブリッジからは見れない位置。無事であってほしい。

「アルインがクレバーを隠すように煙幕をたいたわ」

豪快に煙を噴き出しているレイの船を正面に捉える。

「黒船をガーランドが煙幕を出して撹乱しているわ」

今が、チャンスだ。


「加速」

黒船の方へ加速上昇していき上層の雲を突き抜ける。

「ウエェぇ、気持ちわるぃ」

青空が目の前に広がる。

「ダメだ、回転が弱いロール出来ない」

舵を押し込む。

「少しの間、体が浮くけど掴まっていて!」

「坊主!!掴まってろって」

「お前ら二人はここを掴んでろ」

「浮いた!」

「体が浮いている!?」

「しっかり掴まっていてくれ!!すぐに体が重くなる」


青空だけが窓に広がって見えていたが、引き摺り込む力に負け重苦しい地上へ船首が向く。白い雲の間から陸地が見え、ガーランドの残した煙幕の先端にいる黒をとらえた。その下には輸送船。

「ヴァクー獲物だ!小魚を打ち抜け!」

「ちょっとマティ!的が小さい!船が揺れすぎじゃ!」


「突くのは俺のほうが上手い」

「「セイン!!」」

ブリッジに入ってきたセインはヴァクーと変わる。

「美味しい所は残しといた。よーく狙えよ」

「うるさい」

「奴が気づいた!射線に入る」

発射!

バン!



「どこを狙ってる!!」

「舵引け!」

なるほど!舵を全力で引き寄せる。

鎖がしなる振動がする。

「セイン!上手い!!」

アンカーが当たる音が激しく響き、さらに爆発音が続いた。



「ああ、よくやった!セイン」

初めてゼネルの褒める声を聞いた気がする。



ガーランドの鞭のようにアンカーを使い警備船を叩きつけ、制御を失った警備船は直下にいた輸送船の貨物室に激突して爆発。

凄まじい爆発を繰り返しながら火を吹いている。


「よく思いついたな」

「船長の真似」


照れているのか、顔を隠しながらいつものハンモックに横になる。

「あとは。よろしく」


「後で、ゼネルにパンツ見せてもらえ」

「もう見た」

「なんじゃと!!!

で、何色?」


「自分で聞け」


また、その話題か・・

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