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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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95/102

ヴァクーとレイラン、見せてと覗き

ゼネルが傭兵から聞いた話だと、自動で操縦されるという輸送船は、


通過座標

目的座標

高度

速度


を設定することで世界中をなんと乗員無しで飛べる古い船だという。

空中海賊が幅を利かせるようになると襲撃対象にされた自動船は消え、

辞書と例えられる馬鹿でかい船体を見かけるのは東バルフェリア周辺の国だけとなる。

東バルフェリア首都の黒湖に浮かん朽ち果てるのかと思っていたら、ここで見るとは思わなかった。


ナルの話では貨物室の大きさはウインザードの空中戦艦より遥かに大きく、詰められていた竜石の数は比較にならないほど多かった。


乗り移って来た傭兵は座標と再設定方法のみ教えられ、目的地は知らされてはいなかった。

一隻でも輸送船を街に侵入することを許すとになったら、何が引き金になって爆発してしまうのではと懸念することになったので、全て落とすことにした。


派手だなぁ、何度見ても派手な小型船が並走している。攻撃能力を持つ船を操縦するガーランドとアルインだ。

首都の空を我が物顔で飛んでいる二人には強襲艇も歯が立たなく、墜落したか撃墜し、周囲に敵対勢力は見えなくなった。

ガーランドが近づいてきたので指信号で全部落とすことにした事を伝える。

アルインとレイ、クレバーに伝えると返しがあった。


軍部隊から逃走した事は何度もあるが、交戦したのは初めての経験だったが、

組織的戦術も何もないように感じた。こっちもそうだが。


「輸送船、湖に落ちたぞ」

見晴台のゼネルからの報告が入る。


「よかった」

ナルがボソッと呟く。

表情はこわばったままで更に前を飛ぶ先頭の輸送船を見ている。


「ぜ・・ゼネルさん?」

わざと声を低くしているのか、緊張してそうなっているのか、ヴァクーは小声で通話機に向かう。ヴァクーの声なら通話機いらないだろ。


「なんだ?」


「今日のパンツ何色?」


「いきなり何聞いてんの?」

サーリャが怒っている。

さっき見えなかったから今、見たいのじゃって言うのか・・・


「ちと、気になってなぁ」

そりゃ、サーリャの言い方、破壊力って言われると、誰でも気になるよね。

けど、聞かないよな。歳取ったら、そうなるのかな。


「見たいか?」

まじで?


「もちろんじゃ!!」


「なら、上に来い」

ナル、サーリャの目が点になる。


「行ってくるぜ」

すごく嬉しそうに指をVにして出て行った。


ボコッ!!


やっぱり、顔に手を当てながら、すぐ降りてきた。

顔にあざが出来ている。

「見せてくれると思ったら・・気合を入れられたわい。

いてぇ。耳鳴りが止まらん」

「ほんとだ、鼻が少し曲がってる」

鼻を治そうとしたナルの手を叩き、

「ほっといてくれ、これは昔からだ!!」

鼻を摘んで口を膨らませ、窓の外を見下ろしながら、

「あの湖、美味しい魚釣れそうだ」

「魚だぞ!魚!」

ヴァクーが一人で騒いでいる。

酒が切れたか叩かれて頭がイカれた?


「パンツを見せれば喜ぶの?」

ナルさん、なんてことを聞いているんだ。

「ダメよ見せては」

「パンツ履いてない」

「あ〜獣族の人は履かない部族もあるんだったね」

なんということ、初めて知った。


隣にレイランの船が追いついてきた。

ガーランドとアルインの船を甲板に下ろして補給でもしているのだろうか。

レイランの船には何人か乗っているようで、甲板を忙しく行ったり来たり移動している。

側面に弾痕傷が多い。今回の戦闘で受けた物なのかは不明だ。

単眼鏡でブリッジを覗いてみると、操舵席に足を乗せ、同じように単眼鏡でこっちを覗いているが、上下に何度も行ったり来たりしている。

見晴台のゼネルとナルを交互に覗き見ているんだな。


「お互い同じことをして面白い」

ナルが少し笑う。

単眼鏡を通してレイと目があい、指信号で、

=邪魔、ナルちゃんをみせて=


=他にすることないのか?=


=美人チェック中っす!前に立つな!=



「さっきからやっている、それは何?」

ナルが指を動かしているのを見て気になったようだ。

「指信号っていう技で発光機がない時や通信機のない船でも、片手だけでやり取り出来る方法だよ」

入港する時や地上とのやりとりでよく使う簡単な信号で標準から各国に独自のものもあって使用する人も多い。


「こうやって、こうして、こう。

これをやって見せてあげて」


(覗きはキモい)


「こう?」

「わっ!笑ってる」

「見えるんだ、この距離で」

「うん」

すごい視力、だいぶ離れているのに見えるんだ。


あのアホ・・ナルが知らないと思って、


=なっちゃん。可愛い!結婚して!=


って繰り返してる。

「あれ、なんて言ってるの?」


「知らない方がいい」

サーリャがナルの前に立つ。

輸送ギルド員なので指信号くらい、知っているか。

ナルを後ろに下げて指を動かす。


=黙れ、こっち見るな!=

それ、指信号じゃないでしょ・・・。



「よくいたよ、

ああやってまだギルドに入ったばかりの女の子に絡む奴がね〜。や〜ね」



「あーゆーごろつきがいる場所には近づいたらダメよ」

「なんでこっち見るんじゃ?もしかして、わしの事か」

「似たようなものでしょ」


「パッチ!」

「何?」

「高度が上がってる。殴るぞ!」

輸送船が下に見える。レイとのやり取りで疎かになってしまった。

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