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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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94/102

自動で操縦

船を輸送船に密着させるように打ち込んだアンカーを固定するが風によって船が揺さぶられ、船体同士が擦れる音がひどい。

出来るだけ位置を固定しようとするが下が見えない分、操舵が難しい。

「機関は大丈夫だが動力パイプの劣化が早い」

ヴァクーがブリッジに戻ると小声で呟く。

「右側は絞った方がいい」

周囲を警戒しながら天窓を見上げる。

「もう少しの辛抱じゃ、守ってくれぃ」


クレバーの船が挟み込まれ追われている。

それを追うようにガーランドの派手な船が追走する。

火線が走る。遅れ出した敵船に命中して煙が吹き出した。

逃したもう一隻はアルイン爺さんが軽々と仕留める。


残敵は多くは無いだろう。

「これが終われば、島に戻って修理だ」

「あかい実を食べれるのか!?」

ヴァクーの顔が少し明るくなった気がした。


「あなた達大丈夫?」

どうやら戻ってきたようだ。サーリャがセインを引っ張りあげる声がする。

セインは何やらぶつぶつ呟いていて、シオンの声とナルの声もする。

ハッチを閉める音が通話機より聞こえ、ゼネルの声がする。誰と話している?

とにかく全員無事で安心した。


涙目になったナルがブリッジに飛び込んできて抱きついてきた。

ミウスの白いローブには汚れ、血の跡が見えた。

「・・・怖かった」

体の奥から震える感じがした。

「パッチ・・・傷だらけだね」

ん?そういえば、そうだった。

「ナルもだな」

サーリャがきて、ナルを抱きしめる。

「こんなに血だらけになって・・」

「どうせあなたなんでしょ?乗り込もうと言ったのは!!」

聞きにくいことをズバッと言うサーリャさん。

「確かめないとダメだったんだ」

サーリャとナルを見ていると、まるで親子だ。

「あったんだ。石が」


姫の暴走もあったが、ゼネルだ!あれが一番、暴走している。


「部屋に戻る?」

「みんながいるここがいい」

ナルはサーリャに抱えられ部屋の角に座り込む。


「姫の暴走は無駄ではなかったぞ」

「どうやら、各輸送船には大量の竜石が積まれている」

「意味することはわかるな」

「行き先はヴィデ・・」

部屋に入ってきたゼネルは早口だった。

「大量ってまさかアレか!!」

ぜネル以外は浮遊エルセンドラ、その場所にいた。

エルセンドラに起きた事は二度とごめんだ。


「あ〜・・・どこにいようが巻き込まれるって・・3度目は無いよなぁ」

ヴァクーは息を吐き兜を被り直す。

「捨てに行くかのぉ」

「ん?どうした捨てに行くんじゃ無いのか」


「アンカーでブリッジを潰せば簡単に落ちるのでは?」

「さすがパッチ!いい案じゃ!採用!!」


「そんなことをしなくても、下の船はすぐに落ちる」

扇子を下に指す。


「なんで?」

「自動操縦の設定を変えた」

「自動で操縦するじゃと?」


「ああ」

「便利だの。魔法ってやつじゃな?」

「見たことのないものを魔法とするな」

「何だ・・魔法じゃないんだ」

「魔法の定義がわからん」

「ゼネルは何でも知っておると思ってたがのぉ」

「私じゃない」

「傭兵にやらせた」

「傭兵?」


「二人拾った。あとで軽く尋問するつもりだ」


「ゼネルさん!その設定とやらは動いている?」

「当たり前だ」

やべえ、すでに船首が下がり湖に向けて降下している。


「それを、先に言ってくれ!!」



「ヴァクー!!!アンカー格納」

「パッチ!アンカーが動かねぇぞ」

船体に引っかかっているのだろう。

「もう一回、レバー下げて、上げて」

「動いた」


「どこへ?」

「見晴台」

扇子を叩きながらブリッジを出て行った。


ナルの行動は最悪の事態を防ぐ唯一の手段だったのだろうか。

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