村の決断
船団は山影に入り平野が見える位置に船を空中に停止させる。
左横にクレバーの船、右横にナルの船が接舷した。
後ろに、レイランの船と上部甲板にガーランドとアルインの船が乗っている。
真っ暗な船内、みんな息をひそめて空を見ている。
吐く息が白くなる。
動力の排熱も船体外壁装甲内を伝って冷やされ白い湯気が上がっている。
霧が少しずつ出てきた。白い霧は星の光を反射する。
夜の冷たい空気が地上の熱を奪ってどんどん濃くなっていく。
霧は山から地上へ流れ込み続けて雲の海となってしまった。
「綺麗ね」
「そうだね。この様子だと日中は天気が良さそうだ」
「ねえ28隻を相手にできるの?」
「出来ない」
「そうよね」
「やれることはやる。大丈夫じゃないけど大丈夫だ」
「怖いのだったら、地上で待ってても」
「いやよ、魔獣の方が怖い」
「サーリャには優しいな」
ゼネルはチラッとこっちを見て外を見渡している。
「みんな不安なんだ、
鬼のゼネルさんとは違うんですよ」
「言うねぇ」
ヴァクーを見ると寝てる。
「ゼネルもサーリャも今のうちに軽く寝たらどう?」
「私、眼閉じながら話してるの・・」
ゼネルは顔をガラスにくっつけて寝ている。
ハァ・・・
何度か、操舵に頭をぶつけそうになる。
山の稜線の向こうが明るくなってきた。
もうこんな時刻か。
まさか、見逃したってことはないよな。
心配になって警備船がいることを確認してホッとなる。
稜線から光が輝き山々は鮮やかに照らされ綺麗だ。
「鳥さんおいで・・」
見晴台にいるサーリャの声が機械を通して聞こえた。寝言か?
隣に接舷している警備船からロイックがやってきた。
「少しは寝れたか?」
ゼネルはテーブルに伏せって寝ており、ヴァクーは床で横になっている。
「見ての通り、お休み中だ」
「悪いな、邪魔してしまって・・・
なぁ・・
このロクでなし国家に戻ってこないと豪語していたのに、
戻ってきて教王を・・・
全く、笑えん」
「前は、隠れるだけで済んだが、今回は戦わないと後がないんだ。
そこのお嬢さんの筋書きだろうが、俺たちは協力することに決めたんだ。
何も言うな。村の総意だ」
ロイック・・・
「まあ、あれだ。伝えることは伝えた。あとは姫さんの船を頼む」
ロイックは船に戻って行った。
ナルの船の方を見るとシオンが窓辺に立っていた。
しばらくしてナルが姿を見せる。
手を振っているので振りかえす。ナルの手が止まり笑っている。
上にいるサーリャに手を振っているのか?
ゼネルと目が合う。
「楽しそうね」
口を膨らませて、頭を机につけて寝るが耳がピクピクしているので寝たふりだろう。




