見た目は軍艦、本当は帝国のヨット
帝国の技術はどの国よりも優れている。
水上、空中を航行できる船はどの船乗りに聞いても、いつか手に入れたいと言う。
船乗りの対象ではないが、軍用船を乗り回している奴はレイランしかいないだろう。
「レイランだっけ・・」
ん?
「警戒すべきかもな・・」
なんで?
「あれは、特別注文された帝国貴族のヨットだ。
帝国の巡洋艦に似せて偽装されているが軍艦ではない」
ヨット!?貴族?
「遊びや狩猟で腕自慢をする為の乗り物で内装、武装に贅を尽くすことで家の権威を示すもの」
そういう文化?があるんだ。
「武装跡や五階建ての船体を見ると上級貴族のもの」
五階建てには見えないが・・
「古くなれば、解体され、部品の多くは再利用される・・
わざわざ軍艦に偽装した船を手に入れる、掴まされる」
何か思うことがあるのか?ぜネルは船を見上げて大きくため息をついた。
俺の船の前にはサーリャとヴァクーが待っていた。
「お二人さん、おかえり。ひどい顔ね」
「私が色々とパッチを巻き込んでやらかした。巻き込んで申し訳ない」
荷台で呟くぜネルの手をとり、
「そうね、でも、今できることをしよう」
降りるぜネルを手伝う。
「ヴァクー・・久しぶりだ」
「パッチ・・傷だらけだな・・」
ヴァクーの肩を借りながら階段を登る。肩が低い、腰が痛くなってきた。
ブリッジに入ると、数日離れただけなのに、違う家のように感じる。
操舵席に腰を落とす。
「私、見晴台に登るね」
「頼む」
サーリャが嬉しそうにブリッジから出ていった。
ぜネルはセインのいたハンモックの下にある座席を出して座り、外を眺める。
ガラスに映る顔は悲しそうに見えた。
「すぐに出れるぞ」
ヴァクーはいつもの場所に立って計器を見ている。
次々、船が空へ上がっていく。
ゆっくりと上昇させる。
ヴァクーが整備してくれたんだろう。動力の繋がりが良い。
ん?
んん?
正面の船が、上昇しながら・・旋回・・
「浮上停止後退する!
みんなつかまれ!!」
レイランの船首が目の前を掠める。
「な・何じゃ?」
「あいつ・・・わざとやりやがったな」
ヴァクーは驚いて尻餅をついて唸った。
船を上昇させ街の光を見ながら船団についていく。
ぜネルは椅子に座って外を眺めていると思ったら寝てる・・・
ヴァクーは反対側の空、サーリャは見晴台で後方を見ている。
「あ〜街の中に黒い円が見える」
多分、神殿のあった場所だ。
空に上がれば、あんなに広かった街も小さく見える。空はいい。
次第に街の光は遠ざかり、船団は星空に吸い込まれていく。
ガーランドとアルインの船は空に溶け込んで見えない。
動力パイプの音が心臓の鼓動のように船内に響き渡る。
「見たところ、寄せ集めのアレじゃのぉ」




