レイランの翼
港近くまで来ると人通りは少なく、クレバーやガーランドの手下と思われる者たちが街角に立っていて人々の行き交いを止めていた。
30分ほどかかるというが10分で港に着いた。
港の入り口で待っていたロイックが駆け寄り荷台の縁につかまる。
「お前らに言いたいことがあるが、チッ・・今は・・・時間が無い」
港の船を指さして、
「警備船は2隻だけ動く。レイ、ガーランド、アルイン、パルマの船の6隻と28隻の敵と対峙するしかない」
「久しぶりに空戦かぁ・・ガー姉を追い回すのは気分がいいっす!」
「何がいいっすだ!敵は国境軍だぞ!わかったか?」
「わかったって」
「警備船1は俺とクレバーが乗る。2はセイン、ナル、シオンに任せた」
「アルイン?」
「アタイの仲間さ。忘れたかい!?隠れ家であったジジイだ?」
あーガーランドの手下にいた爺さんか。飛ばせるの!!?
「攻撃の主力はガーランド、アルイン、レイ」
「322補給所はここだ。進軍はこの辺りの平野になるだろう」
「ちょっといいか?」
「なんだ?」
「レイから聞いた情報と少し違うんだが、再度説明頼む」
ロイックがレイランを御者台からつまみ荷台へ放り込む。
「俺の手紙は?」
「あれな・・悪い!飛んで行った・・」
レイランはお尻を掻きながら空を見る。
・・・・
ロイックは仲間に馬車を動かし各船に立ち寄ってもらうように頼んだ。
馬車は動き出し、港を早足で駆け出した。レイランより遥かに乗り心地がいい。
ロイックは咳払いをして話し始めた。
「まず、国境軍の一部隊がここ首都へ向かっている」
「パルマ、ゼネルとこのゴタゴタを起こした連中を丸ごと処理する為だと思うが」
「理由はわからないが平文で「国境強襲部隊28隻が首都へ向かった」と入電した。
奴らの中にも味方がいるのか、罠かだが・・・」
28隻もいるのか・・
「どっちにしても、迎え撃つ方が、いいだろう。これは、ウインザードの姫さんも同意見だが」
「322補給所でモナドの領主が逃走を図って失敗して死亡している。
物資の横流しが発覚するのを逃れようとしたようだが」
「それを知った他の領主達が溜め込んだ財産を持って急ぎ国外へ脱出し始めている」
「奴らの情報網も機能していることに驚きだ」
ロイックは馬車の荷台に地図を広げる。
いつものギルドでもらう地図より細かく地名や地形が描かれている。
「最短ルート上のここで待ち構える」
地図を指さし、補給所と首都の中間地点より首都側のレネ領とペリーネデル領の境にある山間部だ。
「出来るだけ奇襲して数を減らしたい」
「パルマの船には武装が無いのは変わりないんだよな?」
「アンカー、煙幕だけだ」
「敵を足で惹きつけてほしい」
「わかった」
「特に警備船を守ってほしい」
「見分けかたは?」
「ナルさんの船に607982って赤い数字が塗装されている。俺のは黄色数字で416980だ」
「レイ!!わかってるだろうな?撃ったら二度と土を踏めないからな」
「覚えた!!大丈夫」
全然、信用できない。
「待ち伏せ場所に着いたら臨検しているように接舷する」
「クレバーの船に俺が乗る。ついてきてくれ。時間がない・・行くぞ!」
ロイックとクレバーは馬車から飛び降り、近くにある警備船へ走って行った。
ということは、ナル達が乗る船は・・あれか・・明かりが灯っているからだ。数字なんて暗くて読める訳がない。
馬車は港の奥へ進んでいく。
警備船にも様々な船式があるようで武装や大きさが異なる。使えないのが勿体無い。
ガーランドの船はこの船のようだ。
25mほどしかない小型船だ。色が・・ピンク・・・
空では目立つだろ。
「可愛いノクティスちゃんただいま!」
馬車から降りると腕を掴み、
「旦那様も一緒に!駆け落ちしましょ!」
バチン!
「叩かなくてもいいじゃない・・冗談って分かってるよね!」
ぶつぶつ言いながらガーランドは船の前にいた子分と船に乗り込んだ。
その後ろにはガーランドの船に似た赤色の船がいる。アルイン爺さんの船か・・派手だ。
「あれは・・・」
「帝国の戦闘船・・なぜここに」
「あっ!俺の船っすよ」
ぜネルと目を合わせ、
「買えるものではないが・・」
ぜネルは目を細めてレイランの目を見る。
「立ち寄った町の港に停泊していたこいつがあったんよ。
船に乗ったら動いていたので、そのまま頂いたのでっす」
ウインザードの空中戦艦までは大きくないが、デカイ。
船体のあちこちに焦げた後や砲身がなくなっている所もある。
帝国の紋章の上にエルメティスって下手な文字で上書きされ、塗られている。
「帝国の船って盗める?」
「普通なら近付かない、艦長が間抜けだったんだ」
「武装はあるけどね。弾がないの。パルの船と同じっすよ!」
「だから俺は盾と剣になるっす!」
馬車から飛び降りて、船へ向かう。
「手癖が悪いやつだな」
「昔からそうだよ、俺も盗まれそうになったし」




