レイ・ラン
「それが教王の術の源ではないかという者がいてな、アタイに、ちょっと貸しておくれ!」
ん?この教王が持っていた杖のことか・・
ガーランドは唐突に杖を求めたので手渡した。
「こい!!氷よ!!こい!!」
ガーランドは杖を子供のように振り回す。
「おかしい・・何も出ないなぁ!!」
ゼネルはガーランドを見て笑うので杖を手渡す。
「これはな・・こうするんだ」
ゼネルは両手で握り優しく振り回す。
「・・・」
ゼネルは色々触ったり振ったりしているが顔が赤くなっただけだった。
「はぁ__やっぱりあの真竜石がないと無理だな・・」
ゼネルは杖の彫られている文字を触りながらため息をついた。
ゼネルの耳がピクピクしている。ガーランドもだ。
「誰かが来たようだな」
「ネズミがやってきた・・」
ガーランドがドアの前に立つ。
「ネズミ?」
「山にこもっている奴さ」
あ〜ロイックのことか。
「ん?足音が消えた・・」
ゼネルは扇子を握り、ガーランドは鞭に手をかける。
ドアがゆっくりと開き、げっそりとした男の顔が隙間に見える。
「レイ?」
「おおパル!!なんだよ・・本当に生きてやがった・・」
残念な表情を見せる。賭けでもやってたんだろう。
「悪いな。ロイックかと・・、また、面倒なやつが来たわ」
「ガー姉が街にいるのは珍しい・・・おっと忘れてたっす」
「ヒェ〜かわいこと目が合っちまったで!オィ緊張するよ」
「レイラン!?話は?」
「パルマ?怒った?話・・忘れた___
いやいや、何言ってんだ俺・・国境軍がこっち来るってよ」
「補給所に強襲部隊・・きたとの情報」
「補給所?」
「332補給所だったかな・・ここと国境の間にある補給所っす」
「そんな補給所あったか?」
ガーランドは呟き、続ける。
「誰からの情報?」
「しらねぃ・・けど噂話広がって、みんな不安でロイックが探して伝えろって」
「ゼネル・・どうなんだ?」
「噂か・・」
壊れた扇子で口元を隠す。
「時間はないっす。ここを戦場にできない。空で撃つべき」
ゼネルは立ち上がる。
「その点は同意。それしかないようだ!」
「よっし!港で集合な!!」
「アタイも協力する」
レイランとガーランドは急いで部屋を出ていった。
疲れていたガーランドの顔が明るくなっていたように見えた。
寝ている余裕は無いようだ。すぐに部屋から出て、階段を降り、
マナに散歩に行ってくると軽く声をかける。
宿の前には深夜なのに人が大勢いて人混みをかき分けて港の方へ走る。
「こっちだ!」
止まっている馬車を追い抜こうとした時にガーランドの声がした。
「こいつ・・頭空っぽか?」
御者台にいるレイランの首を掴んでゆすっている。
「こんな大きい馬車で来て一人で港へ行く勢いだったわ・・」
ゴホッ!ゴホッ!
「忘れてた__すまねえ」
まったく、全然変わってない。行動は早いがなんか抜けているやつだ。
「全員いるよな!急ぐぞ!」
レイランは鞭を振るう。
馬車の扱いは・・下手くそだ。
ランタンを振り回し、歩いている人に、どけ!邪魔!と叫び、街の植木や柵に当たりながら飛ばすので乗り心地は最悪。
「おい!ちゃんと道路走れ!」
「馬が俺を試してんだよぉ」




