バーミリア
くっ・・・体が動かない。
氷塊にヒビが入り脆い部分がボロボロと崩れてくる。
時々、天井の重みが氷塊を押して空間が徐々に狭くなってきた。
じわじわと痛ぶられている気がして一気に来た方が楽だと思った。
ガラスが割れるかのように目の前が光に包まれる。
周囲の氷塊が煙のように消えて無くなるのが見えた。
「間に合ってよかった・・・」
「ん?」
「こんなところにいたんだ・・見つけるのに時間がかかったよ」
光の中から竜が現れた。手にのるほどの小さい竜だ。
「小さいって・・」
この竜は心を読めるのか・・・
「読めるんじゃなく・・君の頭の中で話をしているから君そのものだよ」
俺の中にいるってことか。
「まあ、そんなところさ・・」
「ところで、かなり危険な状態だったのはわかる?」
教王やあの影のことだよね。
「そうそう、あの影に目をつけられたというか存在がバレてしまったから、
これから先は影に対する対策をしないとダメだよ」
夜に警戒する?ってことかな。
「違う・・あの影は、足元を見てみなよ」
星図がある。ラーナのいた場所によく似ている。
「よくわかったね。こういうテランの遺跡は注意すべき箇所だよ」
よくわからないが近づかないようにすればいいってことか。
「人間にしては少しは頭がいいのね」
「暫くは力を使い果たしたからここにいても大丈夫だけど、次はどうだろう。かなり怒るだろうな」
「僕も、力を使ったから暫くは休むことにするよ」
助けてくれてありがとう。
「感謝はママにしてね」
ママって・・・
「僕は、バーミリアだ。またね」
光が腕の中に消えていく。
星空が見える・・
ここは?
あの影は?
影と思ったらゼネルだ。穴の淵に立ってこっちに飛び降りてきた。
ゼネルに2〜3発殴られた気がした。
なんで、いつも殴るんだ。
ゼネルが飛びついてきて抱きつく。
殴られた後の飴。
「死んでしまったかと思ったよ・・」
涙目になっているゼネルに
「暖かい・・」
自然に声が出る。
ゼネルはの顔を見て安心した。
周囲を見渡したゼネルは
「テランの遺跡か・・ここにもあったのか」
ガーランドが穴へ梯子をおろして駆け寄ってきた。
ゼネルはガーランドの手を振り払う。
「触るな」
ゼネルに縄で縛られて吊り上げられる。
穴の上から引っ張る掛け声が聞こえる。
体が壁にガツガツと当たってとても痛い。
穴から出されると周囲に多くの人が集まっていた。
神殿も城壁も何もない。誰かの荷物を背にして地面に座らされる。
「何もない・・・」
「すべて光のなかへ消えていったんだ」
クレバーが暖かい飲み物を差し出した。
いい香りがして自然に手が伸び口に含む。
ゼネルが少しよろけながら毛布を持ってきてくれた。
肩から出血して痛そうに傷を庇っている。
同じ毛布に包まりぼんやりと焚き火を眺めて空を見上げる。
「信じられないけど、なんかの影に殺されるところだった」
「影?」
「本当、なんだかわからんけど」
「その後、竜が現れて・・頭の中に・・」
「助けてくれた」
静かに周囲の人は声を出さず話を聞いている。
「俺の存在が影にとってよくないみたいで、いつかまた力をつけた時に襲ってくるようなことを
バーミリアって竜が言っていた」
「バーミリア様!?」
静かに聞いていた人たちから声が上がる。
「知っているの?」
ゼネルやガーランド、クレバーが不思議そうに顔を見る。
「この星の守護竜だよ・・知らないの?」
「あんな小さいのが?」
「小さい?」
「これくらいかな・・」
「小さっ」
クレバーは
「神話だけど、竜信仰があって各星々を行き交う道ドラゴンルートを使い各星に実りと幸福をもたらす竜達の中にバーミリア様がいると」
はあ・・
クレバーはため息をつく。
「これは大変なことになりそうだ」
「何が・・」
「新たな王の誕生だ」
「誰が?」




