クレバー、ガーランド、ゼネル達の穴掘り
==ゼネル視点==
氷に閉じ込められた神殿から吹き下ろしてくる風は冷たい。
帝国も厳しい冬のある場所だったが、氷塊の淵を抜ける風は冷やされ空気は重く心まで沈んでしまうかのようだ。
城門付近には多くの篝火が焚かれて兵士が行き来して慌ただしいが
教王が術を使うことが知られていたのか市民の混乱は無いように見える。
スカートの裾を少しちぎって肩に巻き止血をした。
「すまんな」
クレバーは謝ってきた。
「いや、助けてもらってありがたい」
力不足だったのは私の方だ。
ただ、パッチが氷の中に閉じ込められている。
といっても、救出方法は無い。
周囲には逃げた兵士や住人達が静かになった神殿の方を見上げ息を呑んでいた。
自分でも気が付かないうちに氷を扇子の刃を使って削っていたが硬くて進むことは難しい。
パッチと別れた場所の方に300mほど掘らなければならない。
「何があったんだ?」
クレバーは石畳にあぐらをかき、じっとこっちを見上げる。
あたりは静まり、破壊された神殿が氷に飲み込まれ、空には雲ひとつなく、月明かりが氷を輝かせていた。
周りにいた部下も耳を傾けて話を聞きたそうだ。
「教王の術が暴走したんだ」
クレバーは神殿を見上げる。
「これが術・・・まるで魔法だ」
「パッチも同じことを・・・」
「パッチ?」
「パルマのことか・・・」
「親分!!ツルハシ!!」
どこからかツルハシを大量に持ってきた男が床にばら撒いた。
クレバーはため息をつく。
「そんな刃物より、これだぜ」
クレバーはゆっくり立ち上がりツルハシを持ち上げ氷に突き刺し声を上げる。
「よし!ここから真っ直ぐ掘って旦那を回収だな。早く出してやらんと可哀想だ」
ガーランドは勢いよく氷の壁にツルハシを突き刺し破壊しながら進んでいく。
城門の石畳は氷が地面から生えたりしたように押し上げられたりひび割れたりしていた。
「なんであの宝石にこだわる?」
ツルハシを振りかぶりながらクレバーは声をあげる。
「あれは、真竜石と呼ばれるものだ」
「竜の体内にあるというやつか?」
「よく知っているな」
ガーランドが崩れた氷を木箱に入れながら、
「テランが崩壊した原因って言われている物だぜ?誰でも知っているさ。
それがあれだったのかい」
声が氷のトンネルに響き渡る。
「すべてラナロ監獄に封印されたと聞いたが、まだあったのか」
次々とクレバーの足元に氷が積み重なる。
「今まで、それと思える小さい真竜石を破壊してきたが、今回の石は濁っていて表面の傷から魔素が放出されていた」
「真竜石って安定したものじゃなかったのか?」
クレバーは振り返り足元の氷を木箱へすくい入れる。
「初めて見た・・
教王が原因なのかあの杖が原因なのか・・石そのものが原因なのかわからん」
「少なくとも、この先に答えがあるわけでは無いのだな」
クレバーは壁の方を向いてツルハシを振り上げる。




