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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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79/87

ゼネル撤退

==ゼネル視点==


杖から外れた白色に濁った竜石。バッチが拾い摘んで見ている。

やはりあの石は真竜石・・・ただ、濁りがあるのが気になるが・・。

教王の繰り出す術は何もないところから風や氷を生成し刃物のような鋭さがある。足元を凍らせて動きを封じられるとは。

パッチの言う魔法というものか。不覚にも教王のペースに乗せられ肩を負傷し武器を振るえず、奴の顔に傷をつけるのが限界だった。


その教王は動揺してパッチに駆け寄り手を差し出す。


「パッチ!!」

返せと言われて返すやつがいるか!素直に教王に石を手渡したパッチに対して思わず声をあげてしまった。


教王は宝石を杖に嵌め込み目を閉じた。

一瞬、宝石の曇りが大きくなった気がした。


座り込んだ教王が呟く。

「俺の術では無い・・術が発動せん・・」

あの氷塊は奴の技じゃ無いのか?


となると、溜め込んだ魔素が放出される真竜石の崩壊。

止め方は知らない。

パッチに胸元を掴まれた教王も知らないと言っている。


真竜石の出所を抑えたい・・が足元が氷で固められて動くことができない。


ドーン!

城壁あたりで煙が上がった。

煙の中から武装した人たちが姿を現し、続いて装甲馬が侵入してきた。

ガーランドと子分達だ。

子分達は出口に殺到する人達を手際よく壊した穴の方へ誘導している。

足元の氷が硬くて扇子の歯が曲がってしまった。



パッチの方を見るとクレバーがいて手を差し延べていたが、手をはたき目線をこっちへ向けた。

「つかまれ!」

小さい声だがガーランドの声が聞こえた。


突き上げるような衝撃が走り床にヒビが走る。

装甲馬がテラスを下から突き上げたようだ。

足元の氷がうまいこと割れたが左足の氷が割れていない。

クレバーのガントレットでの一撃が硬い氷を粉砕したと同じタイミングでテラスが傾く。

クレバーに抱き抱えられ、装甲馬へ飛び移ったが、

「パッチ!!」

教王とパッチが反対側へ滑り落ちるのが見えた。


「一旦下がるぞ!!」

神殿の破片がパッチたちの間に落下してきて、ガーランドは装甲馬を城壁へ後退させた。

広場に次々と破片が落下してくる。氷が神殿を押し除けているのがわかった。

「あれは一体なんなんだ?」

ガーランドは私を見て叫んだ。

「教王の術・・!前!!」

神殿の破片が前方に落下。

ガーランドは巧みに操り回避することができ城門へむかう。

次々と落下する破片が装甲馬の屋根と前脚を破壊し、前のめりに地面に崩れた。

「これは、もうだめだ!!逃げる!」

ガーランドは操縦席から立ち上がり、クレバーは地面に飛び降りた。

「大丈夫だ!!先に行け!」

クレバーは下で受け止めるために待っていてくれたようだ。

城壁の上部から砲台にいた兵士がロープを垂らして降りるものや、滑り降りるものもいる。

砲台からの氷塊に向けての発砲もあったが破壊するより生成される速度が速く砲台が程なくして飲み込まれた。

「このままじゃ街が!」

ガーランドが追い越して行き。

城門を駆け抜けて振り返ると城門から少しずつ氷が溢れ出て城壁に亀裂が生じ出した。

亀裂の隙間から氷がどんどん湧き出るように生成されていく。

周囲の人たちは街の人々に声をかけながら外門方向へ避難している。


突然、神殿からの氷の音が止まった。


城壁が氷で飲み込まれるかといったところで成長が止まったようだ。


周囲にはガーランド、クレバーの部下がそれぞれの主人を守るかのように円陣を組んでいて、まばらに教王の兵士達がいるが口を開けて神殿の方をただ見ているだけの状況だ。

襲ってくる兵士はいなかった。

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