8.生存者
風で火の粉がいたるところから運ばれてくる。
ドアらしいものは見つけたが開け方がわからない。
「このタイプはこうするんだ」
ヴァクーは横にあるレバーを引いてハッチに手をかける。
バタンっ!
ハッチを引くと、金属音とともに扉が手前に外れ落ち人の頭が出てきた。
すでに亡くなっているようで外に引っ張り出す。
白いローブはところどころ赤く染まっていた。
身をかがめて中へ入る。
目の前には椅子に座ったまま亡くなっている人が積み重なっている。
どの人も白いローブを着ている。
墜落の衝撃で、座席の固定具が根元から引き剥がされていた。
入った場所は床面に設けられた出入口のようだ。
機体は腹ばいに潰れるように不時着しており、後方が持ち上がって傾いている。
一瞬、自分の上下感覚が狂う。
本来なら床だった場所が斜めの壁のようになり、座席は天井近くへ張り付くように並んでいた。
通路を挟み、向かい合わせに座る構造。十人ほど乗れる小型の脱出区画のようだ。
逆に、天井側――今では壁の上部になった場所には、いくつかの座席が辛うじて残っているが固定具がちぎれたものがある。
一番奥の座席に、人影が見える。
ベルトに固定されたまま、微かに動いた気がした。
「うぅうぅ・・」
かすかに聞こえた。
「うぅ・・」
意識がある!
たすける!
天井部分の梁に足をかけて這って登っていく
腰にぶら下げた斧で剥がれた板を叩いて通路を確保していく。
体を固定している留め具に手をかける顔を覗き込む。
「なんてこった・・で・できん・・」
「なにが?」
「わしには、できん!」
「ヴァクー!早くしてくれ!熱い!」
火の粉が足元に落ちてくる。
「ええい!外すぞ!」
白いローブから銀の髪がふわりとたなびく。
「わるい・・」
背を向けて、落ちている椅子を踏むようにして捕まえる。
「キャ・・・」
うまくつかまえることが出来たがどこか負傷しているのだろう。
「うぅ・」
額から出血して弱弱しい声だが手をつかんで必死に伝えようとしている。
いそいで手当しなければ・・
辺りはすでに火の海になっている。このままでは帰り道がふさがれる。
「引き上げるぞ!」




