勝手に夫婦
途中で、気がついた。迷子になっていることを・・・
どこも、同じような建物で分からなくなってしまった。
ゼネルの柔らかい手を引っ張りながら当てもなく彷徨う。
「次の路地を左」
ゼネルは呟く。
流石、あれだけ地図を見ていれば、頭に入っているんだ。
左に入ると、ゼネルがまた飛びついてきた。
「人目のないところを探していたんだろ?ここでいいぞ」
え?何言ってんの?
「私を引っ張り回して、抑えきれないのだろ?」
ゼネルはもじもじしながら顔を赤くして耳元で囁く。
「いや・・道に迷って」
ゼネルは扇子で俺の尻を叩き
「私を喜ばせる一言くらい・・欲しいな」
手を引っ張られ、狭い路地を進む。
ここ最近、ゼネルは妙にくっ付き様子がおかしい。
ゼネルは入り組んだ路地を次々通って、見慣れた宿のある通りに出た。
宿の窓には灯りが灯っている。
「いよっ!」
宿に入ると、いかついおっさんが手を挙げている。クレバーだ。
ゼネルとクレバーの向かいに座る。
「悪い!言っていなかったことがあった
知っているかもだが、教王べイ二ルは不思議な術を使うらしい」
「術?」
「ああ、神の力を授かる者らしい。自称な・・」
「神の力?」
「杖を空にかざすと風が吹き荒れ、雨や氷を降らせたり、思い通りに操ることができると聞く」
ラーナに会う前だったら、神とか言われても、信じなかったが・・
どんな人物か実際に会って、見てみたいと思った。
「神の力を持つ者が人々を苦しめているってことか・・」
右腕が少し痛む。
「まあ、そういうことだな」
クレバーは天井を見上げる。
バン!
ドアが勢いよく開く。ガーランドが飛び込んできて、目が合う。
「見つけたわよ!」
「ん?ガーランド!!!」
クレバーが立ち上がり剣に手をかける。
「クレバー??なんでここに!」
ガーランドは数歩後ろに下がり、腰の鞭に手を置いた。
「え?クレバー・・さんとガーランド・・・さん?」
マナは目を丸くする。
ガーランドは俺の腕を引っ張り
「未じゃなくてもいい!!アタイと一緒にきて」
馬鹿力に負けて引っ張られる。
「ガーランド!」
「ん?」
「この地区には入ってこない取り決めだろ?」
右腕をさすりながら、
「謝るわよ。だけど・・アタイの夫になる男を迎えにきただけさ」
「夫だと?」
クレバーは俺をチラ見して、笑みを浮かべた。
「困るなあ・・」
ゼネルは立ち上がりガーランドの手を弾いて、
「パルマは私の夫だ」
言い切った。




