新しい命
凶器になり得るものを全てブリッジに持ち込み禁止にした。
単眼鏡、ヴァクーの工具、ナルのイヤリングも、サーリャのペンダントもダメだ。大事なものは、自室の固定箱に端切れに包んでしまってもらう。
街で買った物資を貨物室の後方に動かないように固定する。
植物、ブリッジのテーブル、ヴァクーの酒も積み込み用の鉄の台ごと、貨物室に固定。
出発は深夜なので、それまで休んでもらう。
船の動力は最低出力になっているが、二つ起動しているため、周期が重なる時、音と振動が大きくなる。
女子は結局、俺の部屋に集まって騒いでいるのでブリッジの椅子に横になった。
出発時間が迫ってきた。それぞれ、気合を入れ
セインは疲れ果てた表情をして戻ってきた。
「大丈夫か?残るか?」
喧嘩でもしたのか。
「いや・・・いくよ」
自分の顔を叩き気合を入れ直し、よくトュリスと並んで立っていた左側の窓辺に立つ。
「セイン!今日は後ろだ!あと、ブリッジに剣は持ち込み禁止」
ハンモックを分解して、固定具を用意するようにセインに頼む。
その間に、貨物室、入り口、下部のハッチが完全に閉まっているかを確認しに行った。
ブリッジの扉も完全に閉鎖状態を確認する。
「厳重だな」
セネルは串焼きを食べながら呟く。
美味しい匂いがしていたのはお前か!
「その串、自室に保管!」
壁にある板を手前に倒せば、椅子になる。
床のレバーを上げて足を引っ掛けてレバーを下げれば完全固定される。
座り心地は硬くて悪い。
壁にある金具に引っ掛けて壁に背中を預けるように座り、固定具を2本装着させる。
肩から通して、腰のあたりで輪っかに通して床に固定する。
「こんなんじゃ、体動かねえぞ!」
ヴァクーが嫌がって外そうとする。
「嫌だったら、ついてくる必要はないぞ!」
「一本じゃ、多分、耐えれない気がする」
ヴァクーにもう一本追加する。
シオン、ヴァクーにはさらに追加した。
椅子も固定具でさらに補強した。
「拷問」
壁に並んで座っている光景がなんとも言えない。
各自で固定具の確認をさせる。
「いいか?本当に、行くぞ!?」
「頼む!」
ゼネルが叫ぶ。
天井のランタンの火を消すと、ブリッジは月の光だけになってしまった。
ランタンカバーをつけて固定する。
操舵席に座り、固定具を装着して舵を握る。
両動力の出力設定して、レバーを引く。
計器の針が一回転して緑色に薄く光る。
動力の音が低い音に変化する。
船は上昇、バランサーを収納して、灯台の真上を通過する。
船首が上を向き、体が椅子に押し付けられる。
「じゃあ、行きますか」
「ん? どこに行くんだっけ?」
セインが唐突に質問する。
「ヴィデじゃ」
「そうだっけ」
船体が上を向いているのと同じようにセインは上の空。
「どうしたんだ?引き返そうか」
少し、溜めてから。
「子供ができた」
「「今いうか?」」
みんなセインを同時に見る。
「おめでとう!
パパっ」
「どうする、残る?」
「いや・・いるとイライラするって・・」
「「「あ〜〜」」」
全員が頷く。
「じゃあ、行くよ」
「セイン!おめでとう!」
「あっ、待つのじゃ」
ヴァクーは叫んだ。
「この中に、お腹に子供いる娘子いるかのぉ」
ヴァクーのいやらしい目つきが暗闇に光る。
隣のサーリャのお腹をさする。
「この変態ジジイ!!」
サーリャの拳がヴァクーを直撃する。




