ゼネルの頼み事
ナル、サーリャ、ゼネル、シオン、トュリスは報酬の分け前は、いらないといっているが、
各個人用箱を作って机にしまっておく。
ゼネルが部屋に入ってきた。
「お金は一応保管しておくから、必要になったら言って」
「いや、お金の件じゃない」
何?
「バルフェリアのことだ・・
ひどい国だった」
「それは、そうだが・・・」
ゼネルは何が言いたい。
扉を叩く音がする。
シオンが入ってきた。
「ケイラ様とルアード様が見えられましたが、ここで?」
部屋の中を見渡す。匂いを嗅いでいる。
・・・
「ここでいいよ」
ベットの布団をたたみ、机の跳ね上げ椅子を下ろす。
ケイラとルアードが入ってきた。二人とも驚く。
「どう?狭いでしょ」
「はい」
「ベッドにどうぞ!」
ケイラの顔が赤い。
ゼネルとケイラは城で一度、顔を合わせている。
入港する船を屋敷から見て急いで駆けつけたようだ。
財政が思った以上に厳しいようで、月に青1の赤字が続いていた。領の余剰資金は残り青120枚と差し迫った状況ではないが。
ジオ屋敷を完全に学校として独立させて、国の制度で課税対象外にする。
各街村にある代官制度の縮小や取りやめ。
それらで、十分黒字を確保できるという。
「ケイラとルアードの案!賛成!それでいこう!」
この港も契約しているようだったら解除して屋敷に置けばいい。
港は15枠あるが3枠契約しているとの事だった。
「3枠契約しているのに活用されてないな」
ゼネルは外を見ながらつぶやいた。
コンコン。
扉が叩かれ、サーリャが飲み物とおつまみを持ってきてくれて、机の上に置く。
「ちゃんと領主やってくださいね」
呟く。
部屋の中に入れてくれた飲み物の香りが漂い、口をつける。
お湯に育てていた果実を浮かべたものだった。
「「美味しい」」
おつまみは、ヴァクーの好きな実だ。
「えっと、港は、ここ最近、全く使われていないのです」
港の契約交渉は筆の力があるルアードに任せることにした。
「バルフェリアとの交易が再開されれば賑わう可能性はあるな」
「それは、現時点では難しいです」
「近い将来、変わる」
ゼネルの笑みが怖い。
おつまみを食べながら、いろんな話をする。
ギルドの記事のことを、
「ギルドのコリンさん素敵じゃないですか!」
なるほど、そうなのか・・
「レガスター屋敷を領主館にするとなると宿の案は無くなってしまうのですが」
「宿と同居すればいいじゃない?」
「「え?」」
「半分は、宿にして駅とつなげる」
「半分でも今の宿より大きいですから・・ちょうど階段も3ヶ所ありますし・・
つなげるのは置いておき、半分の案いいかも」
物資の話もでる。
竜石の各地区の在庫数は空中戦艦に持ち込まれ、半分にまで減っているが、鉱山の採掘量を増やせばなんとかなる。ゼネルは早く増産した方がいいという。
その空中戦艦1隻が失われたが、この領にはあと2隻あるらしい。
海岸沿いに間隔を離し固定砲台として配備されている。海の向こうからの脅威に対抗する戦力として維持している。
空中戦艦の点検と兵装の確認。新規空中戦艦の補充は保留とした。
そのほか色々な問題についての意見が出される。
ケイラとルアードを船下まで見送り、
厨房で食器を洗っていると、
「ありがとう」
サーリャだ。
「あれ、美味しかった」
嬉しそうな顔をする。洗った食器を拭いて収納してくれる。
「最近、作るようになったの」
「材料なかったら島に取りに行くけど」
「大丈夫!いっぱいある、なんか船にいる方が落ち着くし・・」
「操縦教えようか?」
「う〜ん、どうかな」
「な〜んかお二人さんの距離が近いわね」
ゼネルだ、様子がおかしいと思っていたら、
バルフェリアに潜入したいと、頭を深く下げて言い出す。
土地や村を見て思ったそうだ。
「一緒に来てほしい」
「潜入できるのか?」
「私は、大丈夫だ・・考えはある」
「帝国の前皇帝を知っているか?」
「噂は知っている。幼戦皇帝だっけ?」
「その名称は好きじゃないが・・・それは、私の事だ」
え?
サーリャは驚いた表情をしなかったので、知ってたのか。
強いものが皇帝になれるという完全実力主義の帝国において、敵対勢力や暗殺者などをねじ伏せ、
50年という在位期間を全うした、帝国歴史に初めての皇帝がいた話は有名だ。
見た感じ、こんなに身長・胸・・・小さくて・・。
ゼネルはムッとした顔になった。
その元皇帝に応えてあげたいと思っ・・・た。




