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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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53/68

帝国の魔光弾



河口を越えて、バルフェリアの領土から抜け出した。

前方にある雲の間の海上に、航行灯が見える。

単眼鏡で確認してみると、見たことのない形だ。周囲にも大型船が集まっているが中心にいる船は巨大だ。

「バルフェリアの水上船?」


船に詳しい、セインに単眼鏡を渡して聞いてみる。

「見たことのない船だ」


ゼネルも覗き込む。

「珍しい・・・・帝国の船がいるとは」


倍率のつまみを回しながら、

「あれには、気をつけた方がいい。暗くて見えにくいが、見かけは輸送船、だが重武装で、空中戦艦ほどの火力がある」

「そんなものが、ここにいるのか。近づかない方がいいか」

セインは頷いている。

「こっちに気がついたみたいだ」

航行灯が消えた。


進路を変えて距離をとる。


「航行灯を消すってことは、見られたくないという意思があるんだろ」


「密輸?」

密輸組織だと、化け物がいる海での取引はしないはずで、もっとコソコソするから違うと思うが。

「帝国船から何かが発進したよ」

トュリスが指を刺している。こんなに暗いのによく見える。


ゼネルは単眼鏡で細部を見ていた。

「バルフェリアの警備船に見える。左後から上がってくる。二隻だ」

ヴァクーは見晴台へ走る。

「こっちの方が高度は高い、有利」

「とは、言えん!」


「もう同じ高度に到達した!」


「なんで!」

動力のレバーを押し込む。時間を稼ぐ。


「エネルギーを与えることで、船を加速して射出する装置がついている」

「船に詳しいな。ゼネルさん!」


「それって!反則!」

左に舵をとり、回避運動に入る。

船体の右を火薬弾の火線が走る。

「危ない」

翼を少し広げ、左旋回しながら急減速をすると、

敵は追い抜いていき、左右に分かれる。

加速して右の船の後方につけ、追尾する。敵は左方向へ逃げに入る。


「武器は?」

ゼネルはブリッジを見渡す。


「体当たりか、煙幕しか・・」


「アンカーで狙える?」


「動きが速い無理!!」

セインは首を振る。


前の船はこっちの速度を落とそうと旋回をきつくしている。

「左後ろの船が後方に回り込もうとしているぞ!」

右に舵を切って海面向けて降下する。

左後ろの船は諦めたようで引き返していった。

もう一隻の方は、まだ速度を維持していて、一撃の機会を探っている状態だが徐々に引き離している。


見晴台からの通話機で声が響く。

「おいおいおい!!青い光るものが二つ接近!」


「魔光弾だ!」

「「「魔光弾!?」」」

「追尾する砲弾だ」

「そんなの!!反則!」

「船まで1000!!どんどん近寄ってくるぞい!」

見晴台のヴァクーは叫ぶ!

「どこかにつかまっていてくれ!」

左前に浮遊島があったはず、進路を変える。

「逃げる」

「700くらいじゃ!何とかせい!」

「鳴煙幕!!」

セインはボタンを押す。

「目が痛くなるけど我慢して!」

船の後方に煙幕が展開された。

「い・今は、青い光は見えない」


煙幕の放出は止まった。


「「「目が痒い・・」」」

青い光が煙幕を避けて影から飛び出してきた。

「うお!まだ、いた!!!」

「ご500!!船まで500!!」

「もう一つの動力は、まだか?」

ヴァクーは焦っている。


「敵船から見れない、あの島影へ!」

ゼネルは浮島を指さす。


「ザザザ300くらいだ!弾!早いぞ!?」

島の岩肌や木が側面を流れていく。


敵から見えない影部分に逃げ込むと、追跡していた弾は光を失い海上へ落ちていった。

「あれは、何なんだ?一体!」

「対竜戦用の武器だからな。竜より速いはずだ」

帝国の技術はどの国よりも進んでいるのか?


発射した敵は、追跡を諦めたようだ。


「あの弾、空中戦艦から発射されたものに似ていたの」

ブリッジに戻ってきたヴァクーは髭を触りながら呟く。セインも頷いている。


「あれは、帝国の兵器だ。ウインザードには無いものだぞ!」

「実際に俺たち見ているからのぅ」

ゼネルは首を傾け考え込む。


「今回は、バルフェリア船からの発射だぜ」


単眼鏡で周囲を見ながらシオンは話す。

「空中戦艦の武装は、管理する侯爵によって勝手に変更できないことになっているはず。

あのような武器を搭載したという報告はない」



「私も、魔光弾を初めて見ました」

外を見ていたナルは振り返る。

ん?ランタンに照らされたナル・・シオンの目が赤いぞ?

セインはトュリスの顔を覗き込む。

「大丈夫かい?・・・」

「痒い・・」

四人はブリッジを出ていった。



計器が動き出す。もう一つの動力が始動した。

「やれやれだぜ」

ヴァクーは見晴台へ戻って行った。

島陰に潜んでいるかもしれない。船を大きく蛇行させながら高度を上げて、注意する。

「これ以上、高度上げると酒が・・」

見晴台からぼやきが聞こえる。

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