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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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盗賊領主へのお届け物


「迷惑をおかけしました」

村長に頭を下げる。


「いや、スッキリさせてもらいましたわ」

笑いながら、頭を軽く下げる。


「こいつらを盗賊親分に返して、私たちは王国へ帰ります」

輸送台に馬車ごと乗せて船に収納する。

「王国・・

この国に王がいた頃は良かった・・

教王になって、レバスの教えに従えと、わしらには何のことか」

拳が強く握られているが、何もしてあげれることがない。


「こんなのは一時的に過ぎない。村はもう・・・」

ぜネルは村を見つめ、村長と話し合っている。



剣を振るう仕草や、足元を踏む様子から、

領主と倒せ!

と言っている気がする。


話を終え戻ってきた時、

「打つ手は一つだ・・」

何を考えているのか想像もしたくない。


子供達が走ってきて、ゼネルを囲む。

「今日、教えた計算くらいできるように!」

「はい!先生!」



ナルが出発準備をしているのか。

船が起動する音がする。


「全く・・・」

シオンは船を見上げ呆れ顔をしている。


「それでも、何でも挑戦して乗り越えて行く子だ」

「姫だ!」

シオンは言い直す。


「まるで母親のようだ」


「エルミウス様のような竜になって、空を飛んでいる気分を味わいたいって言ってた」

シオンの尻尾が揺らいでいる。尻尾があったのか・・・どこに隠していた?

戦闘用の服では尻尾を出さないようにしているということだった。


ブリッジに入ると、ナルはすでに準備を終えていて、セイン、トュリスは計器の確認をしていた。

「じゃあ、ゴミ捨てに行きますか!」


ナルに操舵をお願いした。そろそろ、日没の時間だ。

「船が・・・軽い」


長老に教えてもらった方向を指差す。そんなに、遠くは無いと言っていた。

進路上を単眼鏡で確認する。

いくつか、村の跡がある。同じ規模の村だったのだろう。


川が見え、川沿いに大きい集落が見えてきた。

あの大きな建物が領主の館だろう。薄暗い街の中で小高い丘の上に輝く屋敷が見える。

「あのテラスに荷物を下ろすよ」

ナルと操縦を変わる。


街の上を飛び、船体が右に傾く。屋敷の左上空から侵入した。

右の抑制翼を少し展開すると左後ろが滑り出す。


右手に屋敷を捉えつつ、船尾を流し、テラスが見えてきた。左の抑制翼を強めに展開すると流れる船尾が止まる。

領主の館のテラスと貨物ハッチの高さを合わせた。


「ナルの前でカッコつけたの見え見え、

真似する必要はないんじゃぞ!」

ヴァクーは強襲操船は嫌いなようだ。


貨物室に行くとセインはすでに、天井を開けて、クレーンを動かし馬車を吊るしていた。

早く捨てたいのだろう。同感。


テラスに男と兵士が出てきた。

「なんじゃ!お前らは!

どこだと思ってんだ!」

貨物室で作業する俺たちに怒鳴っている男がいる。アレが領主か。


「盗賊の子分を返しにきました」

「何?盗賊だと?」

「カワージ領のパンドの村に送った兵士のことですよ」

クレーンに吊るされた鉄板の上に馬車が乗っている。

領主のテラスに馬車を下ろす。

「馬鹿!ここに下ろすな!地上におろせ」


「あれは、どうやって下ろすんじゃ?」


鉄板を船に回収して

「アホの領主さん!カワージ領に侵入した件をあちら側に報告させて頂きますね」

「そ・それは、まずい、やめてくれ!」

「それでは!」

「あれを止めろ!」

こっちを指差す。

「無理ですよ!」

兵士たちに飛べと言っているのか。

「ええい!いけ!」

兵士を短い足で蹴り飛ばそうとするが、テラスの手すりに足が当たり、痛がり、喚き散らかしている。

セインは屋根を閉じて、梯子から降りてきた。

「早く、帰ろうぜ」


ブリッジに入り、ここからさっさと離脱する。

舵をとりレバーを二つ倒す。

船は少し強めの加速を始め上昇していく。

監視船や警備船が出てくる気配は無い。

闇に紛れて高度は4000へ上昇し海上まで一気に行くつもりだ。

航行灯はつけないので全員で周囲の監視をするようにお願いした。


周囲は暗く、地上には灯りが一つも灯っていない寂しい所だ。

しばらく飛行すると山地の向こうに星の光が反射する海が見える。

この国の地上より、明るく輝いていた。


海上に出て、

「みんな、ありがとう。監視船に追撃されることなく無事に脱出できた。後は、航路に復帰するだけ」


ここからは星の自転の影響で行きより夜が短くなる。


ナルは前日に見せた本に興味を持ったようで、

「パッチ・・・あの本借りてもいいですか?」

「いいよ!引き出しに・・ここに持ってくるから、舵お願い」

ヴァクーが肩をなん度も叩くので、気がついた。

部屋に戻り、引き出しの中のいろんな本から、船関係の本を机の上に置く。

20冊くらいあるかな。それを持って、ブリッジに戻る。

「そんなに、あるんだ」

「抜けている号があるけどね」

どこに、しまうか・・。壁の収納扉を開ける。

「ここに、しまっておくね」

本を入れて、ナルと舵を交代する。

一冊手に取り、嬉しそうに、自分の部屋へ戻って行った。

「例の本、見られなくてよかったな」

ヴァクーが呟く。


「忘れてた、ありがとう」

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