兵士の裸祭り
厨房からいい香りが漂い出した。
ナルはパンを焼いていて、トュリスは大きい鍋でスープを作っていた。
「どうせ作るのなら、村の人の分も作ろうと思って・・」
村長からお腹の音がする。
ゼネルは村の子供達を連れてきた。
「いい匂い、やっぱりここか!」
意外と、子供達には人気があるんだと、見ていると。
パンをつまみ食いした子供がいた。
パチン!子供の手を叩く。
「つまみ食いは、駄目!作っている人が良いと言ったら食べれる」
目を見て説教を始めた。ゼネルの耳が上むきにピキピキしている。
「ごめんなさい・・」
「よし!謝れる子は偉い。次やったら・・」
扇子がバシッと閉じる。
「コロ・・・」
サーリャがゼネルの口を塞ぐ。
口を塞がれてジタバタしている中、
「これを広場に持って行くの、みんな!手伝って」
ナルが子供達に、箱に詰めた焼いたパンを運ぶようにお願いする。
朝食には遅く、昼食には早い時間だけど、食事をとることに。
スープとパンが用意されている。パンには赤い実が入っている。
スープはセインがクレーンで船から降ろした。
村人は、大きな入れ物を持ってくるので、ナルはスープをたっぷりと入れてあげている。
「お腹一杯になったのは久しぶりじゃ」
村長は語る。
「竜石は畑に蒔けば、土が肥えて穀物の実りが多くなる。
すぐにでも蒔くよ。これだけあれば・・来年まで助かる・・ありがとう」
村長の家は他の家より少し大きい。種と食材の箱を部屋の隅に並べて置き藁をかけておく。
ゼネルは、子供達を引き連れて、村長の家にきた。
20人ほどいる。
数字遊びを教えると言っていた。
村長の家にある石の壁に柔らかい石で文字を書き出した。
「戦いは、剣を振るうのも良し、頭を振るうことで、剣を使わずに勝ち取ることができる!」
足し算、
引き算、
掛け算、
割り算、
石、縄、藁を利用して教えている。
厳しい。
「悪い大人に騙されないために必要だ!
わかったな!」
「はい!ゼネル先生!」
「よし!続けろ!」
ゼネル先生を見ながら、昔こんな感じで、学んだ記憶があるような・・・
村長の家から出ると、村長とヴァクー、シオンが遠くに煙が上がっているのを見つける。
また、馬車に乗った兵士達がやってきた。
「おいおい!物資はあるのか?」
馴れ馴れしい奴だ。村人の表情が一気に暗くなった。
シオン、ヴァクーの顔が怖い。
「ご苦労様です、兵隊さん!」
兵士の所に走る。
「ギルドに頼まれまして、
輸送物資をつい先程、兵隊さん達に全て引き渡しましたが?」
「なんだ?もうないのか?」
舌打ちの連打。だから無いって言ってるだろ!
「物資はもうないですよ」
「貨物室を見せろよ!抜き打ち検査だ!」
「なんで?」
「逆らうのか?」
「逆らう気はないですよ」
「なら見せろ!」
ヴァクーを連れて貨物室へ向かう。
船に入ると、
「飯の匂いがするぞ」
階段を上りそうだったので誘導する。
「とりあえず、貨物室はこっちです」
貨物室に入るとクレーンからハシゴで降りてきたセインと会う。
「こいつら何?」
「いつもの物色」
「うざっ」
「あれはなんだ?あるじゃないか!」
樽の所へ兵士が走っていき、香りを確かめる。
「これは、酒だな?」
「へっへ・・・一つくらいよこせよ!」
ヴァクーはムッとした表情になる。
セインはヴァクーの腕を抱える。
「よくお分かりで!」
とコップを2つに、酒を注ぐ。
兵士は味見をするように舐める。
「うまい」
兵士は一気に飲み干す。
二人ともすぐに酔い、倒れた。どこかで見た気がする。
体が熱ったのか服を脱ぎ出す。貨物室に女性がいなくてよかった。
「俺、この前、脱いで無い?」
細い目でヴァクーを見る。
「覚えてないわい」
この二人は、少し、遠い別のグリドルフ領の兵で、偵察を命じられてきた。
物資があったら、略奪。村人からも略奪という命令も受けていた。
「俺に、この前、何か聞いた?」
細い目でヴァクーを見る。
「覚えてないわい」
ヴァクーの酒は強すぎで、危険だ。今後、飲まないようにしよう。
薄めた酒を入れた樽一つ、馬車へ積み込み、手紙を貼り付ける。
==この特上ヴァクー酒をお求めになる場合は、エルディンのギルドへご注文ください 樽1で王国鱗黒2==
サーリャが張り紙を見る。
「ギルド使うな!」
「もっと高くても良いだろ」
「さあ、お帰りになられるのでどうぞ!」
泥酔した兵士を船から引っ張り出して、馬車まで案内する。
もちろん、素っ裸だ。
女性達が悲鳴を上げる。
「騒がしいぞ!」
村長の家からゼネルが出てきた。
兵士がゼネルを見て、ふらつき手を伸ばして、
「長耳のねーちゃん・・・酒・・俺と一緒に飲め」
ゼネルに抱きつこうとしたが、ひらりとかわす。
「お前らと酒飲めるかっ!この盗賊め!」
股間に蹴りをなん度も入れる。
「アヒィ・・・」
兵士は悶絶する。見ているこっちも痛くなる。
ゼネルを引っ張って兵士と引き離す。
ぐったりとして、時々痙攣している。
サーリャは長老の家から子供が出てこないように塞いでいる。
「やっちゃったな・・」
木の棒でつつく。
「だな」
ヴァクーは兵士を馬車まで引きずり、縄で両手、両足を縛る。
「こいつら、どうする」
はあ・・
ため息しか出ない・・
「領主に返すか」
ゼネルに兵士の足を持ってもらい、手を掴み、振り子のように揺らす。
「私にこっち持たせるか!?逆だろ?」
叫んでいるが無視して兵士を馬車へ投げ込む。
もう一人の兵士は?
馬車で積んである樽から酒を酌んで飲んでいた。




