5/68
5.天井
酒場は相変わらず繁盛していた。
客足が途切れる気配がない。
そして――
例のギルド女に捕まっている。
「ほれほれ! まほーみせてよ!」
しつこい。
目の前で両手を構える。
「では……魔法を」
彼女の顔に手を伸ばし――
両耳をつまんだ。
むにっ。
……やわらかい。
「ギャァァァッ!!」
「この耳、なが〜くしたるわ!」
もちろん引っ張ったりはしない。
ちょっと握っただけだ。
「や、やめて……へんたい!」
バチン!!
視界が左から右上へ吹き飛ぶ。
知らない天井。
――目覚めのビンタ、直撃。
やりすぎたか……。
「おいおい!パッチが墜落してるぞ!
サーリャに手ぇ出すなんざ百万年早ぇ!」
周囲の笑い声が爆発する。
……酒場って怖い。
――夜中
カンカンカン!
カンカンカン!
このリズムは――あいつだ。
船室のドアを開ける。
「うるっせぇ!ヴァクー!!」
下の方から声。
「なに?」
「頼む……寝かせてくれ……」
しばらく沈黙。
そして。
「すまん!ここ気になって寝れん!直すわ!」
「今!?」
「それ夜中にやる作業か!?」
「今!!!!」
……職人かお前は。




